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投稿小説

Rockman  X 〜アージ・オーヴァーキル〜
制作者:真アルティメットアーマーさん


#4 Meet agin / 再会


「これが、アジトへの入り口か…」
 エックスは、目の前にある扉を目の当たりにしながら呟いた。
 そこは、辺り一帯が黄金色に輝いている砂漠。その砂丘の一角に自分達はいた。
 目の前でゼロがその扉を調べている。動かしている手を止め、舌打ちした。
「ちっ、鍵がかかっているとはな」
「こんな場所に入り口を隠して、さらにロックが掛かっているとはな…」
「扉にプラグを射す穴があるぜ。ってことは、コンピューターか…。エイリア、こいつを外せないか?」
 ゼロは、薄桃色の鎧に身を包んだ、金髪のショートカットの女性…エイリア=ストラーンへと振り向いた。
 彼女はレプリフォース革命事件終結後、イレギュラーハンターに抜粋されたオペレーターである。また、元々彼女は科学者出の為、プログラム作成からハッキングまでの技術を習得しており、優秀だった。
「いいわよ。ちょっと待ってて」
 彼女はそう言い、手持ちのノートPCから扉の穴へとケーブルを繋いだ。そして忙しそうに指を動かし始めた。


 会議の日から一週間が過ぎていた。CIAの協力もあり先日、ようやく‘グリーブ’の基地が発見された。その為、彼等は基地の探索に来たのだ。
 エックスとゼロ、この二人を除く同行している者はオペレーターとしてエイリア、残りは彼等の部隊の部下達であった。その中にはクリスとカイルもいる。


「…外れたようね」
 キーボードの上で忙しそうに動かしていた指を止め、エイリアは顔を上げた。
「開くかどうか、試してみてよ…」
 エイリアは、クリスとカイルへと顔を向ける。
 クリスとカイルは目を丸くした。互いに顔を見合わせ、やがてゼロへと視線を向けた。ゼロは顔に手をあて考え込むと、エックスへと顔を向けた。
「…じゃあエックス。お前がやれ」
「俺がか!?」
 驚きながら聞き返す。
「そうだ。お前意外に誰がやれる?」
 ゼロの言葉に、エイリアを除くその場にいた者達全員が頷く。
「ちょっ、ちょっと待てよ。罠があるかもしれないんだぜ」
「それくらい分かっている」
「罠があるってことは危険なんだぜ!?」
「当たり前だ」
「つまり、それはとても重い役なんだぞ? 何せ皆の命を預かっているんだからな」
「だからお前がやるんだ」
 エックスの反論にゼロは間髪入れずに返した。
「俺はそんなの嫌だ」
 エックスははっきりと拒否した。見かねたゼロはしばし沈黙し、それから片手を顔にあて大げさに溜息をついて見せた。
「なぁ、エックス」
「…何だ?」
 エックスは用心しながら聞き返した。ゼロがこういう態度をとる時は、必ず何か企んでいるのである。
「お前は‘イレギュラーハンター第十七精鋭部隊隊長’と云う、長い肩書きを持っているだろう?」
「…それがどうかしたか?」
 エックスの疑問にゼロは再び溜息をついて見せた。
「いいかエックス。部隊長という位は、実力もありなおかつ部下の人望も厚い者のみがなれるだろう?」
「…そうだな」
「つまりだな。部隊長と云う位を持つ者ならば、部下に危険を犯させず、むしろ自らが危険をかえりみずに率先して進むものだろ? 部隊長のお前がこんなことをしていていいのか?」
「だがな。だったらお前も第零特殊部隊の隊長だろ? こういう任務はお前の方が適任なんじゃないのか?」
 エックスは半眼でゼロに訊く。
「そんなことをするのは、俺の性に合わん」
 ゼロははっきりと否定した。
「……」
 呆れて返す言葉もない。
(おい、こいつ本当に部隊長かよ!?)
 エックスは内心、そう叫びたかった。結局、貧乏くじを引かされたのである。
「分かったら、さっさとやれ!」
 エックスは渋々と頷き、蒼い鎧を身に纏うのだった。


