靴を脱ぎ、朋也の家にお邪魔する。
朋也は廊下の電気を点け、あたしを誘導してくれた。
「いや、まー、そのあれだ。別に遠慮しなくていいからな」
「わ、わかってるわよ・・・」
朋也は、あたしの顔がこわばっているのに気づいていたようで、そう言ってくれた。
それからあたしは朋也の部屋まで案内される。
「まあ、こんな狭くてなにもない部屋でわりいけどよ、ベッドの上にでも座ってくれ」
「う、うん」
あたしは言われるままに、ボタンを抱っこしながら、ベッドの上に座る。
朋也の方は、あたしに向かい合うようにして、椅子に座る。
しかし恥ずかしくて、あたしは朋也に顔を合わすことができない。
そのせいで視界があっち行ったり、こっち行ったりしていた。
「なぁ、杏」
「・・・な、なに」
「やっぱおまえの隣に座るな」
「え・・・」
朋也は椅子から立ち上がり、こちらへ向かってくる。
「・・・・・・・・・」
あたしは顔を真っ赤にして、俯くしかなかった。
隣では、小さくベッドの軋む音がした。
それと同時に、隣に朋也の姿が見えた。
「ぷひ〜」
ボタンが苦しそうな声を上げる。
緊張のあまり、強く抱きしめすぎていたらしい。
「あっ、ごめん、ボタン」
「なにしてんだよ」
朋也が笑う。
「もう・・・笑わないでよ・・・」
また顔が赤くなったけれど・・・少しだけ、少しだけ胸がすっきりした。