スポーツマン俊の日課
早朝。
大概傍らの蘭世が抜け出す感触で眼を覚ます。あったかいぬくもりがなくなるから。平日はそのままにしておくことが多いが、時折引きずりこんで押し倒したりなんかもする。今朝はそちらを選択したらしい。そんなときの蘭世は特にそそる。
「・・・・や・・だめ・・朝ごはんの・・・準備・・・」
「・・・今朝は・・お前が・・いい・・・・・」
「・・でも・・・・俊・・・」
なんのかんの言い始める蘭世の唇をふさぐことからはじまる。前の晩激しいとお互い何も付けずに寝ていることもあるのでそんなときは尚のこと手間が省ける。
「・・・あ・・・あああん・・・ん・・・・」
外から朝日が差し込み、ほの明るい部屋の中で見る蘭世は特にきれいに感じるのは夫の欲目だけではないだろう。すぐに蘭世の特に感じる部分を攻めるととたんに甘い喘ぎ声が俊の耳に届いてくる。・・・・・・いただきます。

朝。
蘭世が朝食とお弁当の準備を終えるころを見計らってリビングへ行くのが普通だが、朝蘭世を攻めたときなどは自分でトーストなどを作る。蘭世が起きてこられないからだ。そんなときはコーヒーをマグカップに入れて蘭世のところへ持っていく。
お盆にマグカップを二つのせ、寝室へと運ぶ。部屋をノックするとあわてたような物音が少ししてから返事が返ってくる。
「・・・い・・いいわよ・・・・」
結婚したとはいえ、この初々しさがなんともいえない。それを気づかれないように小難しい顔をして寝室へ入る。
「ほら、コーヒー。」
少しぶっきらぼうに蘭世に渡す。
「ありがとう。俊。」
サイドテーブルにお盆を置くと自らは着替えるためにクローゼットを開ける。ジムに持っていくものや着替えを取り出し、今日は蘭世の目の前で着替える。眼のやり場に困る蘭世をみるのもまた一興。
「あ・・・私・・・・お弁当の準備してくる・・・」
そそくさとコーヒーを飲み干すとキッチンに逃げていく。そんな妻を眺めるのは楽しいらしい。

出勤時間。
お弁当を持ち、蘭世に見送られてジムへと出勤する。背後に視線を感じながらも振り返ることはしないよう努力している。うっかりと振り返ったらもう一度逆戻りしてしまいそうだからだ。

仕事中。
柔軟、スパーリング、ジョギングといった一通りのメニューをこなし、いい時間に愛妻弁当を食し(誰にも味見などさせないのは当たり前だったりするby作者)、身体を鍛えぬく。トレーナーと打ち合わせしたりする日もある。定時に終わることが多い。遅くなりそうなときには蘭世に電話しておくことも忘れない。気遣いはそれなりにしているようである。

夕方。
帰宅すると蘭世が玄関まで迎えに出てくる。そのまま押し倒したい衝動に駆られることが毎日なのだがそこをぐっとこらえるのも男の甲斐性だろう。
「食事にする?お風呂にする?」
帰り際に軽くシャワーを浴びることが多いのでそれほど汚れていないときは食事を先に、忙しくて浴びれなかったときにはお風呂を先にする。
「・・・・ん〜食事にしてくれるか?」
「うん!」
足に羽が生えているんではないかとおもうほど軽やかな足取りでキッチンへ向かう蘭世を見送りながら寝室へ向かいラフな服に着替える。ベッドは朝の乱れが何もなかったかのように戻されているのを見ると、つい今夜はどうしようかと考えてしまい、頭をぶるぶる振る。・・・・まだはやい・・・。
そうしてリビングに下りると準備はあらかた整っているということである。毎日日替わりでおいしく栄養バランスの整った俊のために作られた献立が並んでいる。料理上手な奥さんでありがたいと思っているのであるがあまり口にはしない、聞かれれば答えるが。そんな時蘭世は俊の瞳を覗き込むようにするので困ってしまう。
・・・そんな顔されると・・なぁ・・・・・
対処に困り、やはり言葉がぶっきらぼうになることが多い。蘭世は慣れてしまっているがすまないなぁと思っている次第であった。
食事を済ますと後片付けしている蘭世の手伝いをしながら今夜のことに思いをはせる。

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