 基地の探索開始から数十分が経過していた。
 小組織の基地だろうが、侵入者を撃退する罠がかなり仕掛けられていた。だが、エックスとゼロはそんな事などお構いなしに突き進んでいた。過ぎた部屋は部下に探索させ、二人は次の部屋へと足を踏み入れた。その時…
「待て」
 先行くエックスをゼロが制止した。思わず振り返り、
「何だ?」
 エックスの問いにゼロは無言で答えた。それから真紅の鎧のバックパックからビームセイバーを引き抜いた。
「じっとしていろよ」
 ゼロはエックスの頭上でビームセイバーを一閃した。すると、何者かが飛び降りてきた。それは人の形をメカニロイドらしき者…機人だった。サーベルを手にしているところから見ると、どうやら侵入者を抹殺する番人というところか…。
「門番か…上等だぜ」
 ゼロが不適な笑みを浮かべた。
 機人は無言でサーベルを二人目掛けて振り下ろす。だがその時、二人はすでに左右へと避けていた。
 エックスが機人の顔面へと殴りつける。しかし、金属的な感触を感じただけで相手にダメージは与えられなかった。
 機人はそのままエックスへと襲い掛かる。後方へと回避し、右腕の装甲をバスターへと変形させ、その銃口からは瞬く間に光弾が放たれる。
 機人の後ろにはすでにゼロが先回りしており、ビームセイバーを振り払った。
 機人の身体に二つの閃きが走るが、そのその身体には傷を負っていなかった。
「エネルギーを弾くのか…どうするエックス?」
 ビームセイバーを構えながらゼロが訊く。
「どうするって言っても、こいつを倒さなきゃ先へは進めないんだ!」
 エックスは機人との間合いを取ると、バスターを構えなおす。
「相手がメカニロイドなら手はある!」
 エックスはバスターを頭上へと掲げた。
 すると、バスターから蒼白い電撃が生じ、、音が立ち始めた。
 バチバチバチっっ!!
「成る程。超電圧で電子頭脳を一気に破壊するか…」
 電撃に包まれたバスターが機人へと向けて翳される。機人はエックスに向って突進して来た。
「トライサンダぁぁぁぁ!!」
 かけ声と共に、バスターから放たれた蒼白い輝きの奔流が機人へと襲い掛かる。電撃…トライサンダーは機人の身体へと直撃し、その身体を発光させた。電圧で電子頭脳が破壊されたのか、機人はその場にくずれ落ち、動かなくなった。‘武器可変システム’の恩恵だろう。先程の電撃は、本来他者の武器だ。エックスは敵の武器チップを両腕の装甲に埋め込まれている端子に接続することにより、その武器を扱えるようになるのだ。その武器も一度さえ接続すれば、そのデータが記憶され、次からは武器チップがあろうがなかろうが関係なく、いかなる場合でも使用出来るようになるのだ。ただし、体力消費量が激しい為使用制限がかけられている。


 動かなくなった機人を足で踏みにじりながら、ゼロはエックスへと顔を向けた。
「とりあえず、一段落か…」
「そうだな。まだ罠はありそうだけれど…」
 エックスが首を鳴らしながら言った。メットに内臓されている無線機を通して、クリスとカイルに呼びかけた。
「まだ先は長いけど、とりあえず休憩にしよう。皆に適当に休めと伝えてくれ」


