走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・
私が守る!!





そう・・・・・きこえたような気がした。



約束の地で番外 ブラスカ編予告


神の子
―――再来












「おかあさん!おかあさん!!」
倒れた母親に銀髪の少年が縋る。
「ブ・・・ブラスカ・・・・あ・・・たは・・・ユ・・・ナ・・・カ・・・まの・・・・・・生きる・・・のよ・・・・」
血に濡れた手で少年の頬をなで、母親は絶命した。
「・・・・・・・おかあさん・・・・・・・」
蒼いはずの少年の瞳から
色が失われた。








「なに?!サイフィア様が・・・魔物に?!」
薄い水色の髪をした歳若そうな男がぴく、と眉を吊り上げる。
「いつの話だ・・・!!サイフィア様は1週間も前にベベルから出ただろう!」
「・・・おそらくその直後に・・・。ベベルからマカラーニャへお戻りになる際に魔物の群れに襲われた
らしく・・・フローラ様も・・・殺された模様です・・・」
「フローラ様も?!」
ウェルスと呼ばれたその男は椅子から立ち上がり執事らしい男に詰め寄る。
「子供は?!サイフィア様の子供は?!!」
「・・・ビアンカ様はすでに・・・ブラスカ様は・・・かろうじて・・・」
「・・・・・なんて酷い事を・・・ッ・・・」
ウェルスは乱暴に服を脱ぎ、外着に着替え始めた。
「どこへ・・・?」
「決まっているだろう!ブラスカのところだ!叔母が死んだのに行かないバカがとこにいるんだ!」
「わかりました。私が案内致します」
「ブラスカはどうなってる?」
「はい。どうされますか?まだ引き取り手がいないそうですが・・・」
「俺がなる。俺が引き取る
俺の唯一の肉親だからな」










老師候補の息子が孤児院に入れられるなんて・・・。
イライラする気持ちを押さえて向かった孤児院でウェルスは見つけた。
隅で小さくうずくまるブラスカを。


「どうやら目の前で3人が惨殺されるのを見てしまったようで・・・
口が聞けなくなっているみたいです」
「・・・・・かわいそうに・・・・・」
そっと近寄る。




思わず絶句した。




はじめてみる従兄弟。
銀髪に蒼い瞳。
幼い顔には、放心したままの表情が浮かぶ。
「ブラスカ。ブラスカ。私は君の従兄弟のウェルスと言うんだ。君を引き取りたいけどいいかな?」
「・・・・・」
「君より12歳年上だ。よろしくな」
ぼんやりとブラスカはウェルスを見上げる。
母親に似た面影。
「・・・・おかあさん・・・・」








走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・
私が守る!!





「あのクソガキ・・・・ッ!ぶっ殺してやる!!」
老師の息子だという事も忘れ、本気で殺したいと思ってしまった。
「ウェルス・・・・・もういい・・・・最後までやられてないから・・・・」
苦しそうな顔で無理に笑うブラスカにさらに怒りが篭る。
「お前を・・・・こんな目にさせておいて・・・ッ許すわけにはいかない・・・!
アーヴァインが死んだから老師になったような人間の息子が・・・
図に乗りやがって・・・!!」
怒りに震える手に手を差し伸べてくれなかったら
きっと俺は・・・・
そのままガルフを殺しにいってたかもしれなかった。
「やめてよ・・・!俺・・・俺・・・、ウェルスが老師になったらいっぱい仕返しするから・・・!
これでも俺・・・5年前にアルテマ唱えた人間だよ・・・?」
「ブラスカ・・・・」
「だから・・・・俺を許して・・・・・
抱いてよ、ウェルス・・・・・ッ!!」
乱れた銀髪を振って懸命にすがるブラスカに・・・・・
結局は折れてしまった。









走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・
私が守る!!










