学校からの帰宅中、いつもの道を歩きながら、僕は軽く舌打ちをする。
  汗で肌にはりついたシャツの感触が、気持ちが悪い。
  暑い。まだ5月なのに、日差しは夏のようだ。
  とぼとぼと歩いているうちに、ようやく家の近くまで来る。
  隣の家の郵便受けのところに、女の人が立っているのが見えた。
  お隣の奥さんの、真理さんだ。正確な歳は知らないけど、20台後半くらいかな。
  白いシャツと青のジーンズ、という出で立ち。大きく張り出したバストを、
 窮屈そうにシャツが隠している。薄手の白い生地からは、紺色のブラジャーが
 うっすら透けて見える。わざとなのか、それとも閉めわすれなのか、シャツの
 ボタンは上から3つまで外され、柔らかそうな胸のふくらみを少しのぞかせている。
  ちょっと気になる女の人だ。憧れみたいなものかな。まぁ・・・正直なところ、
 成熟した年上の女性に対する性的な関心もあるけども。胸のふくらみや、くびれた
 腰からヒップにかけての、柔らかいラインを思い浮かべて、昨日の夜もオナニー
 をしてしまった。
  真理さんの姿を見て、さっきまでの鬱陶しい気分が消えていく。
  少し俯いて郵便物を確認しながら、玄関の方にゆっくりと歩いている。
  ついつい、視線が、胸元や透けて見えるブラジャー、ジーンズに包まれたヒップ
 ラインを追ってしまう。
  「こんにちは、孝之君」こちらに視線に気付いたのか、真理さんはドアを開き
 かけた手を止めて、振り返る。気さくな性格なのか、真理さんはいつも気軽に声を
 掛けてくれる。
  「あっ、こんにちは」慌てて、真理さんの身体から視線を逸らす。顔が熱くなる
 のを感じる。僕の様子に、真理さんは可笑しそうに微笑む。
  「そういえば、荷物を預かってるんだけど・・・、あとで持って行くね」
  「あ、ああ、それじゃあ、貰っていきます」
  僕の両親は共働きで帰りも遅いので、真理さんが宅配便の荷物を預かってくれる
 ことが、たびたびある。持って来て貰うのもなんか悪いし、それに・・・少しでも
 長く真理さんのことを見ていたかった。
  後について、玄関に入る。
  「孝之君って、コーヒー好き?」真理さんが振り返って聞く。
  「はい・・・好きですけど・・・」
  「じゃあ、あがって飲んでって。ちょっと、いい豆を貰ったから、一緒に飲も」
  「えっ、でも・・・悪いですから・・・」
  「遠慮しなくていいよ。それとも・・・おばさんの相手は、いやなのかな?」
  そう言って、ちょっといたずらっぽく微笑む。
  「あっ、いえ・・・そんなこと・・・」おばさんだなんて、とんでもない。
  「じゃあ、あがって」促されてリビングに入り、ソファに腰掛ける。

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