 それから数時間が経過した。エイリアのナビゲートもあり、ほぼ最深部にまで到達した。
「これでほぼ全部か…思ったより楽だったな…」
 エックスは誰となく呟いた。確かにあれ以来、先程の機人の様な敵も現れておらず、少々拍子抜けしていた。
「……」
 ゼロは両腕を組み、黙りこくっていた。
「? どうしたんだ、ゼロ?」
 ゼロの沈黙に気づいたエックスは声をかけた。両腕を組みなおし、ゼロは呟いた。
「…妙だな…」
「…何がだ?」
「ここは‘グリーブ’のアジトだよな? だから侵入者撃退用の罠やさっきのメカニロイドみたいなのもいるわけだが、いくら何でもヤワすぎすぎやしないか? それにエイリアが言うにはここが最深部らしいが、いくら何でも楽すぎる。俺達じゃなくても、時間をかければ通過出来るはずだぜ…それに…」
「それに…何だ?」
「ここは奴等はアジトなのに、何で人っ子一人いないんだ?」
 確かにゼロの言う通りであった。ここまで来る間に人の姿を全く見かけていないのである。ここまで来れば、一人くらいはいるだろうと思ったが、やはり誰もいなかった。
「…もしかしてこれも罠か?」
 思ったことを口に出す。
「…可能性はありえるな。だが、その罠がどういうものなのか見当がつかない」
「とりあえず皆のところに戻ろう」
 ゼロにそう返した時、突如として基地全体に激震が走った。
「何だ!?」
 突然のことにエックスが叫ぶ。
(この振動は地震じゃない…これは…爆発か!)
 一瞬で思考をめぐらし、状況と今すべき行動をゼロは推測した。
「エックス!」
「おう!」
 呼びかけにエックスは即座の返答した。それから彼はメットの内側に内臓されている無線にスイッチを入れ、基地から離れた場所で数人の隊員達と待機しているエイリアに呼びかけた。
「エイリア!」
 エックスが呼びかけると、エイリアが即座に応答した。
『エックス? 良かったわ。無事だったのね?』
「一体何が起こっているんだ!?」
『分からないわ。今、その基地のデータベースにハッキングして現状を探っているんだけれど…それより大変よ! ハンターの皆の反応がどんどん無くなっていってるのよ!!』
「何だと!?」
『皆の鎧には発信機が搭載されているの。これは現在位置や生命反応を常時、こちらに受信しているのよ。反応が無くなっていくってことは…』
「くそっ!」
 エックスは険しそうに壁に拳を叩きつけた。となりでゼロが無線でハンター達に呼びかけていたが、どれも応答がない。
「ちいっ!」
 ゼロが舌打ちする。それからエイリアと無線で連絡をとっているエックスへと、血相を変えて叫んだ。
「やばいぞエックス!! 皆からの応答がねぇ!」
 ゼロの話を聞いたエックスの顔が徐々に蒼ざめていく。
「エイリア! とにかく俺とゼロは爆発地点へと向う! 君は現状把握とマーティに連絡してくれ! 彼女は救助部隊隊長だ!」
『分かったわ! 後でもう一回連絡するから!』
 そう言い残すと、エイリアからの無線が切れた。
「行くぞ!」
 ゼロはそう叫ぶと真っ先のその場を飛び出す。それにエックスが続く。
 来た道を引き返し、階段を駆け上がる。
 二人は全力疾走していた。その途中で再び激震が走る。だが、二人は怯まずに走り続けた。


 大きく吹き抜けた広間に辿りついたところで、エックスとゼロは足を止めた。疲れていたわけではない。二人の視界に驚くべき光景が飛び込んできたからだ。
 部屋の中心には四人程、人が立っていた。。そのうちの二人はエックスの部隊のクリスとカイルだ。そして彼等の周りには、多くのハンター達の血まみれとなった屍が無残にも散乱していた。
「クリス! カイル!」
 エックスが二人の名を呼ぶ。即座に二人は振り向き、「エックス隊長」と叫んだ。
 残り二人の長衣を纏った男達は‘グリーブ’の印である‘G’のアクセサリーを身に着けていた。さながら、彼等は反イレギュラーハンター組織、‘グリーブ’のメンバーであることは間違いなさそうだ。
 長衣を纏った黒髪で長身の男。名はアロン=カァーウィッチ。彼も昔、イレギュラー認定を下され、ハンターを殺し逃亡した男だ。
「さすがだな。お前の言ったとおりだな」
 アロンはもう一人の中肉中背の茶髪の青年に言った。
「当たり前さ。僕は昔、イレギュラーハンターにいたのだから、彼等のやることには大体見当がついている。だから、クロウ=マグナスをあの場で暴れさせたんだよ…それにしても本当に懐かしいな。僕のことを覚えているか? ゼロ…」
 茶髪の男はゼロを見つめながらそう口にした。エックスは前方に立っている男とゼロを交互に見る。ふいにゼロとの会話が脳裏を走った。


 …俺の…数少ない友人だったんだ…


 男はゼロの事を知っている。ならばこの男こそ八年前の…
「やはりお前だったか…カノン」
 ゼロは静かに男の名を呼んだ…




制作者コメント
どーも、お久しぶりです。
いやー、ついに出ましたこの男!
序章のころから匂いを漂わせていましたが、やっと今回の章で登場しました。


管理人コメント
カノンが遂に登場しましたね。
いよいよクライマックスに差し掛かるところでしょうか。
それにしてもゼロ、なかなか強かな性格をしてますなぁ(笑)
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