セラフ戦の映画館

 預言者=オラクルに会う前に、セラフと名乗る人物にカンフー勝負を挑まれるネオ。
 二人は日本の茶店のような場所(Tea House)で戦い始めるが、やがて壁をぶち抜いて妙な闘場に出る。さらに二人は、有り得ない様な妙な場所に飛び込んでしまう。

 それは、「マトリックスリローデッド」が上映されている映画館だった。つい今しがたTea Houseで戦っていたネオとセラフと、全く同じものが銀幕に映っている。
 館内にはたった一人だけひげ面の観客が居り、スクリーンを隠された事に腹を立てて野次りまくる。最後にはネオ対セラフの激闘に「もっと暴れまわれ!」と魅入られていたものの、どうでもよさげだ。

 それにしても不思議な場面だ。ネオはテロリスト扱いの筈だし、ましてセラフは人間に知られている存在ですらない筈。こんな場面はおかしい。「マトリックスリローデッド」が作られている筈が無い。
 これは全くの推測だが、この映画館はわたし達の住むこの次元を表しているのではないか?!
 無責任に野次り、銀幕に食べ物をぶつけるひげ男は観客を揶揄している…?

 勿論、SF(サイエンス・フィクション)っぽく纏められたマトワールドの住人が、作品から飛び出して客の目の前に出て来る等という、ギャグマンガの様なメタな事をする筈は無い。 設定の上ではこの映画館はちゃんとマトリックス内にあって、映画はたまたまネオ達に似ていただけと言う事だろうが。

 この妙ちきりんな第3ラウンドの終わりは、つかみ合いになった二人が銀幕にぶつかり、すると水面に飛び込むようにズボッと二人の姿が消えてしまい、それで元のTea Houseに戻れるというものだった。
 やはりそんな感じがするでしょうが。

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