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(スプラッシュ・ウオフライ編) 制作者:mariさん もう、あいつがレッドアラートに来てから10年が経つな……。 レッドアラートの薙刀使い、スプラッシュ・ウオフライ。彼は沈んだバトルシップの上で、「あいつ」のことをいまさらながら思い出していた。 「おい、みんな集まれ!(レッド)」 「何だレッド、今日は俺たちの休暇日だろ?(カラスティング)」 「レッド殿、貴殿の後ろにいるのは何奴で……?(ストンコング)」 「今から紹介するからちょっと待ってろよ。ほら、前出ろ」 ヘルメットと胸のプロテクターに付いた少し大きめの水晶と、顔に刻まれた×型の傷が印象的な少年がうれしそうに前へ出た。 「名前は何ていうダスか?(デボニオン)」 「アクセル!」 「おいアクセル、その顔の傷は何だ? 喧嘩でもしたのか?(イノブスキー)」 「しらなーいっ!」 「はあ?! てめぇ、総長のオレ様をなめてんのか?!(イ)」 気の抜けた返事に総長はずっこけた。 「あぁ、そうだった。こいつ、記憶が全然ねぇんだ。自分の名前以外全部忘れてやがる。(レ)」 「先に言ってくれよ。でも記憶がないんじゃ、質問できないな(カ)」 「レッド、そいつ本当にレッドアラートの役に立つんだろうな? かなりの雑魚だったら困るぜ? ヒヒヒ・・・(ウオフライ)」 「そんなことないぜ、こいつにはすごい能力があるんだ、なあアクセル」 「ねえおじちゃん、ボク何だか眠くなってきちゃった」 「おじちゃんじゃねぇっ!! オレはレッドだ、レ ッ ド ! ったく、まあいい。そこの扉を右に行った5つ目の部屋が空き部屋になってるから、そこで……」 「右ってどっち?」 「ハァー。ウオフライ、案内してやれよ」 「ああ?! 何でオレが? 大体レッド、オレが子供嫌いだって事知ってるだろうよ、ええ?」 「ぶっとばされたいか? ん?」 顔は笑っているが、目は笑っていない。 「……わかったよ。おい小僧、ちゃんとついてこ……痛ええええ!!」 突然の絶叫に誰もが視線を彼に戻した。なんとアクセルがウオフライのパイプ部分をぐいぐい引っ張って遊んでいるではないか。痛がっているにもかかわらず、アクセルはとても楽しそうだ。 「小僧、その手を放せっ!」 もともと短気な性格の彼はすぐさま薙刀を取り出して、所構わず振り回した。 「!」 ちょっとやりすぎた、と感じたのだろうか、アクセルは手を放した。 彼は薙刀をアクセルの鼻頭に突きつけると、 「オレはお前みたいなガキは嫌いなんだ。今度やったら真っ二つにするぜ、いいな」 とドスをきかせて短く言った。だが、アクセルは怖がらず、代わりに笑顔で言った。 「魚のおじちゃん、おもしろいひとだね!」 「はぁ?!」 それが、オレとあいつの出会いだったな。まさか「おじちゃん」と言われるとは……オレ、そんなに老けて見えるか? それにあいつが「おじちゃん」といわなくなったのはつい最近の話だしなぁ…… つい思い出し笑いが出てしまう。しかし、すぐに彼の笑顔は曇る。 あのまま――――あのまま、何事もなく時が流れていれば…… ―1年前― あれから仲間も増え、レッドアラートは全部で10人になった。 アクセルも成長し、前の幼さは少し残るものの、チームの中心的存在として活躍するようになっていた。そして、今日は全員総出の大きな仕事が入っていた。 「いいかてめぇら。いつも俺たちはミスはしないとはいえ、今日の相手は裏でも強力な力を持つと言われてるギャング共だ。いつ殺られるかも分からねぇ、十分に注意しろ!」 「わかってるさ。心配は無用だ(ハイエナード)」 「そうそう、ボクたち強いんだから(ガンガルン)」 「フォッフォッ、わしらはミスせんよ(アリクイック)」 「それに、僕のコピー能力があるでしょ!(ア)」 「フッ、野郎共、出発だ!」 「「オオーッ!」」 そこで彼は激しい後悔の念に駆られた。 オレが…あいつを死の淵まで追い詰めたんだ……!! | ||
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