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投稿小説

JACK THE RIPPER!!(中編)
〜約百年前の事件の真実〜
制作者:昭和DLさん


 とある客の少ないカフェにファッションセンスがイッちゃってる馬鹿が二人いた。
 二人ともコーヒーはブラック。渋い
苦いんじゃボケェ!!!
 苦いのは当たり前なのに文句つけてるよ。
 とことん変人なジャック。
 が、弟のビートブードは味わいながら飲んでいる。
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!
 いきなりビートブードがジャックの顔面に向けてコーヒーを噴出た!
 物凄くむせている。舌出してるよ。
 そのうえ中身の残ってるコップをジャックの顔面に投げつける。
兄貴! 俺だって苦いんだよ!! 苦いんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!
 そして続けざまにジャックが叫ぶ。
「すまなかった! ジョーーーーン!!
ジョンって誰だーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
 二人ともやりたい放題だった。

 やっと本題に入ったころには喫茶店中がズブ濡れになっていた。
「で、何しに来たんだ? 我が弟グラビティよ……」
「兄貴はそんななんちゃって賢そうな人だったっけ?」
「うるせ。一度いってみたかっただけよん
 この兄弟ダメだ。
 いい加減本題に入れよ……
「ジャッ…ブーメルの兄貴。俺は知ってるぞ。兄貴は五人近くの女性……」
「『…をたぶらかしたんだろ?』ってか?」
ちげぇよ馬鹿殺すぞ
「……しーましぇん」
 前座のネタは作者がネタの尽きるまで続く。
「だから知ってんだよ! 兄貴は、兄貴は!!」
「やっぱり知ってたか。できれば知られたくはなかったんだがなぁ」
 ついに作者のネタが尽きた
「で、何しに来たんだ? まさかこの俺を警察にでも?」
「…場合によっては、な」
「どういう場合な訳?」
「兄貴を…止められなかったときさ。兄貴、頼むから教えてくれ。五人も殺めた理由はやっぱり……」
「ククククククク……そうかい。つまりお前は俺を止めに来たと。まあいいさ。ならここで話すのもアレだし、場所でも移動して……」
 と、カフェを出ようとしたときだった。
 マスターがその場に立ってるじゃねぇか。
「コーヒー撒き大会に使用した大量のコーヒー代、大量に割れたコップ代、そしてズブ濡れになったカフェ中の清掃費……」
 嫌な予感……
合計1504369ドルじゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!
 …………
 二人は黙って食い逃げならぬ飲み逃げしたとさ♪
払えゴルァああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
 猛ダッシュで逃げ、そのあとにジャックちゃんの家の中へ。
 黒のカーテンを閉め、電気は完全に消してある。
 まさにオタクの部屋?
 依頼人が眠っている。ジャックの鼻息は荒い。
「ハァハァ」
 ……わかる人だけわかってください
 そして彼らは椅子に座る。
「兄貴、彼女もターゲットか?」
「ククク、まあそんなところさ」
 その言葉が引金だった。
 ビートブードの顔がカフェのときと比べ、より真剣な表情を浮かべる。
「いくら“あのこと”を引き摺っている兄貴でも、これ以上は放ってはおけねぇ。力ずくでも阻止する!」
 何故か甲羅のような円盤を背負っているビートブード、その背中と円盤の間に背負っていた太く、身の丈ほどもある棒を取り出した。
 明らかに戦闘の構えをしている。
 厚い心を持つビートブードも、ハイエナ以上の殺気がたっていた。
 一方、凶悪連続殺人犯であるはずのクワンガーはというと、まるで殺気がなく、余裕の表情をしている。
「お前にはこの僕を止めることなんて出来やしない。悪いことはいわないさ。放っておいたほうが身のためだぞ」

