恋の角砂糖



だらしなく開いたヒグラシの口に、指を三本入れる。
その指にヒグラシの舌が絡み、ボクの指はあっという間に唾液でぬらされていく。
口内の感触を楽しむように動かすと飲み込みきれなかった唾液が、ヒグラシの口から零れ落ちる。
ボクはそっとその唾液を舌でなめ取った。
そっとヒグラシの口から指を引き抜くと、ヒグラシが恍惚とした表情でボクを見つめてくる。
その瞳は次にされるであろう行為を期待しているようにも見えた。
ボクは口の端に軽く笑みを作る。
その願い、ボクがかなえてあげるよ……ヒグラシ。
「ヒグラシ、力抜いてね……」
ヒグラシの唾液で濡らされた指を、ヒグラシの最奥に這わせる。
それだけでヒグラシの体がびくりと跳ねる。
軽く襞をほぐすように刺激したあと指を一本潜り込ませる。
その指は驚くほどたやすくヒグラシの内部に吸い込まれていく。
「ん……」
「ヒグラシ、痛くない?」
「だ、大丈夫です……あ、あん……」
ボクを誘い込むような動きに引き寄せられ、指を二本、三本と増やしていく。
前立腺を刺激すると悲鳴のような嬌声と共にヒグラシの体が大きく跳ねる。
「あ、あぁああっ!ロ、ローズ、さぁんっ、もう、だい、じょうぶですからぁ……」
ヒグラシが限界を訴えるように喘ぎ声を上げる。
「でも、きつくない?まだ三本だよ……」
「だ、大丈夫です……それより、早く、ローズさんが欲しいです……」
ヒグラシがボクを誘い込むように背中に手を回す。
やれやれ、そんな声言われちゃボクも我慢の限界だよ……。
ヒグラシの額に軽くキスを落とす。
ボクはそっと指を引き抜き、自分自身をソコに当てる。
ヒグラシの体が軽く跳ねる。
ボクはそっと体を進め、ヒグラシの体を割り開いた。
「あ、あぁあ……あ、はぁん……!」
「ヒグラシ……すごい……」
ヒグラシの中は想像以上にすごかった。
いつもより熱くて、ボクを中へ誘い込むようにうごめいている。
「どうしたの……?すごく、いい……」
「はぁ、あ、ぁ……ん」
ヒグラシの耳元でささやくと、言葉にならない吐息がひっきりなしにヒグラシの口から零れ落ちる。
ボクの問いに答えるようにヒグラシの目尻から透明な涙が一筋こぼれた。
ボクはそれを軽く舌でなめとった……味がしない。
快楽から涙はしょっぱくないって、何で聞いたんだっけ……。
ボクがぼんやりと考えているとヒグラシの口から言葉が落ちる。
「は、あ、あぁ……ローズさん……うごいてぇ……」
おおせのままに、お姫様。
ボクは嬉しさを噛みしめながら、高みに持って行くべく腰を動かした。




「ん……」
部屋が薄明るくなった頃、ヒグラシが目を覚ました。
「おはよう、ヒグラシ」
「あれ……ローズさん……?」 寝ぼけ眼をこすりながら、ヒグラシがボクを見る。
そして、何かに気づいたようにボクとヒグラシの体を見合わせ、おそらく腰の痛みにも気がついたんだろ
うみるみるうちに顔が赤くなっていく。
何かを言おうとして、ボクを見るも口をパクパクさせるだけで言葉が出てこないようだ。
「……ごちそうさま」
ボクの一言にヒグラシの顔が火を噴いたように赤くなる。
「う、うわぁ、ぼ、僕……」
「いやー、ヒグラシから誘ってくれるとは思ってなかったよ」
昨夜のヒグラシの姿を思い出す。
ヒグラシは顔を赤くしながら、起き上がろうとした。
「す、すいません、僕何を……いたぁっ!」
「ほらほら、いきなり起き上がろうとしちゃだめだよ」
「は、はい……」
ヒグラシが腰の痛みに耐え切れず、またベッドに横になる。
シングルベッドに大の大人二人で寝るのはちょっと狭くて、必然的にくっつくようになってしまう。
「その様子じゃ今日は無理そうだね……MZDに言っといてあげるよ」
「は、はいすいません……」
ヒグラシが恥ずかしそうに布団に潜り込もうとする、かわいいなぁ。
そういえば、僕はひとつ考えていたことをヒグラシに聞いてみることにした。
「ねぇ、ヒグラシ、昨日なんか変なもの食べた?」
「……はい?」
昨日のヒグラシは明らかに様子がおかしかったように思う。
……まぁそんな様子のヒグラシをいただいてしまったボクの言えることじゃないかもしれないけど。
ボクが疑っているのは薬、媚薬のたぐい。
あの様子からするとこの線が妥当じゃないかと思う。
誰かがヒグラシを狙って、混入させたんじゃないかってね。
横のヒグラシを見ると、必死で昨日の様子を思い出しているようだった。
「うーん……昨日食べたものといいましても自分で作った朝食と、パーティ会場のミールサービス……
あ、サイバー君にココアいただきましたね。甘かったです」
…………サイバー?
奴もヒグラシ狙いだったのか?
無邪気な振りをしてなんてこと考えてるんだろうねぇ……。
とりあえず、今日会場に行ったらサイバーを問い詰めてみよう。
隣を見るとヒグラシがまだ眠たそうに、うつらうつらしている。
「もうちょっと寝てるといいよ、ボクも少し寝るから」
「はい……」
しばらくすると、ヒグラシが静かに寝息を立て始めた。
ボクはそっとヒグラシの頭をなでた。
「……おつかれさま」
ボクはやすらかな顔で眠るヒグラシを抱きかかえるように横になった。


そして、ボクは幸せな気分のまま眠りについた。


……その時はMZDに「お前らもかよ!」と説教くらうだなんて思ってなかったわけだけど。


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