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投稿小説

鋼の魂に金色の花を(後編)
スラッシュ・ビストレオと妖精型レプリロイド
制作者:マシン・Jさん


「はあああぁぁぁぁぁ!」
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
 ゼロ対ビストレオの闘いは接近戦が多く、互いの武器が火花を散らしていた。
 距離が開くとビストレオは高々と飛び上がり、真上から飛び蹴りをしてくる。
 ゼロはとっさにダッシュで避けた。
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
 今度は光る爪を前にかざして突進してきた。
 速いがとっさに飛んで避ける…だが次の瞬間。
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
「なに!?」
 もう1度突進してきていた。
 これには対応できず、今度はビストレオの攻撃を受けてしまった。
「もらったぜ。闘いはどっちが先に主導権を握るかでほぼ決まるからな」
 ビストレオは両手に光る爪をかまえた。
「あばよ! 今まででお前が一番、手ごたえあったぜ!」
 ビストレオが攻撃をしようとしたその瞬間…
「やめて――――――――!」
 どこかで聞いた声がした。
 しかも気がついたら列車は目的地、レプリフォース基地の近くに着いている。
「ビストレオさん…どうして…どうして戦争なんてするのですか? 戦争は…悲しみと憎しみしか…残らないのに…」
 声の主は悲しげな目をしたジャニスだった。
 よろけているゼロはゆっくりと立ち上がりながら言った。
「誰かが、レプリフォースを止めなければならない…」
 ゼロが完全に立ち上がるとビストレオは再びかまえた。
「軍人ってのは、戦うことしか知らねぇバカばかりだからだ。
 俺の場合はもう一つ、そこに戦場があるからだ。
 お前にはきっと、わからない事だろうがな」
「あ!」
 ビストレオはジャニスをつかむと、指1本で首筋をたたく。
 気絶したジャニスをつかんで走り出したが、数秒後に素手で戻ってきた。
 ジャニスはどこかに置いてきたらしい。
「さて、止めて悪かったな。今度こそとどめだ!」
 ビストレオは再び突進攻撃をしかけた。
「フンッ!」
 ゼロはそれを飛んで避けると上から回転しながらセイバーを振り下ろしてきた。
 だが、ビストレオはそれをものともせず2撃目を繰り出す。
「2度も当たるか!」
 ゼロは再び飛んで避け、セイバーを振り下ろした。
「ぐっ…だが…」
 少し間合いを詰めるといきなり飛びかかってきた。
「くたばれ!」
 ゼロをつかむと、壁にたたきつける。
「ぐっ…まだいける!」
「さて、今度こそ身体に風穴あけてやるぜ!」
 ビストレオは爪をかまえ、突進してきた。
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
 ゼロはセイバーをとると、前に思い切り突き出した。
「はあああぁぁぁぁぁ!」
 雷神撃だ。ビストレオの脇腹に炸裂した。
「ぐおおぉぉぉぉ!」
 決着はついた。
「負けたか…だが、何故だ…悔しくねぇ。」
 ゼロは動けなくなったビストレオを置いて去ろうとする。
「待て! お前に…頼みがある」
 ゼロは立ち止まるとこう言ってきた。
「苦しむ者にとどめをさす趣味はない。まだ助かるとわかってればなおさらな。それに、俺は急いでいる」
「そんなことじゃない…これを…あいつにわたしてくれないか…」
 ビストレオが取り出したのは金色の小石…琥珀だった。
「それと、実はな……」

−***−

 レプリフォース大戦の真の黒幕はまたしてもシグマだった。
「これが…俺なのか…俺の姿なのか…結局誰も助けられなかった……アイリス……」
 ゼロは宇宙から帰る時に、こう同じ言葉を繰り返していた。
「だが…あいつとの約束は守らないとな」
 ゼロは琥珀を手にとると、レプリフォース基地へ向かいだした。
 確か基地のこの辺で…いた。
「あ……」
 ジャニスが寂しそうにたたずんでいた。
「ジャニス…だったな?ビストレオの置き土産だ」
「うぅ…ビストレオさん…」
 琥珀を受け取ると、また悲しそうな顔をする。
「なんで…同じレプリロイドなのに……」
「ああ、もう二度とこうなってはならない。…そうだ、あいつに頼まれたことがある。来てくれないか」
 ゼロがジャニスを連れて行った所はレプリフォース基地の裏側から少し離れた場所だった。
 レプリフォースの場合は知らないが、少なくてもイレギュラーハンター基地だとこういう所は人気がほとんどない。
「あれは…」
 そこにはひまわりが10本大きく育ち、見事な花を咲かせていた。
 ジャニスが以前あげた箱の底に種が入っていたそうだ。
「ビストレオさん……」
 ジャニスは一番大きなひまわりの根元にうずくまった。
 ゼロはそんなジャニスをみて、何も言えなくなっていた。
 戦争とはいえ、彼女が心を寄せた者を手にかけたのだから。
 そして同じ気持ちになった者を、もう一人知っていたのだから……




制作者コメント
ビストレオってこんなヤツ…じゃなかったよな…(しつこい!)
いや、それ以前に過去に使ったのと似た表現使っちゃってますね。
あと、おっとりさんは難しいですよぉ〜。(泣)
とりあえず、ひまわりが好きという事でラストの方はこうしたのですが。
ラストが暗い…仕方ないかな。


管理人コメント
いいお話でした。ありがとうございます♪
ビストレオ、雄々しいですね。強い者には立ち向かい、弱い者には優しくする。漢ですなぁ〜。
ゼロに関しても、アイリスを絡めて悲しさを一層際立たせていましたね。
せつないです。
さて、またイラスト描きました↓


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