最上サスガ氏大いに語る



酒でも飲もうと夜の街を歩いていると珍しい奴にであった。
ステージでの黒いコート姿ではなかったがあの顎はまちがいねぇ。
「よう、ジャスティスじゃねぇか」
「あ、最上さんこんばんは」
「なに、お前こんなところで何してんの?」
「ちょっと用事の帰りでして」
「ふーん……今暇か?」
「え?特に用事はありませんけど……」
「じゃあちょっとつきあわねぇ?」
指で輪を作り、くいっと酒をあおるふりをする。
「お酒ですか?」
「おう、つもる話もあんだろ、どうだ?」
「ご一緒してもいいんですか?」
「たまには誰かと飲むのもいいと思ってな」
「それじゃあ、ご一緒させていただきます」
「よっしゃ、決まり!近くの居酒屋でいいよな?」
「あ、はいおまかせします」
よしよし。
まーたまには誰かと話しながら飲むのもいいもんだよな。
『つもる話』もあるしな。



「ご注文の品はおそろいでしょうか?ごゆっくり」
テーブルの上には酒と適当に頼んだつまみが並んでいる。
「んじゃ、とりあえずかんぱーい、とな」
日本酒の入ったお猪口と淡いカクテルの入ったグラスがカチン、と音を立てる。
「くぅ、うまい!」
「あー、お酒飲むのも久々だな……」
「てか、最近どうよ?」
「最近ですか?パーティのおかげか少しずつ仕事が入るようになってきましたよ」       
「おーそりゃあ良かったじゃねぇか」
む、この枝豆ちょっと塩が強すぎるな。
「最上さんは最近どうなんです?友人さんの手がかりは見つかりましたか?」
ジャスティスがチーズを口に運びながら俺に聞いてくる。
「あー、ぜんぜんだな、あいつはどこいったんだろうなぁ」
「早く見つかるといいですね」
「おう、ありがとよ」
「あ、最上さんお注ぎしますよ」
空になったお猪口に酒を注ごうとする俺の手をジャスティスが止める。
「ん、すまねぇな」
「いえいえ」
そういや『アレ』はどうなってんのかな?
俺は気になっていたことを思い出した。
聞いてみるか。
「あー、そういえば」
「はい?」




「マモルちゃんとは最近どうなのよ?」




だばだばだば。
「うわっ!こぼすなよもったいねぇ!」
「す、すいません!」
ジャスティスがおしぼりでこぼれた日本酒を拭く。
「も、最上さん、それで、どうとは……」
「え?お前ら付き合ってるんだろ?」
ジャスティスの顔が火を噴くように赤くなる、おもしれー。
「な、なななな何で知ってるんですか?!」
なんだこいつ、気づかれてないとでも思ってたのか。
「いやー、だってお前の目あきらかに恋愛感情帯びてたもん」
てか、会場内でマモルちゃんにベタベタしすぎ?
あ、机に突っ伏した。
「マジですか……」
「ま、ほとんどの奴らは仲がいいぐらいにしか思ってないだろうがな」
俺の人生経験の豊富さのおかげって奴?
お、顔上げた、あきらかにホッとしてるな。
「んで、どうなのよ?」
「どうっていっても……」
ジャスティスが気を取り直すようにカクテルに口をつけた。
「もうヤッちゃった?」
「ごふっ!」
あーらら、むせた。
「大丈夫かー?」
「げほっ、ヤ、ヤるって何を……」
「エッチな事」
赤かったジャスティスの顔がさらに赤くなる。
「なななななな何考えてるんですかっ!!」
「いやー、パーティの日に付き合い始めたとするともう2ヶ月だろ?」
もうヤッててもおかしくないだろー。
「で、ヤッちゃったの?」
「できるわけないでしょう!」
ちぇ、つまんねーの。


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