2.
少年は歯をがちがち鳴らしながら,歓喜と恐怖に泣きじゃくる相手を,一層激しく責める.少女はその背後に回って,二人の間に両手を差し入れ,薄く脂肪のついた弟の胸へ指を食い込ませた.
「ひぎゃぅうっ!ふぐぅっ!!あき,秋音様ぁあっ」
「冬人はちゃんと敬語使えるから偉いね.あ,胸,もう少し膨らんで来たみたい.夏樹お兄ちゃんより早くミルク出るようになるかなぁ…ふふっ」
「ぃぎぃっ!!揉まっ…ない…でぇ…」
途切れ途切れに懇願されると,少女はにっこりして,逆に激しく指を動かした.末弟の顔が苦痛に強張るのを見て,兄は面白くなさそうに抽送の速度を上げる.
「バカ冬人っ……俺だけ見てろよぉっ…秋音,ずるいぞ…今は俺がしてんだからっ…」
「駄目ー,あたしの方が立場が上なんだから…それに夏樹お兄ちゃんだって知ってるでしょ?膨らみはじめって一番敏感になるんだよねぇっ…お兄ちゃん小さい頃良く泣かされてたし」
「んなの…忘れた…」
頬を染めながら,夏樹は妹から目を逸らす.秋音は手を止めないまま,口を尖らせると,半開きになった冬人の唇から唾液を啜り取った.
「美味美味♪まぁ,おっぱい大きくする薬,冬人には夏樹お兄ちゃんのニ倍位打ってるから,発育も感度も違うんだろうけど…ほら冬人,あーんしててね?」
姉は片手を胸元から抜いて細い顎を掴むと,横に捻じ向け様,唇を奪った.弟はすぐ従順に受け入れると,共に艶めいた薄桃色の唇の間から,舌と舌とが絡む粘った音が漏れる.
のけものにされたような悔しさに,長兄はいきなり身を乗り出すと,己が乳房を弟の胸に押し付け,双つの唇の間に割って入った.すぐに三つ巴の舌戯が繰り広げられる.兄と姉は冬人の舌を取り合って啄むように接吻を繰り返す.まだ未熟な末弟は,幾度も流し込まれる涎に噎せながら,貪欲な雛に給餌する親鳥のように,忍耐強く舌を動かしていた.
「ぷはぁっ…はっ…上達したねっ…二人とも」
「あふっ…んっ…偉そう,に…はっ,くそ,冬人の中,温かくて溶けちまいそっ…」
「あぐっ…ひぎぃっ…夏樹さ…ひぅ…もっと…ゆっく…」
「指図すんなぁっ,バカ冬人!…こんな,やーらかいのに,締め付けるな…奥でピアスとか,棒の横…とか…ぎっしり詰った…ローター…ごつごつ…」
夏樹は惚けたように呟きながら,肩を奮わせると,まだ蒙古斑の色も濃い臀部に一際強く腰を打ち付け,熱い迸りを注ぎ込む.性感の過敏になった少年には灼熱の溶岩で臓腑を焼かれるような心地だったのだろう.信じられない角度まで反り返った背を,今度は姉が抱きとめ,胸飾りを抓り上げ,白い喉に噛み付くようにキスをする.