思いを込めて



時は12月23日、マモルの家ではちゃくちゃくとクリスマスに向けての準備が進んでいた。

「マモル、クリスマスプレゼントは何がいい?」
「えーとえーと……新しい図鑑が欲しいです!」
「図鑑ね、それじゃ我が家のサンタさんにお願いしておかなきゃ」
お母さんはそう言ってにこりと笑いました。
明後日はいよいよクリスマスです、何だかワクワクしてしまいます!
ふと、居間のテレビを見ると音楽番組をやっていました。
あ、ジャスティスさんが出てます!
クリスマスはお仕事で忙しいそうなのでジャスティスさんとは会えません。
でも、ジャスティスさんがたくさんテレビに出てらっしゃるのでそれで我慢です。
……ちょっと寂しいですけど……。
テーブルの方を見るとお姉ちゃんが何かを書いています。
覗き込んでみると何やら綺麗なカードがたくさん散らばっています。
これは、何でしょう?
「お姉ちゃん、これは何ですか?」
「ん?これはね、クリスマスカードよ」
くりすますかぁど?
「これにね、文字を入れて好きな人に送ったりするの」
「へー……そういうものなんですか」
「あたしのダーリンはクリスマスもお仕事だから、このカードをポストに入れておこうと思ってるの。
女の子らしくて、かわいいでしょ?どれにしようかなー」
好きな人に……。
ボクはテーブルの上に散らばっているカードを一枚手にとってみました。
そのカードには小さなヒイラギの葉っぱと雪の結晶のかわいいイラストが描かれていました。
クリスマスカード、ですか……。
「それ、気に入ったの?じゃあ持っていっていいわよ」
「え、本当にいいんですか?」
「別にいいわよ、たくさんあるし。はいこれ封筒よ」
「あ、ありがとうございます」
お姉ちゃんがカードと同じぐらいの大きさの封筒をボクにくれました。
カードをこれに入れて届ける……のでしょうね。
「それにしてもマモルがこんなもの欲しがるなんて……誰か渡すあてでもあるの?」
「えっ?!」
一瞬、ボクの心臓の鼓動が強くなりました。
「え、あ、ただ綺麗だなぁと思っただけで……」
「はいはい、そういうことにしておいてあ・げ・る」
ボクは血液が顔に集中するのを感じました。
誰に渡すだなんて……お姉ちゃんには言えません!
ボクは封筒とカードを持って、自分の部屋へと戻りました。
机に向かって、ペンを取ります。
さて、なんて書きましょうか……?
ボクの頭に、ジャスティスさんの顔が思い浮かびます。
クリスマスおめでとうございます、じゃ変ですよね……。
ボクは頭を悩ませた末、気持ちのままに文章を書くことにしました。
小さなカードを同じく小さな封筒に入れて、さらにかばんにしまいました。
コートを着て、かばんを持ち階段を下りて居間に行くと、お母さんとお姉ちゃんがクリスマスカードを選
んでいました。
「これなんかいいんじゃない?私もお父さんに渡そうかしら」
「それはちょっと派手すぎよ、お母さん」
「そうかしら……あら、マモル出かけるの?」
「はい、ちょっとお出かけしてきます!」
「なるべく早く帰るのよ、気をつけてね」
「はい!」
ボクはお母さんにそう告げると、玄関の扉を開け外へと飛び出しました。
もちろん、目的地は……。



時は流れ翌日、12月24日深夜。
ジャスティスは仕事を終え、帰宅したところであった。


はぁ、やっぱり生放送は緊張するなぁ。
とりあえず今日は疲れたしさっさとシャワーでも浴びて寝よう……。
そう思いながら俺はマンションのポストを開けた。
中から出てきたのはピザ屋のちらしに、ガス代のおしらせ、それから……あれ、何だろうこれ?
大量のちらしの中に、一つだけ見慣れない小さな封筒がまぎれこんでいた。
差出人の名前が無く、封もされてないみたいだ。
「なんだろ……」
俺はそっと、その封筒を開けて中身を取り出した。
「カード?差出人は……えっ、マモル君?!」
小さな封筒の中には季節感たっぷりのクリスマスカードが入っていた。
そのカードには小さな文字で文章が書き込まれている。
最後に小さくマモルの名前が記されている。
「これ、わざわざ俺の家まで届けにきてくれたのかな……マモル君」
ドキドキしながらこのカードをポストに入れるマモル君を想像して、俺の顔から自然と笑みがこぼれる。
「クリスマスカードだなんて……かわいいなぁ、マモル君は」
ひとしきり、その嬉しさを噛みしめた後、自分の部屋へと歩きながらカードに書いてある文章に目を通す。
「何々……?」



さらに時は流れ12月25日。
マモルは居間で下の兄と一緒に並んでテレビを見ていた。
テレビの画面にはジャスティスの姿が映し出されている。


『どうも、ジャスティス★です!今日はクリスマスだね!今日は聖なる夜にふさわしいようにはりきって
歌うから、お・う・え・んよろしくたのむぜ!!』
「……何ていうか今日のジャスティスさんはいつもにもましてハイテンションだな……」
「そうですね……」




ジャスティスさんへ

メリークリスマスです!
お仕事大変そうですけど、お体を壊さないようにがんばってください!

                          マモル  


うん、俺がんばるよマモル君!
君のために、俺は歌うよ。

『じゃあ、最初は恋人たちの夜ということでラブソングを一曲……』
思いを込めた俺からのプレゼント、マモル君に届くかな?



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