「まあ、あいつのことなんてどうでもいいけどな」

「それもそうねぇ」

「つうか、時間がもったいねぇ」

言って、朋也は再びだらしなく歩き出す。

「待ってよ朋也・・・って、あんた、一体どこ行く気なのよっ!」

「どこって、決まってるだろ」

決まってるって・・・まさかっ!!





ケース2

目の前にはラブホテル。
「ね、ねぇ・・・朋也」
「なんだよ?」
「ここってラブホテルよねぇ?」
「そうだよ、他に何に見えるんだよ?」
「それって、つまり・・・」
「休日に恋人とラブホテルったら他に何をするんだよ」
「・・・・・・・・・」
ああ・・・どうしよう。
こんな事なら、もっとかわいい下着をはいてくるべきだった。
・・・って、そんなこと考えてる場合じゃないでしょっ、あたし!
でも、でも・・・・・・朋也があたしを抱いてくれるのよ!?
「こんなチャンスもうないかもしれない。だったら・・・・・・って、ああっ、あたしの馬鹿っ」
ぶんぶん。





「・・・・・・なに頭をぶんぶん振ってんだ、杏?」

「え・・・・・・?」

「ぷひー」

朋也は呆れた顔、ボタンは心配そうな表情でこちらを見ている。

「おまえ、さっきから変すぎるからな」

「あんたに、言われたくないわよ・・・・・・」

聞こえるかわからないぐらいの声で、あたしは呟く。

「ん、なんか言ったか?」

「別に」

「そうか?まあ、別にいいけど。しっかし、腹減ったな。どっかで飯食っていかねぇ?」

「あたしはいいけど、この子が入れないでしょ、店に」

「ぷひー・・・・・・」

あたしはボタンを抱きかかえて、朋也に見せる。

「どっかの定食屋で料理の材料でーす、つったら入らせてもらえそうじゃねえ?」

「物騒なことを口走らないでよっ」

あたしは辞書を構える。

「冗談だ」

「冗談にならないわよっ」




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