恋の角砂糖



「ヒグラシ……?」
ふいをつかれたんだろう、ローズさんは驚いたような顔をしながら僕に覆いかぶさったような体勢のまま
僕をじっと見つめていた。
僕はそっとローズさんのサングラスをはずす。
黒いレンズが取り外されると、金色の綺麗な目が姿を現す。
ああ、吸い込まれてしまいそうだな……と僕はほとんど物を考えることのできなくなった頭で思った。
「ローズ、さん……」
そのまま、手でローズさんの顔を包み込み引き寄せる。
僕はそっと自分の唇をローズさんの唇に重ね合わせた。
ローズさんの緊張が、唇から伝わってくるのがわかる。
それを感じると同時に僕の体を三度駆け巡る甘い電撃。
この衝撃は……快感。
僕は夢中で唇をむさぼった。
そっと舌を滑り込ませると、ローズさんに強く吸われる。
舌と舌が激しく絡み合い濡れた音を立てる。
こらえきれなくなった唾液が口の端を伝って零れるのを、ぼんやりとした頭で感じ取った。
やがて、唇が離れる。
物足りないように、銀糸が伝う。
ローズさんは戸惑ったような目で僕を見ていた。
ああ、軽蔑されちゃったかな……。
でも、この熱を沈められるのはあなただけなんです。
体があなたを求めてやまないんです。
「ローズ、さん……体が、熱いんです……」
「……ヒグラシ……」
ローズさんの目に、ゆらりと情欲の色が浮かぶ。
きっと僕の目にも同じ色が色濃く現れてるんでしょうね。
「ローズさんが、欲しいです……」
欲望を口にした瞬間、自分の体がベッドに押し付けられるのを感じた。
ローズさんが噛み付くように僕の首筋にキスをする。
僕は心が満たされるのを感じながら、自分を解き放った。
それから数十分間、僕の記憶は失われることになる。





何とかを、何とかしなければ男の恥……なんだったかな?
もうすでに赤く染まったヒグラシの首筋にきつく後をつける。
ヒグラシの体が大きく跳ねる。
「ふ、あぁあっ……!」
やけに調子の悪そうなヒグラシを拾ったのは、ついさっきのこと。
そして今はこんなことになっている。
「ヒグラシ、もうイッちゃったの……?早いねぇ」
ボクはヒグラシの衣服を全て剥ぎ取りながら、からかうように言う。
「あ……それは、ローズさんがする、から……」
ヒグラシが熱に浮かされた瞳でボクを見つめてくる。
いつもと違う、様子の変なヒグラシ。
「ヒグラシが誘ってきたのに……して欲しいんでしょう?」
そう、いつもはボクからしかけるのに今日は何とヒグラシから誘ってきたんだ。
漆黒の瞳は、快楽で潤んでいるように見える。
「ん……もっと、もっと欲しいです……」
もちろん、こんなおいしい状況を逃すボクではないけれど。
「もっとしてあげるよ、ヒグラシ……」
「んっ……」
放ったばかりで、しっとりと濡れているソコにそっと手を這わす。
ソコはまだ硬くて、かるく指で刺激を加えるとまた濡れた音を立て始める。
ボクは片手でソコを刺激しながら空いているほうの手を胸の突起に伸ばした。
「あ、あぁ、んっ……!」
そこはもうすでにピンと立ち上がっていて、指で揉みつぶすようにいじるとヒグラシが再び嬌声を上げな
がら体を振るわせる。
「どうしたの、ヒグラシ……今日はずいぶんと感じてるみたいだね」
「ひぁあ……ぼ、僕にもわかりま、せんっ、ああっ……!」
両手で体に刺激を加えながら、ヒグラシの体に赤い跡を残していく。
「ふ、あ、ぼ、僕もう……」
「またイキそう?」
ヒグラシが僕にしがみつきながら首を縦に振る。
ボクはそんなヒグラシを見ながら手を離すと、ヒグラシのソコを口に含んだ。
「ひ、ひぁっ、そんな僕、離し……!」
射精を促すように軽く吸ってあげると、ヒグラシが激しく体を震わせながら達する。
ボクは口に吐き出されたその液体を、一滴も残さぬように嚥下した。
生ぬるい粘度の高い液体が喉をゆっくりとつたっていく。
「す、すいません……僕……」
ヒグラシが顔を赤くしながら、僕のほうを見る。
申し訳そうにしながらにはその目からまだ情欲の色は消えていない。
ボクは存在を忘れていた自分を覆っていた衣服を脱ぎ捨てる。
「気にしない、気にしない……それより」
ボクはそっと指でヒグラシの唇をなぞる。
「まだ、足りないでしょう……?」
ヒグラシの喉がごくりと動き、目の色が揺らぐのがわかった。


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