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ジャングルの守護神と森の女神(後編) シャイニング・タイガードと少女の物語 制作者:マシン・Jさん 現場へ着いた。 だが火の手はまだ間に合う範囲なのに消火班は立ち往生している。 「どうした! 早く火、消せ!!」 「そうしたいが、アレを見てくれ! ニュースの『赤い放火魔』じゃねぇか? アイツ…」 一人が指差した先には、赤いレプリロイドがいた。 「ヒーッヒッヒッヒッヒッヒ! 燃えろぉ! もっと…もっと激しくだあぁぁぁっヒャアァァァァッヒャッヒャッヒャ!!」 この火事の現場をまるで楽しんでいるかのようだ。 「う、うぅぅ……」 かすかだが声が聞こえた。 「パール! お前、何でここに!?」 パールは初めて会った時以上にひどいダメージを受けていた。 「…タイ…ガードちゃん…パールね……アイツに……パパとママと…お家…燃やされたの……さっき…思い出してね………」 「もう喋るな! お前命短くなる!!」 「カタキ…とるつもり……だった…のに…………火を出され……たら…体が…動かなく……なっちゃった………」 「大丈夫! 後、俺かたづける! パール絶対助かれ!!」 パールが救護班に運ばれるのを見届け、タイガードは放火の犯人を睨みつけた。 「お前絶対許さない!!」 しかし、夜という環境は彼の力を大幅に下げていた。 「ハ・ハ・ハ、蝿止まる〜♪」 タイガードの攻撃の前に、バーナー噴射された。 「うおぉぉぉぉ!」 かなりの出力…いや、まるでロケットとかの噴射だ。 「燃えた♪ 燃えた♪ …真っ赤に燃えたあぁぁぁぁぁ!!」 消火班の援護によりタイガードの炎は消え、ダメージは少なくて済んだ。 「じゃ・じゃ・じゃ・じゃ…邪魔すんじゃねぇよおぉぉぉ!!」 消火班に火の玉を投げつけてきた。 当たると大きく炎上し、消火班は倒れていく。 「えんっっじょおぉぉぉぉぉ!! たまんねぇ〜」 「やめろ! コイツら関係ない!!」 起き上がったタイガードはキャロッテクスの気を引くために、攻撃を仕掛けた。 レイスプラッシャーだ。 しかし、タイガードは先ほどの攻撃で大きなダメージを受けたためか、思うように出力が出ない。 キャロッテクス自信にもレイスプラッシャーはたいしたダメージになってないようだ。 足止めして炎が広がらないようにするのが精一杯だ。 さっきからその辺の戦闘用より強力で多彩な火炎殺法を受けながら、考えることは一つだった。 (まだ朝日昇らないのか……せめて太陽……) 「もっとハデに燃えてくれ〜。お前は特に、すんごい炎出しそうだ〜♪」 「くらえ! 爪なくても牙ある!」 ガブッ! だがすぐに離してしまうタイガード。 牙はドロドロに溶けてしまっていた。 「俺〜の体温♪……何度だったっけ? まぁとにかく、ただの鉄屑じゃ溶けちゃうよ〜♪」 レイスプラッシャーも決定力不足、牙もダメだった… 「ヤバイ…打つ手ない……」 「満足するほど動いたか? じゃ、燃えちまえぇぇぇぇ!!」 両手を合わせてバーナー噴射!! しかし次の瞬間……… 「燃え尽きたかなぁ〜……」 朝日が昇ってくるとタイガードは全身からまばゆい光を放った。 次の瞬間、タイガードの姿が見えない。 「…あれ?」 背後に回ったタイガードを見ようとした瞬間、キャロッテクスはズタズタになっていた。 「俺の力、太陽の力。何より強い」 「タイガード。どこも損傷しなかったのか?」 「俺の事どうでもいい!! パール大丈夫か!? 助かるか!?」 そう聞くと管理人は表情を曇らせていた。 「手は尽くしたが、頭脳チップの損傷がひどくて今まで生きてるのが…って、おい!」 タイガードは話もすっぽかしメディカルルームへ走っていく。 「パール! しっかりしろ、絶対助かれ言ったじゃないか!!」 「…タイ…ガードちゃん……ご…めんね…パ−ル……あの時…胸騒ぎ…して……ココ飛びだし…ちゃった…そ…そしたら……赤いレプリロイドが…」 「パール! 喋るダメ!!」 小さな手がタイガードの手を弱々しく握ってきた。 「タイガード…ちゃん………短い……間だ…たけど…パール……幸せ…だ……たよ…」 「何言ってる!? お前まだ……まだ…」 タイガードが言葉に困っているとパールは笑いかけてきた。 「あ………星が…きれいだね……」 「だからさっきから何言ってる!? 今、朝! 星、見えない!!」 その小さな手が力尽きたのがはっきりとわかった。 「パール! パール!!」 ジャングルは守護神の叫び声が響いていた。 (パール、すまない…でもこのジャングルお前の分も俺守っていく!) それから数年後。 その木はジャングルで一番の大木となり、女神の木と呼ばれるようになる。 | ||
制作者コメント 管理人コメント |
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