労働キャンプを解放して戻った僕達を、ペンタグラムの面々が出迎える・・・・・
「お疲れ様。キャンプ解放作戦、成功させたんですってね。」
「ちょっとは見直したぜ。お前ら。」
「お前達も、なかなかやるじゃねぇか!見直したぜ!
ダンタリオン相手に、怯まずに頑張ったなんてよ、なかなか出来る事じゃないぜ!」
「案外やるじゃねぇか、デビルバスターさん!
やっぱ、育ちの良さってのは、作戦の成否にも関わってくるんかねぇ?」
「シェルター育ちも、バカにした物じゃないわね。
ちょっとは見直したわよ、ボーヤ!」
「なかなか頑張ったじゃないか。見直したぜ!」
「・・・・・・・・・・デビルバスターも中々やるじゃねぇか。
ま、俺達にゃ、到底及ばねぇだろうがな!」
「ふん、お前達も、案外やるじゃねえか。
根性があるってことだけは、認めてやる。
だが、まだ仲間だと、思ってる訳じゃないからな!」
通路とレジスタンスとすれ違うたびに、声をかけられた。
僕達は、治療室に連れて行かれた。
救急手当てと魔法では完全に傷が塞ぎ切れなかった分、治療する必要があった。
シェルターの医療施設と比べれば貧相な設備だが、傷を縫い合わせるのには十分であった。
「ほらよ、終わったぞ。早く次のやつと代われ。」
珍妙なマスクをした医者が腕の傷に包帯を巻き終えた。
そして、次は園田の治療だ。
疲労で眠気が襲ってくる。
身体が鉛のように重い。
うつらうつらしたとき、別の部屋で治療を終えた桐島が待合室に戻ってきた。
「労働キャンプの解放作戦、上手く行って安心したわね!」
一番重傷であった桐島が元気な声を張り上げたので、
安堵感が待合室の中に広がる。
「英美、大丈夫か?」
「大丈夫だって。応急処置がよかったから、傷が少しの残るぐらいだって。」
「よかった。」
早坂の顔がさらに明るくなった。
「本当に全員無事でよかった。
それに、シェルターにいた時と違って、何だかとっても達成感があって、充実した気分なのが不思議。」
「ああ。
いま、俺にも、デビルバスターだった頃に味わえなかった達成感がある。
何かさ、自分達の力でやったんだな・・・・・・・っていう、な。」
二人の顔を見ると、一仕事を終え満足した表情に満ち溢れている。
勿論、上河の顔もそうだ。
この雰囲気に馴染めない自分がいることに気づいた。
ダンタリオンを逃した後悔が心の多く占めている。
あの高慢な言い草からして、人間にやられたことを許せないと思っているに違いない。
僕のように復讐を誓っているに違いない。
きちんと止めを刺すべきだった。
あの時、追跡していれば…
「…………もっと前から、デビルバスターが外の世界に出て、他の人達の為にも、悪魔と戦えば良かったのよね。
レジスタンスの人達の言う事も、本当にもっともだわ。
今更遅いんだけど・・・・・・・・・・ね。」
「あっ。ああ、そうだな。」
話が突然振られたので、考え事を中断して適当に相槌を打つ。
「これで少しは、他の人達からの風当たりも和らぐでしょうね。」
上河はやれやれとした表情で言った。
園田の治療が終わる頃、渡邊が姿を現わした。
「みんな、良くやってくれたな。
今回の作戦で、皆疲労困憊していると思う。
後は、ゆっくりと養生してくれ。
・・・・・・・・・と言いたいところだが、新宿都庁解放作戦の方が、かなりてこずっている。
このまま進展が見られない場合、応援部隊として、君達にも参加してもらう事になるかも知れない。
そのため、出動に備えて、君達には自室で待機していて貰いたい。」
「都庁には、バエルが篭城していると聞きましたが、それは本当なのですか?」
早坂のバエルの一言で身体が炎のように熱くなる。
「その事は間違いはない。
バエルは、部下であるアドニスを従えて最上階に篭城し、我々の攻撃に必死で抵抗をしているのだ。」
「バエルといえば・・・・・我々のシェルターを壊滅させた、悪魔共を指揮していた存在・・・・・・・・」
「・・・・・・・逆に、私達の方から、志願したいくらいです!」
早坂と桐島が即答した。
そして、僕も志願を希望した。
「そうか・・・・・・・
すまないが、宜しく頼むよ。」
「了解!
よし、これで、怪我の治療もOKだし。
じゃあ葛城、俺は部屋に戻っているよ。」
「私も部屋に戻るわ。色々と考えたいの。
じゃ、お先にね、葛城君。」
「では、僕も…」
三人が部屋を出て行った。
「先に行ってくれないか、葛城。
この後、俺は渡邊さんと次の作戦について話し合うことになっているからな。」
園田は包帯を巻き終わっていないようだった。
「それじゃ、先に戻るよ。」