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●ペイン 暗い部屋に、二つの影が重なる。 薄い唇から、ちろり、と赤い舌先を見せて挑発してくる彼に、赤くなりそうなのをぐっと堪えて、強く歯を噛む。 包帯の解けた腕を持ち上げられ、二の腕の内側を、窓から差し込む月光に晒される。 「…痛そうですね」 そう呟いて、ねっとりと舐められて、背中に鳥肌が立った。 敵の忍びのクナイで負った、6センチの切り傷は、傷口がふさがって新しい皮膚がその上を覆っている。 しかし、舌先で執拗に嬲られて、ぴりりとわずかにしみた。 もしかしたら裂けたのかも知れない。 わずかに眉をひそめてから、痛みを気づかせまいと無表情になろうとして、彼を見ると、彼とかちり、と目があった。 傷口を舐めながら、うっそりと笑っている。 挑発的に。 いや、笑っていない。 角度が悪くて、口の端があがって笑っているように見えただけだ… そうだ、きっとそうに違いない、と思いながらも、笑っていた、という感じが消えない。 「カカシ先生…」 吐息が甘く漏れた。 また、次の任務で、失敗するかもしれない。 そして、傷を負う。 もう一度、彼の、あの笑みが見たくて。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 絵日記から抜粋 (2007/8/21書) NEXT |