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復讐鬼に捧ぐ鎮魂歌(後編) 復讐に燃えるグラビティ・ビートブードとガールフレンドの物語 制作者:マシン・Jさん エックスとビートブードの闘いは壮絶なものだった。 「クソォ…またパワーアップしてやがるぜ、コイツは」 ビートブードは一瞬今まで見たこともない構えをすると両手を上にあげた。 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 天井全てを覆うようにブラックホールが発生した。 「クッ…これは!?」 ビートブードの突撃を避けた後、えぐりとられた床が吸い込まれていく。 突進の隙を突いてバスターを撃つが、強度を増したビートブードの装甲はバスターを弾いていた。 そして次の突撃が! 「正面からのバスターが無意味なら…これでどうだ!」 振り向いたビートブードにチャージショットが炸裂! 「ぐわぁぁぁぁ!!」 ブラックホールも消えていく。 「ビートブード――――!!」 吹っ飛んだビートブードにアニーは駆け寄っていく。 「クソォ……まだまだ!!」 「ダメよ、無理しちゃ!」 アニーはさっきの喧嘩からは打って変わって本気で人を心配している顔だった。 「ビートブード…イレギュラーになったとはいえ、たった一人の兄弟を殺されたんだし複雑な気持ちになるとは思うわ。でも…」 「たった一人の兄弟だからさ。だからこそやり切れねぇ。かけがえのないものを失うってのはな…」 ビートブードが話してる途中、3人は妙なことに気付く。 「ビートブード…この船、傾いてない?」 「そんなバカな! 目的地までもう少し時間がかかるはずだぞ!」 「早く脱出しないと!」 アニーはビートブードを担ぐと、ビートブードが言ってた階段に向かって歩く。 階段を昇り終わるとジェット機が数台あり、人影もあった。 「君は、第0特殊部隊のイプシロン!?」 「エックス隊長にビートブード、お疲れ様。この船はあと5分ぐらいで地上に落ちます」 「どういうことだ!?」 「ここまでやってくれたのでしたらもう十分ということです。ビートブード、あなたはもうお払い箱なのですよ」 イプシロンは短めのビームソードを両手に構える。 「しかし、あなたが生きていると後々面倒なので……」 イプシロンは素早く間合いを詰め、エックスに斬りかかった。 「しまった、バスターが!」 と思った次の瞬間、エックスはイプシロンの連続攻撃でやられていた。 「ぐわあぁぁぁぁぁ!!」 「ビートブード、次はあなたの番です…」 イプシロンがビートブードのほうを向くと、アニーがスタンガンを構えていた。 「クックック…やるのですか? そんなスタンガンなどで戦闘用に立ち向かうとは……」 イプシロンはじわじわと間合いを詰めてくる。 「アニー、奴は俺を狙ってるんだ。引きつけるから早く逃げろ!」 「イヤ! ビートブードが闘うなら、私も闘うわ!」 じわじわと間合いが詰まっていく。 「あっ…」 気がつくとスタンガンが切断されていた。 「女性を斬る趣味はないのですが……どかないと言うのなら、次は本当に斬りますよ?」 「やってみなさいよ! このカス野郎!」 アニーの鉄拳がイプシロンの顔面に炸裂! イプシロンは吹っ飛んでいったが効いてる様子は全くない。 「ほう…気の強いお嬢さんですね。だが、いつまでその態度でいられるかな!?」 イプシロンが動こうとすると今度は何者かのバスターが飛んできた。 「バカな…エックスはもう動けんはず。となると……」 バスターの飛んできた地点を見るとゼロがいた。 「げえぇぇぇ! ゼロがなぜここに!?」 さっきまでの余裕な態度はどこかへ行ったのか、イプシロンは急に取り乱す。 「エックス!」 「ゼロ…今は俺にかまうより、早く脱出しないと」 「だが、コイツが邪魔だな。すぐ片付ける!」 ゼロはイプシロンを睨みつけた。 「クソッ…こうなったらやってやる! やってやるぞぉ!」 ゼロとイプシロンの闘いも長引き、このままでは地上激突は免れなさそうだ。 (こっちの攻撃が効いてない!? イプシロンの奴…) (これでゼロと互角の勝負か…攻撃を効かなくしてもらったのはいいがこのままでは私も…) しかし、この均衡もビートブード後ろからイプシロンをつかむことで破れた。 「貴様! ドップラー博士に紹介してパワーアップさせた私を…復讐のチャンスを与えエックスが来るようにしてやった私を…」 「あぁ、アンタにはその辺感謝してるさ。だがな、俺を利用したじゃねぇか! アニーまで危険な目にあわせやがって! それにな、エックスは俺が倒すんだよ! 兄貴の無念を晴らすためにな!」 イプシロンは暴れるがビートブードは離れない。 「ゼロ、アニーを逃がしてくれ! 俺もいつまでこいつを止めれるかわからねぇ」 「放せ! いくら私の特殊アーマーでも、墜落したら死ぬぞ!」 一瞬驚いたゼロだが、次の瞬間にはエックスをジェット機に入らせていた。 「エックス、俺はまだ諦めねぇぞ! アニー、早く逃げろ!」 「イヤ! ビートブードが闘うなら、私も闘うって言ったじゃない!!」 「ビートブード、頼む! 私が悪かった、放してくれぇ!!」 「ゼロ、早くしろって言ってるだろうが―――!!」 アニーが自分から動かないのならばと、ゼロはアニーをかつぐと走り出した。 「…悪く思うな!」 アニーを無理やりジェット機に放り込むとゼロはジェット機を発進させた。 「ダメ! お願い、降ろして!!」 「いけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「いやだ! 私はまだ死にたくない! 誰か助けてくれえぇぇぇぇぇぇぇ!!」 落ちていく輸送船を3人は脱出した時使ったジェット機から見ていた。 「ビートブード…ビートブードの…馬鹿―――――!!」 エックスが真の首謀者だったシグマを倒し、平和が戻った次の日のことだった。 ハンターベースにピアノが鳴り響いていた。 美しくも何か悲しげな曲がハンター基地の一室から聞こえてくる。 エックスがそこに足を踏み入れると久々にアニーがピアノを弾いてるのを見た。 「アニー…これは何の曲だい?」 エックスが話し掛けると明るく振る舞うが、無理してる感は否めなかった。 「私のオリジナルですよ。曲名は…まだ決まってないんですよね……今は『鋼鉄の鎮魂歌(こうてつのレクイエム)』ということにしておきます」 エックスは誰のために弾いているのかなんとなくわかった。 (今回も、多くの犠牲が出たけどな…) 「アイツ…最後はイレギュラーハンターでしたよね……私たちの仲間でしたよね…」 寂しそうな表情でアニーは呟いた。 「あぁ、アイツは立派な特A級ハンターだったよ」 | ||
制作者コメント 管理人コメント |
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