御鬼道
















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「ああ、イルカ、お待ちよ」

今日も今日とてカカシのところへ向かう俺は、会っても普段滅多に話し掛けない村人に声をかけられた。 おタエという女性だ。
しかも今は、こんな状態だ。なにごとかと思って振り返ると両脇を二人の男につかまれた。
俺は、かなり強くつかまれて悲鳴をあげた。

「痛い!なにするんだ…わっぷ!」

突然白い霧のようなものが振り掛けられた。

「退魔用の香水さ。これでお前を守ってやろうとしてるんだから大人しくおしよ」

俺はいやいやと首を横に振り、二度、三度と香水をかけられると、ようやく男達から解放された。

ひどい甘ったるい匂いだ。

おタエに毒づきながら、ほうほうのていで逃げ出す。
そのままカカシのもとに向かう。途中に川があったはずだ。そこで匂いを落とすことにした。



ようやく鬼の棲家にたどり着いた。
一応、誰もつけてきていないか背後を確認すると、洞窟へ足を踏み入れる。
昼間でも日の差し込まない鍾乳洞だ。

「!」

驚いた。カカシの棲みかである鍾乳洞の四辻が、ぐしゃぐしゃに荒らされている。

「これ、カカシが…?」

「イルカ」

振り返るとカカシが立っていた。

「カカシ、片目が…おかしいよ」

左目が赤い。

それだけではない。洞窟の闇に光っている。

ばたん!

「―――!!」

気がつくと床に横にされていた。カカシがのしかかって首もとをくんくんかいできた。

「随分、待ってたよ、イルカ君。それに、なに、この匂い。」

「すっごい匂い、するねぇ」怒気を孕んだ声に、思わず俺の喉が鳴った。

「さっき、川で洗い流してきたはず…」

「全然。すごい匂いするよ」

これはねぇ、俺の大好きな匂いなんだよ。そう言いながら、俺の両腕を俺の背中で一掴みにしてどこからか取り出した のか紐でぐるぐる巻きにした。

「なにす…」

「"猫にまたたび、鬼に月見香"って言ってね。
鬼にすごく弱い香りがあるの。月見香にはね、鬼は否応なしに興奮するの。オマエがそれを今つけてるわけ!」

びりびり…!と服を破く音が暗い洞窟に響き渡った。

「やめ…!」

「ううん、もうやめない。イルカ、お前村人の誰かにここのことを教えたでしょ?」

この場所がこんなぐしゃぐしゃになってるのは、オレじゃない、誰かがやったんだよ。
摘んできた薬草も全部持ち逃げされているし、明日からオレはどうやって暮らしていけばいいんだろうねぇ。

そう言いながら、カカシは容赦なく俺の服を破いてゆく。

カカシは怒っていた。それも、かなりどころの話ではない。
カカシは、洞窟に隠れるようにして暮らしていたのだ。
それが見つかったというと、まったく真逆のことが起こったということだ。
カカシは静かに暮らしたかったのだろう。

俺は誰かにこの場所を教えていたりしない。ならば、後をつけられたか―――

剥き出しになった肌に、カカシの舌が這う。
肩をなぞって、肩甲骨へ、筋肉の筋に沿って下へ、下へと下ってゆく。

「アッ!」

「こんなことで感じるの?敏感だねぇ」

クスクスと笑うカカシを泣きながら見上げると、出会ったばかりの頃に見た恐ろしい笑みを浮かべている。

「こっちは…?ふうん、感じてなくてもいいけどね」

「アッ」

下半身を布越しに強く扱かれて甲高い悲鳴があがった。

「即殺されなかっただけマシと思え」

剥き出しにされた尻に硬いなにかが当たった。
と、思ったら一気に貫かれる。

「あああっ」

慣らしてもいないのに、そこはカカシのモノを容易に飲み込んでゆく。

「アッ―――ヤァ!」

「気持ちイイ…―――いいね、名器だね」

オマエが気持ち良くなくてもね、いいの。
そう言うとすぐに律動をはじめる。
ズッズッ、と前後に動くにつれ、甲高い悲鳴も短く、長く、途切れ途切れに上がる。

そのまま、数時間。

カカシはイルカをなぶれるだけなぶり尽くした。








気がつくと、イルカは村にいた。
しかも、自分の家に、だ。
なぜ、ここに戻ってこれたのかは分からない。
しかし、夢うつつに、誰かに抱き運ばれてきた記憶がある。
誰かの腕の中で眠っていた記憶が。

まさか―――表札を見て、カカシが…?

『ごめん』

おぼろげな意識の中、何度も、何度も耳元で囁かれた記憶も…

「カカシ!」

俺は布団から飛び起きようとして、あまりの腰の痛さにまたも悲鳴をあげそうになった。
腰全体が痛い。あれから何時間、いや、一日は経っただろうか…


「それが、お前が入れ込んでいた鬼の名前か」

はっと顔を上げると村人達が松明を持って俺の家の前に立っていた。

「なんだ!お前たち、帰れよ!」

俺は叫んだ。

「お前がもう探そうとしても、その相手はもう居ない」

不吉なその言葉にはっとして痛む腰を抑えつつ立ち上がった。空が、赤い。もう夕刻…?

どけよ!と村人たちを掻き分けて外にでると、空が赤いのが太陽のせいではないと知る。


東の空が真っ赤だった。

森が…

森が、燃えている。

東の森がすっぽりと赤い炎に包まれていた。

「お前が入れ込んでいた鬼はもう燃えた。諦めろ」

「どうして…!どうしてこんなことをしたんだ?カカシは、なにもやっていないだろう!?」

「本当に、まだ、鬼はいたんだな…
…昔、お前が生まれる前に、本当に鬼はいたんだよ。
彼らは、村人達を何人か屠ると東の森へ消えていった…」

別の村人が口を開く。

「数十年前どこか、遠い国の忍が、里を失って、この村に落ち武者のように命からがら逃げてきたんだ。
彼らは、元は普通の人間だったかもしれない。しかし、生きるためにならなんでもした。
人を…人を、殺して屠ったんだ。そして鬼と成り下がった。
カカシという男、洞窟で生きていたというその男は忍の生き残りで、今でも 各地へ散った里の生き残りたちと連絡を取り合っているいたのだろう。いつの日か里を復興させようとしていた…
だが、一度、畜生道に堕ちた者の行く末は、そうゆくわけがない。
里など、風塵の跡形だ。見ろ、こうするのが一番良かったんだ」

村人に言われても、俺は聞かなかった。

「おい!イルカ!待て、待つんだ―――」

背後から、そう叫ぶ村人たちの声がしたが、俺は、炎に向かって駆け出していた。

お前も、お前もあの男と同じ、鬼になってしまうぞ―――

その叫び声にも振り返らないで。



(2007/9/22書)完結




この完結があんまりなのでNEXT








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