 ビートブードが大きく棒を振り下ろす。その大振りをクワンガーは持ち前の身のこなしで簡単に避けた。
 正直、クワンガーの身のこなしはよい。体はかなりの痩型なので、体重は常人よりも比較的軽かった。そのうえ、連続殺人の現場逃走の逃足をもつ。
 だがビートブードの場合は、大柄の身体を持ち、筋力も常人離れしている。合計400kg以上もある装備を身に纏ってもまるで全裸状態と何ら変わりのないように動いた。
 スピードの兄、パワーの弟。一体どちらが勝つのか?
 そのまま外に出て、クワンガーは高速で逃げた。
 大柄の相手を避けるように、住宅地の間の小道をしなやかに通り抜ける。
 そして弟は、そんなことお構いなしと住宅地をブチ壊しながら相手を追った。
 低い建物から高い建物へと跳び、次々とひとっ跳び。まるでどっかの怪盗のよう。
 さらにそれを追い、弟が飛び移るたびに、体重のせいか先程まで立っていた建物を壊しながら跳んだ。
 気付けば、ここは先程コーヒー撒き大会会場だった五階建てのカフェの屋上だった。
 もう周りの建物は弟のせいで消えている。
 …が、そこで、クワンガーはついに化けの皮を剥がした。
「何度も忠告したはずだぞ……」
 朗らかで爽やかだった兄。そんなものは見る影すらない、殺人鬼の殺気へと変貌する。
「俺の邪魔をする者は、例え貴様でも許さん!」
 クワンガーが超スピードで、一瞬のうちにビートブードの目の前に現れ、ストレートをブチ込んだ。それを弟は紙一重、手のひらで受け止める。
 バック宙返りでもう一度距離を取り直した。と、その着地時に土煙が舞い、姿が消える。
 今度は背後をとった。
 この一撃はヒット!
 だが、それはさほど意味のあるものではない。ビートブード程の巨漢に痩せ細っているクワンガーの拳など、赤子に跳び付かれる程度のもの。
「兄貴! 俺にパワー勝負で勝てると思うなぁ!!」
 自分の特性鉄棒で思いっきり横振り。ブオオオォォォォンン!! たった一振りでかなりの風が生じた。
 それをクワンガーは跳んで避ける。ビートブードはそのまま更に縦にも振り下ろした。
 横っ飛びで難なく避けるクワンガー。
 ニヤリ。殺気混じりの眼に、不敵な笑みを浮かべた。
「パワー勝負で勝てるぐらいで、殺し合いで生き残れると思うなよ!!」
 頭の帽子の角を手に取る。五人の女性の生き血を吸った凶器のハサミだ。
 それと同時に、弟も背中の円盤を左手に構えた。正しくそれは盾。
「殺しの極意、特と味あわせてくれる!!」
 大きく眼を見開き、真正面から超スピードで襲い掛かる! 手に持つハサミを突き出した。
 それを盾で防御。そのまま押し返す。
 またもや宙返りで着地。そして更に、また高く跳び上がる。
「自己流暗殺術“投鳥操刀剣”!!」
 そこから自分の武器であるハサミをビートブードに向かって投げ飛ばす。
 カーブがかかっているそれをビートブードは間一髪で避けた。
 今がチャンス!
 今なら無防備状態。空中にいる為、ご自慢のスピードも発揮できない。
 仕留めようとビートブードが跳び、足を地面から離した瞬間……
「馬鹿めが! 本当の戦闘術というものを見せてやる。投鳥操刀剣奥義“ブーメラン・カッター”!!」

 突然の出来事で状況がうまく理解できない。
 …左腸を斬られた。
 一体どこから?
 気が付けば、クワンガーの右手に握られた武器、そして、それは血液で塗れていた。
「昔からだったよなぁ。戦闘術はいつも俺が上だったし」
 予想はつく。昔から兄貴の戦いを見てきた。
 ワイヤーでつながれ、本体と切離して投げ飛ばすハサミのブーメラン。
 それを使った戦闘術が彼の戦闘スタイルだった。
 クワンガー自己流暗殺術“投鳥操刀剣”。身を投げ出す様に跳び、鳥の様に優雅な動きがこの暗殺術の極意。鈍間なビートブードには明らかに分が悪かった。
 ビートブードは傷ついた患部を手で抑える。いわゆる手当てだ。
 出血が酷い。目が霞んできた。それでも……
 それでも兄を止めなければならない!!
「…兄貴、悪いが…あんたには俺は殺せない」
 クワンガーが目を大きく見開いた。その眼光が弟の目に向けられる。
「別に…兄弟だからとかじゃない……俺には切り札があるんだよ」
 クワンガーは疑わなかった。自分自身の考えを疑わなかった。ハッタリに決まっている。その言葉を疑う気はない。
 少々早いが、という気もあったが、クワンガーもトドメにはいった。
「死んでもらう! 投鳥操刀剣奥義“バニシングサイレント”!!」
 足音も聞こえなかった。姿も見えなかった。弟の体を風のように通り過ぎ、その優雅で無駄のない動きですれ違いざまに切り刻まれる。
 激痛の稲妻が走る。アキレス腱と大腿筋、上腕筋を斬られた。だが、より最も深刻なのは腹部と首の動脈のダメージ。
 急所という急所に傷を負った。最早動くことも不可能。命も消えかけ。もう駄目だ。目の前がもう暗い。
 ここまでか……。

