星に願いを



お題:七夕なので短冊を書きましょう。


・ロズヒグ編

『好きな人と一緒にいられますように ヒグラシ』
「こんなもんかな……ローズさんは書けましたか?」
「う〜ん、なかなか難しいねぇ」
ヒグラシがちらっとローズの短冊を覗き込む。
そこには綺麗な筆記体で願い事が記されていた。

『ヒグラシが○○○で×××で@@@なことをしてくれま』

ヒグラシはローズの書きかけの短冊を引き裂いた。
「あぁっ、ひどい!」
「……な、何かいてるんですか!!」
「えぇっ?!だって自分の願望を書くんだろう?!」
「こんなお願い織姫と彦星が困っちゃいますよ!」

『訂正 ローズさんがもう少し恥ずかしいという感情を高めてくれますように ヒグラシ』


・ジャスマモ編

『背が伸びますように マモル』
「マモルくんはそんなに大きくなりたいの?」
「はい!……僕、クラスでも背がちっちゃい方なんで……」
マモルがしゅんとした様子で肩を落とす。
そんなマモルをジャスティスは何か考えるように見ていた。
「……困るなぁ……」
「え?」
「だって」
ジャスティスはマモルをひょいっと持ち上げ抱きかかえた。
「ひゃあっ?!」
「う〜ん、あんまりマモルくんに大きくなられるとこんな感じに抱きかかえられないじゃない?」
「だ、抱きかかえていただかなくても結構です!」
「何で?俺に抱きしめられるの……嫌?」
「い、嫌じゃないです!!むしろ大好きです!」
マモルが顔を赤くして否定する。
そんな様子のマモルを抱きかかえながらジャスティスはにこりと微笑んだ。

『これからも、マモルくんの近くにいれますように ジャスティス』


・マコジェフ編

『ジェフ君の髪の毛がすぐに伸びるようになりますように マコト』
ジェフは店先に飾られている笹に吊るされていた短冊を見た。
「……なんですか、これ……」
「ん?ああ、七夕だから自由に願い事を書いて吊るせるようにしてるんだ」
「いや、このマコトさんの短冊……ボクの髪の毛が伸びるようにって……」
「だって髪の毛が伸びたら俺のところに切りに来てくれるでしょ?」
「っな……」
「ジェフ君の髪の毛が早く伸びればたくさん会えるってことになるでしょ?」
「まったく……何恥ずかしいこと言ってるんですか」
「ふふふ、ジェフ君も一枚書いてく?」
マコトが紙とペンをジェフに渡す。
(星に願い、か……日本人も変なこと考えるものだな)
ジェフは少し考えてから紙にペンを走らせた。
書きあがった短冊を笹につるす。
「何て書いたの?」
「……秘密です」
「後で探しちゃおっと」
「別に、何もおもしろいことは書いてませんよ」
「ふ〜ん、あ、夕飯食べてくでしょ?母さんにジェフ君が来るって言うんでお願いしちゃったんだけど」
「あ、すいません、それじゃあいただいていきます」
ジェフとマコトは二人で話しながら店内へと消えていった。

『あの人に悪い虫がつきませんように ジェフ』


・サイシル編

『シルヴィーが俺のセンスを理解できるようになるように サイバー』
『あのバカのバカが少しでも直りますように シルヴィー』

『……何だこれ』
二人はお互いの短冊を見て同時につぶやいた。
「何だよこれ!このバカって俺のこと?!」
「何だはこっちのセリフだ!何だセンスを理解させるって!」
「だって俺のこの素晴らしく最高なファッションを理解できないなんてかわいそうじゃん!」
「理解したいとも思わないね!だいたい、バカにバカと言って何が悪い!」
「ああ、またバカって言った!バカって言うほうがバカなんだぞ、この真っ白お化け!」
「……どういう悪口だそれは……はぁ」
「よし、俺の勝ちー!」
「勝ちも負けもあるかこのバカ、ただ飽きれてるだけだ!だいたい何でボクはここにいるんだ!」
「えー、だって年に一度しかあえない恋人同士があえる日なんだぜ?俺たちが一緒にいないのっておかしいじゃん?」
「は?」
「とにかく今日は好きな奴と一緒にいなくちゃいけないの!俺が今決めた!」
サイバーの言葉にシルヴィーが思わず顔を赤く染める。
サイバーのきらきらとした目からシルヴィーは思わず顔をそらした。
「……いきなりそんなこと言うなんて反則だ……」
「何か言った?」
「……ふん、ボクはお前と恋人同士になった覚えなんてない」
「ひでぇ!」
「さっさとこの短冊をつるしに行くぞ、バカ」
「またバカって言うー……」
「悔しいのならまともな反論の一つでもしてみろ」
サイバーとシルヴィーはまた口論を繰り返しつつ部屋を出て行った。
二人はどことなく嬉しそうな笑みを顔に浮かべていた。



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