4.
冷静さを装いながら,秋音の目の色は変わっていた.兄と弟を眺めながら,指は無意識の内に蜜壷の中へ滑り込み,蠢いている.意外にも惑乱の極みにある筈の冬人は,照れたように睫を伏せ,涙の粒を振り落とした.
「ねぇ,ねぇ好き?だからしたい?ね?お姉ちゃんとしたい?」
決まった答えを要求しているのだから,質問ではない.だが少年はこくんと頷くと,焦点の定まらない双眸で姉を仰ぐ.
「好き…でも…」
「冬人は俺のほうが好きだろ」
むすっとした夏樹が,注意を引き戻そうと耳朶に歯を立てる.冬人は華奢な鎖骨を見せて反り返ると,潤んだ眼差しで兄を非難する.
「夏樹さま,も好き…で…でも…でもぉ…」
横槍に苛立った秋音は,舌を鳴らすと,両の爪先を絨毯に滑らせ,バレリーナが体操をするようにするすると腰を沈め始めた.冬人は,恐懼に頬を引きつらせて叫ぶ.
「だめぇ,秋音さま,やっぱりだめぇ…」
聞き飽きた抗議には耳を貸さず,姉は弟を受け入れようとする.兄は根元を掴んで,二人が繋がり易いように手助けしてやる.少女は指で広げた中心を固く反り返った秘具へ押し当て,ゆっくりと飲み込むと,喜悦の吐息をついた.
「…皮ごと入ちゃったね…繋がるの…嫌なんて…ちゃんと妊娠…させられるように…なってから言いなさい…」
「…ふぁっ…っ…んっ…」
「冬人,秋音ぇ…俺,動くぞっ…もっいいだろっ…?」
夏樹が,自身半泣きになって尋ねる.冬人の肛腔に収めた陰茎が,己の放った精液に浸かりながら,"最強"で蠢動する無数のローターと,脈打つ腸壁に押し付けられているのだ.これ以上大人ぶっていられない.
「待って,もうちょっとこのまま…」
「動く!動くからな!」
胡座を掻いたまま,揺籃のように身体を前後に振って,腰に載せた弟妹を揺さぶる.ボーイソプラノとガールソプラノが可憐な二重奏を唄い,ひしと抱き合う.だが辛うじて意識が飛ぶのを免れた秋音は,兄よりは随分慎ましやかな胸を上下させ,負けじと腰を振り始めた.真丸な尻肉が雌鹿のように跳ね,開きかけた口元が再び挑戦的に歪む.意地を張って絶頂を迎えまいとする二人.互いを先に果てさせようと競い合って調子を上げる.間に挟まれ,既に息も絶え絶えな末弟にとっては酷な責苦だった.五分,十分と時の砂を噛むように,狂宴は長引いていく.
「はっ!夏樹お兄ちゃん,冬人の中でまた達っちゃうの?早過ぎない?」
「秋音だって,んっ!涎…垂れてるっ,ぞ…ふぁっ!…もうす…」