「ああ、それでしたらこれをこうすれば、ホラこうなるでしょ?」
カイルの優しい、透明な声がPC実習室に響く。
「わぁー本当だ!すごいすごい!天才だわ!」
普段はおとなしいクララの声が、今日はひときわ大きく聞こえる。

ここマジックアカデミーでも時代の流れを受け、本格的なIT教育が始まることとなった。
生徒全員が専用のパソコンを持ち、専門家を招いての本格的な教育が始まった。
ルキアのようにパソコンよりも体を動かすのが好き、というタイプではないが、
新しい技術に何か違和感を感じて後ずさりしてしまうクララはカイルにパソコンを教えてもらっていたのだ。
「では、ネットにつなげてみましょう。これは僕のパソコンなんですけど、見ててくださいね。ここを押すんですよ。やってみますね。」
カイルのパソコンからブラウザが立ち上がり、表示された。

「え?!」クララが一瞬息を呑んだ。
サイトを見ていたカイルの瞳に、一瞬邪悪な光が宿ったような気がした。
立ち上がったサイトは…「2ちゃんねる」。
「何か…ありましたか?」怪訝そうにクララの顔を見たカイルの瞳は、いつもの優しい彼の瞳だった。
「う、ううん。なんでもないよ。あ、こんな時間。寮の門限が迫ってるよ。帰らなきゃね」
クララは自分の考えを否定するように慌てて首を振り、帰宅を促した。


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