 人の死などあっけないもの。どんな奴だって、人間であれば、ふとしたきっかけで幾らでも死ぬ。
 あっけないものだった。弟も。そして、俺の幸せも……。
 これで終われば、の話だが。
「……兄貴…また……終わっちゃいない……」
 ビートブードは立った。内股で、手はぶら下げた状態で。
 ありえることではない。主要の筋肉や腱を断裂したというのに。
「…俺ぁ今ま…で…あの…日からず…っと……あにっ…兄貴を止めるためだゲに……生きてきた……人々の為に……」
 何度も吐血した。血で口が汚れて、まともに喋れない。
 死にかけで霞んでいる、だがそれでいて鋭く強烈に訴えた。
「……そして…兄貴のダめにも!!」
 ―――全てがありえない。昔の弟は、弱虫で泣き虫で控えめで、いつも俺の後ろにいた弟が……まさかとは思うが、立ち上がる程の気力と執念を持つとは……
 兄を止めるために、ただそれだけ。
 血だらけの男は最後の手段、切り札を使う。
「兄貴、俺はあれからも鍛え続けてきた。ハァハァ……俺の戦闘術“豪戦棒剣伎”で……」
 ついに切り札を発動だ。
 鉄の棒を豪快なモーションで大きく振り下ろす。別に敵が近づいてきたわけでもないのに。
 叩いたのは床だ。床に叩きつけた。ヒビが入る程に強力。
 ―――こいつ、何を考えている。ここは建物の五階だぞ。
 そのヒビは端から端まで広がっている。今にも崩れそうだ。いや、巨漢の弟が乗っているのに、崩れないはずがない。
 兄は軽やかに高く跳んだ。鳥の様だ。暗殺術の極意のおかげだろう。
 崩れる寸前に弟も跳んだ。その巨漢が跳べばヒビだらけの床などすぐに崩れる。
 空中戦だ。しかし、確かに二人は超人離れしているが、空中で動けるわけでもない。ただ落下するだけ。
 だが、ここからが弟の切り札である作戦だったのだ。
 自分の鉄の棒をクワンガーに向けて投げつけた。当たれば痛いでは済まされない。
 兄は確信した。これが狙いか。
 相手は投鳥操刀剣の使い手。空中戦は得意だ。それに、空中戦素人の弟が、常人離れした筋肉でも、下半身の力なしでは正確には投げられない。
 弟の投げた棒は当たらなかった。体を少し捻らせ、紙一重でかわした。
 そして奥義ブーメランカッターを投げつける。当然、弟の腹を貫いた。
 吐血。今度こそトドメが刺さったかもしれない。
 かと思えば、弟はニヤついた。わけがわからない。クワンガーは少々焦りを感じた。
 …なんだ? 風が吹いている? 飛び上がったときは吹いていなかったのに。
 兄は振り返った。そこには、ビートブードが投げつけた鉄の棒が回転していた!!
 なんなんだこれは!? 棒に吸い寄せられる…!
「……豪戦棒剣伎奥義“バグホール”!!」
 これが……奴の切り札だったのか……。
 吸い寄せられたクワンガーは回転した棒に当たり、弾かれ、五階建てのカフェへと落下していく。
 弾かれたときにビートブードの方に棒が飛んできた。決まり文句でキャッチ。
 二人で落下した。二乗に比例し、その速度は上がる。
 ビートブードが思いっきり振り下ろした! 四階、三階、二階を突き破り、そして一回に落下!!
 カフェの中にいる人は皆驚いた。そして注目する。土煙が舞い、よく見えない。

 恐らく、このカフェはかなりの被害にあっているだろう。屋上から一回まで見渡せるようになっている。
 奇跡的にも、被害者は出なかった。だが、ある意味ではここにいる全員が被害者で、マスターが一番の被害者だった
 土煙が晴れる。そこに立っていたのは……
 兄の方だった。そして、ハサミで腹を貫かれた弟が倒れていた。
 ビートブードの執念は、叶わなかった。
「ヒュ〜〜。よくがんばったよ。流石の俺もヒヤっとしたさ」

続く





制作者コメント
前編同様、半分ぐらい一気に書いたり(何
もう目がつかれてヤバイ状態にあるかも
とりあえず書き終えたんで見てちょんまげ(ぉぃ

戦闘シーンは・・・
まあ擬人化した兄弟を戦わせた感じだと思ってください(待


管理人コメント
いやぁ、今回も大爆笑させてもらいましたよ。
この兄弟、楽しいです。大好きですね(笑)
戦闘シーンもよかったですよ。特殊武器は奥義なんですね。
でもほんと、テンポがよくって読みやすいです。比喩も上手いですし(^^)
後編のクライマックス、どうなるのかわくわくします〜♪
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