ナルヒコがツクバのアパートに遊びにきたある日のこと。 ナルヒコはふと思い立ったように口を開いた。 「ずっと思ってたんだけどさぁ、ツクバさんのこれって何なの?」 突然の疑問に横にいたツクバの動きが止まる。 「これと申しますと?」 「これ!」 ナルヒコの指がツクバの頭のてっぺんのアンテナを指さす。 ツクバもようやくナルヒコの示す『これ』に気がついたようだ。 「これ……ですか?」 「そう、それ何のためについてるの?」 言葉をしゃべる動物や何億光年も遠くの宇宙人が平然と道を歩いているこの世界とは言っても 頭にアンテナを生やした人間など、ナルヒコは今まで見たことがなかった。 「何のためにと言われても……生まれたときから生えてましたし」 「ふーん……」 ツクバの答えに不満があるようにナルヒコは一つ溜息をついた。 やがて、ナルヒコは立ち上がるとツクバの背後へ立った。 「これ、触ってみてもいい?」 「え、ええ、かまいませんが」 ナルヒコの指がツクバのアンテナに触れる。 「硬くてひんやりしてる……」 プラスチックのようで、金属のようで、革のようでそのなんとも言えない感触にナルヒコは驚いた。 「な、なんだかドキドキしますね」 アンテナをいじくるようにナルヒコの指が動く。 「……あっ……」 ツクバの口から思わず吐息がこぼれる。 それを隠すように口を手で覆ったが時すでに遅し、ナルヒコが聞き逃すはずもなかった。 「……『あ』?」 「い、いえ、その何だかむずがゆくて、その、なんというか」 「…………感じた?」 「ち、違います! たたた、ただその背筋がぞっとするというか……!」 ツクバの頬が赤く染まる。 ナルヒコはニヤリと笑うとさらにアンテナにそっと唇を寄せた。 「ひゃっ?!」 「へぇ、ツクバさんこんなところが感じちゃうんだ……」 「や、やめてくださいよ~」 唇はそのまま耳へと降りていく。 「ねぇ、今日泊まっていってもいい、よね?」 耳元で囁かれるナルヒコの言葉。 「……私が明日休みなことは知ってるでしょう……」 ナルヒコはそのままツクバの首筋に音をたててひとつキスを落した。 |
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