再来
―――そして・・・











「ウェルス様!おめでとうございます!」
ブラスカの唱えた水属性魔法がウェルスの頭上で弓なりに流れた。
それは光との調和で虹を作る。
途端湧き上がる歓声に微笑みながらブラスカを見遣ると、彼は悪戯が見つかった
子供のように舌を出した。
「ったく・・・覚えた魔法はどこでもいいから1回使わないと気がすまない・・・ってか?」


空を見上げる。
雲ひとつ流れていない澄み切ったそれを見上げ、呟く。
「アーヴァインよ・・・・
お前の息子もブラスカも・・・立派に成長しているぞ・・・・」







ガシャンと花瓶を盛大に落としてブラスカは泣きながら俺に叫んだ。
「ひどいよ・・・ひどい、ウェルス様!!
俺を・・・・俺が!!
どんな気持ちでアナタに抱かれてたか知ってたくせに!!」
「待て、ブラスカッ!!誰からそれを・・・!」
「そんなの関係ない!」
飛び出したブラスカを追おうとして・・・・・
足が止まった。

事実、かも知れない。
この先、老師となった自分に好かれていたという事実は
間違いなく彼を出世の道へと導く。
抱かれなれた体でどんどん出世街道を・・・・
だけど・・・だけど・・・・









悲哀
―――運命










「嫌だ!何故・・・何故ウェルス様なんですかッ!
私も・・・っ、俺も連れて行ってくださいッ!!」
今更・・・・俺を愛していたとでもいうのか。
「ダメだ」
「どうして?!俺だって十分戦力になれます!」
「お前と俺は違う」
「何が違うんですか!!」




お前の歩むべき時代はもっと後だ。
お前はアーロンと共に。



「俺はステファンと共に。だからお前は連れて行けない。
死ぬかもしれない。お前が死んだらユウナちゃんやビアンカさんになんて言えばいい?」
「それは・・・だけど・・・ウェルス様が死ぬのは嫌だ!!」
「俺がそう簡単に死ぬとでも思っているのか?
仮にも俺はお前に魔法を教えた人間だぜ?」
「ウェルス様・・・・どうしても・・・行ってしまわれるんですか・・・?」
泣くな。
泣かないでくれ。
俺の決心が揺らいでしまう。
「・・・・ああ・・・。アーヴァインの敵討ちだ」










走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・








「命に変えても・・・俺が守る!!」
「・・・・・信じてます。ステファン・・・」











「ユウナレスカ様の再来・・・か・・・」
「どうされました、ブラスカ様」
「いや・・・見送りにな・・・」
「そうですか・・・」
アーヴァインの息子は今、ブラスカの横で師を信じ祈る。
旅の無事を。
せめて究極召喚を手に入れるまで死なないで・・・。
「ステファン様が心配かい、アーロン」
「・・・当たり前です・・・」











なんのために生まれてきたか今までわからなかった。
今はわかる気がする。
「・・・・アーロン。旅に出よう。君も一緒に」
「本当ですかッ!!」
そんなに嬉しそうにしないでくれ。
そんなに私に期待しないでくれ。
こんな・・・
惨めな人間を。





走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・
私が守る!!







なんのために生まれてきたか今までわからなかった。
今はわかる気がする
妻を・・・師を・・・親友を・・・。
自分から奪い取っていったシンを倒すために。


旅に出よう。





「ブラスカ様!!」
走ってくる僧兵の方を向く。
「たった今、ベベルで大暴れした男を牢にぶち込みました!
しかしなんでも、自分はザナルカンドから来たとか言ってまして」
「ザナルカンドから?」
「はい」
「ふーん・・・アーロン」
「はい?」
「行ってみようか?」
「は?」
「その男に会いに行かない?」
「・・・は?」










悲劇
―――始まり










走れ
逃げろ

お前の物語はここで終わらせるわけにはいかない
運命の子よ
走れ
逃げのびよ

お前は再来
神の子の再来

こんなところで終わらせるわけには・・・いかない!!
命に変えても・・・
私が守る!





ごめんウェルス。
俺は・・・
私は旅に出るよ。

もし私がユウナレスカの再来ならば、シンを倒せるはず。
大丈夫。
アーロンも連れて行く。
ザナルカンドから来たっていうジェクトという男も一緒だ。
旅に出るよ。




北へ
最果ての地・ザナルカンドへ
―――――













END



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