Bousou - Honey.

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!!!  R-18  !!!

短編25本収録の再録集
R-18は書き下ろしの1本を含む4本

※以下は書き下ろし部分サンプル※
裏/ED後/付き合っている二人
これからの話をしよう





「あ、また、またイク、イッちゃ……っ」
「出すぞ、ゴリアテ……ッ!」

耳の側で囁かれ、ぞわりと産毛がそそけ立つような快楽にシルビアの欲は決壊した。グレイグの腹へと勢いよく白濁液を放ち、全身の筋肉に力がこもる。彼の激しい絶頂に食いしめられ、グレイグもその体内で達した。放り出されるような快楽を共有するように、互いに強く縋り付きながら。

「あ……っ、は……」

のけぞり、視線も合わせないまま。しかし触れ合った体は熱く脈打ち、強く握りあった手が互いの存在を示していた。はあはあと響く二人分の荒い息遣いがやがて少しずつ収まっていき、ようやく戻ってきた視線が互いを見る。そっと笑んで、小さくキスを交わして、それでこの夜は終わった。



風呂で身を清め、清潔なバスローブに着替えて、敷き直したシーツに並んで横たわる。グレイグの寝室のベッドはキングサイズだ。大柄な体が二つ並んでも、絡み合って暴れても全く余裕があるから良い。
久々の逢瀬だった。グレイグは一国の将で、シルビアは世界をまたにかける旅芸人。一所に留まる人間と世界中を飛び回る人間では、常に共にいることなど出来ないのだ。それを互いに選んで、互いにそれを理解している。だからこそ、会うことのできる時間は貴重で尊いものなのだ。

「ふふ」

グレイグの目の前では、嬉しそうにシルビアが笑っていた。その目は先程からずっとグレイグの顔を見つめている。そろそろ穴が空いてしまいそうだ。

「――どうした、ゴリアテ」

だから、その体を抱き寄せた。腕で囲って引き寄せれば、素直に胸の中に収まってくる。ぴったりと胸元へ抱けば、流石にその視線はグレイグの顔から外れた。

「ううん、幸せだなって思って」

バスローブからはみ出した胸に、そんな言葉と温かい吐息がぽつりと落とされた。髭とむき出しの喉には冷たい髪が当たる。洗ったばかりの髪はしっとりと濡れて、シャンプーの香りをグレイグの鼻へと届けた。スン、と鼻を鳴らす。

(……うちのシャンプーの香りだ)

そういうものに頓着しないグレイグに呆れて、シルビアがいつかサマディーから送ってきてくれたものだ。もちろん当時の瓶は使い切ってしまったが、それと同じものを取り寄せて今も使っている。もう一年は、グレイグの髪はこの香りだ。それと同じ香りが恋人からする。きっと体も同じ匂いだろう。同じボディーソープを使っているのだし、それに――あれだけ交わったのだし。

「ふふ、ワンちゃんみたい」

自身の髪に鼻を埋めスンスンと鼻を鳴らす恋人を、くすくす笑いながらシルビアがそう称した。言われたグレイグもそれに乗り「ワン」と答える。髪ごと頭に柔く歯を立てれば、やだあと言ってシルビアがけらけら笑った。
体を重ね、同じ香りに髪や体を染め、今同じベッドに横たわってじゃれ合っている。幸せだ、とシルビアの言う言葉にグレイグも一言一句同様の思いを抱いていた。
抱きしめる体は硬く、大きい。ずっと昔に寄り添って眠ったときより、広い寝台が必要になった。
様々なことを経験してきたのだ。出会った頃はきっと重なるだろうと思った道はいつしか遠ざかり、長じてからはその道が交差することなど諦めていた。むしろ、良い思い出として忘れたつもりでさえいた。それが幼く淡い、……こいごころだったことにさえ気付かないまま。
それが、どんな運命の悪戯だろう。世界を救うさだめを持った勇者が現れ、その身を守る仲間として二人は再び出会った。かつてとは異なる立場で、かつてとは異なる距離で、そしてかつては想像さえしていなかった関係になって。

「……俺も、幸せだ」
「嬉しい」

グレイグの胸元で微笑んだ恋人は、グレイグの腕を強く抱いて顎に口付けてきた。しかし、この位置ではグレイグの側からキスが出来ない。仕方なく腕の中の体をずり上げると、シルビアは嬉々として半身を起こし、覆いかぶさるようにしてキスを仕掛けてきた。

「んっ、ん……」
「……は……」

静かで穏やかなキス。シルビアの体勢がきついだろうと、グレイグはその体を自身の上に持ち上げる。

「重たくない?」
「このまま寝るわけでもないしな、平気だ」
「ほんと? じゃあ、遠慮なく……、うふふ」

強がっては見たものの、安心して全身の体重をかけられるとやはり重い。男らしく格好をつけるのはやめたほうが良かったかな、と、潰された肺で何とかキスに答えながら思う。

(男らしい……か)
それはシルビアの前ではなんの意味もない言葉だ。シルビアという人間を恋人に選び、シルビアという人間に恋人として選ばれたグレイグの前でも、きっとまた。それでもやはり格好をつけてしまうのは、本能みたいなものなのだろう。恋人にいい顔を見せたくない人間など、いないはずがない。

「……グレイグ、あのね」

そんなことを考えながらぼんやりしていると、グレイグの体の上に寝転んだシルビアがぽつりと口を開いた。物思いにふけっていたことがバレたのかと思ったが、そうではないようだ。

「……とっても幸せなの、アタシ」
「さっきも聞いた。俺もだ」
「うん。たまに、このままでもいいんじゃないかなって……、思ってしまうくらいに」
「……」

それは、弱音だった。
未だ、夢半ばである彼の。

「……グレイグ。アタシの話、聞いてくれる?」
「ああ」

頷くと、ありがとうと言ってシルビアは笑った。嬉しそうに取り繕った、寂しそうな笑顔だった。グレイグの体の上に乗ったままだった彼が降りようとするのを、グレイグは抱きしめて押し止める。その寂しそうな笑顔は、少しだけ苦笑に近い色になった。



表紙の格好いいグレシルはぬーやる様に頂きました。
折返しもちょう素敵なので是非見て……

再録している話の詳細は以下を御覧下さい。
収録タイトル一覧

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