…* The Cause of Santa Claus 4 *…


不穏な噂を耳にした。

今年のクリスマスは行われない、
かもしれないと。




噂の発端はスキンブルシャンクス。
幼いながら殆どの時間を車中で過ごし、街に居る時間は少ない、
にも関わらず。何故か異様に耳の早い、情報通の鉄道猫。

いわく、
お風邪をめされたオールドデュトロノミーを、
ジェニエニドッツが見舞いに来た時の話を聞いたとか。
これがタガーあたりから出た話なら、皆一笑にふしただろう。
だが他でもない彼の言う話なら。
あながち嘘でもなさそうだ。





*   *   *





「つまんねーの。 
 世界中のこどもと猫にプレゼントを配ろー、っていう
 酔狂なオヤジの顔、見てみたかったのによー」
「…その言い方は無いんじゃないか、タガー」
「だってそーじゃん」
「お前だってプレゼント貰ってるじゃないか」
「オレ、頼んだ覚えねーもん」
「じゃあタガーは、プレゼント貰えなくてもいいんだな?」
「それは困る!」


全く、こいつは。素直なんだかひねくれてるんだか…。


「でもどーしたんだろうな、サンタの奴。
 急に来れないだなんてよ。」
「だから、その馴れ馴れしくゆうのはやめろって」
「何でだよ?」
「だって、サンタクロースはおれたちよりずっと年上じゃないか。
 それに、世界中の子ども達にプレゼントを配ってるんだ、
 敬意を払って当然だろ?」
「オレには、物好きなオジンとしか見えないね」
「もの…」


サンタクロースの善意の事業を、あろうことか物好きの一言で
片付けてしまうタガーに、思わずおれは絶句した。


「と、とにかく、サンタクロースが来ない以上、
 この計画は無しだよな?」
「んー?そーだな……いや、やっぱやる」
「えぇっ!?」
「だってまだ来ないと決まったワケじゃねーし」
「でもスキンブルが…」
「でも来るかもしれないじゃんか!」
「お前…そんなにプレゼント欲しかったのか?」
「う゛っ…じゃ、じゃあマンカスはプレゼント欲しくねーのかよ!」


あ、開き直った。


「それは欲しいよ。でも、毎年毎年世界中を飛び回ってたら
 サンタクロースだって大変だろ?無理は言えないよ」
「ちぇっ、いい子ぶりやがって。とにかく、オレはやるからな」


言い捨てタガーは、再び準備に没頭し始めた。
聞いたら、サンタを捕まえるための罠作りとか。
・・・虫取り網の手入れは、流石に関係ないよな、タガー?


クリスマスまで、あと1週間。




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