レオンもクララも、ただ唇を噛んでいたが。レオンは息を吐いて口を開いた。
「―俺達で何とかしようぜ、クララ」
「でも、私には何もないです、レオンさん」
レオンはクララを励ますように彼女の両肩を叩いてから、自身の胸板も叩いた。
「クララ、お前は探索(サーチ)の魔法が使えるし、箒は俺が操ってやる。何かあったら俺が攻撃魔法を使う。治癒魔法は、お前の得意分野だろ?それに俺達、独りぼっちじゃねえし」
クララは赤くなりながら、レオンを見て頷いた。レオンは頭に手をやった。
「そう言やぁ…ドロップも探さないとな」
「レオンさんのマジックペットですね」
「レオン、でいいぜ?クララ」
二人は校舎外の花壇へ向かった。

 花壇の前では、ハーブが風に揺らめいたまま動きを止めている。クララは両手を胸の前で交差した。
「―探索(サーチ)」
クララの一言で、彼女から放たれた白光が、一筋の光を作り、
アカデミーの遥か先まで伸びて行った。
光が辿りついたのは、アカデミーで最も高地にある、
ガルーダの教員室近くだった。レオンは右手に魔力を集中して、出現した箒を手にした。
レオンはクララに、後ろに乗るように言い、自身は飛行段階に入っていたが。
「クララ、もっと楽にしろよな?」
クララは、顔をレオンの背中に強く押し当てていたようだ。クララは気を取り直し、レオンの腰に腕を回した。レオンは、大地を思い切り蹴り、箒ごと空中に舞い上がった。
「クララ、行くぞ!」
「は、はい!!」
二人は、光の行方を追いかけた。

 やがて、クララの探索した光が、ある場所を照らしていた。
案の定、ガルーダの教員室の近くだった。二人は芝生に着陸し、
「時間柱」らしい物を探した。すると・・・
「ど、ドロップちゃん!?」
「マジかよ!?何で柱に突っ込んでんだよ、ドロップ!!」


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