9.
「あ,あぁ,レイラ,レイラぁ…」
ぎゅっと華奢な肩甲骨を抱いて,女は睫の泪を払った.唯一残った肛門の触手が二人の結合に反応して激しくのたうち始める.動いて快感を貪ることを半ば強制されながら,それでも彼女は自らの意思で少年を高みへ連れて行こうとした.
「やっとファーストネームだけで呼んでくれたな…あは,な,ジム.気持イーだろ?俺もお前も化け物にヤられてんじゃない…二人でメークラブしてんだ…他はカスだ.それだけ考えてろ」
「レイラ,レイラぁ…」
「何だよ.相手が俺みたいなガサツな女じゃ嫌ってか?悪いな…ペース上げるぜ?」
「やぁっ…」
二人の内側を侵す触手は,とっくに胃を抉じ開けて食道まで達していた.だが死の女神(カーリー)は超人的な努力で愛の舞を舞う.乳房を纏めて押し上げ,幼い恋人の目を楽しませるように差し出し,悪戯っぽく片目を瞑って腰を左右に捻る.長髪から汗が飛び散り,転がったままの懐中電灯の光に,真珠の粒のような煌きを放つ.
「ひぁっ…ひゃっ,ふぁん…あぅっ」
「可愛く鳴くな♪この踊りにゃ最高の伴奏だぜ…っぅ…俺は…死神ってよばれってっけど…」
余りの心地良さに耐えかね,少年は無意識に腰を引く.すると手袋を嵌めた指が,形の良い桃尻を掴んで,乱暴に抓った後,ぐいと引き寄せる.
「逃げんな,お前のとんがったアレも…柔らかい尻も,全部俺のもんなんだから…な,この踊りを見た男は皆,俺を愛の女神(ドゥルガー)って言うんだぜ?」
「レイ…ラ…」
「大好きなジム,お前だけの為にずっと踊ってやるから…辛い事何か感じないように…ずっと……ずっと…グ…グゥ…ウグゴォッ!…グボァアァアッ!!」
少しでも幸福な時間を作り出そうと,彼女が気力を振り絞った舞踏は,しかし無惨な結末を迎えたた.ついに食道を這い登った触手が喉から桜色の唇へ出て,上から下まで彼女を串刺しにする形で縫いとめたのだ.胃液が逆流し,嘔吐感が込み上げてくる.だが全ての消化器官をみっちりと埋め尽くされ,身動きすら出来ない.
触手はそのまま,しなやかな姿態を操り,少年の唇へと近付く.涙を流しながら,レイラは自分の口から伸びた異物がJ・Jの口腔を犯すのを眺めなければいけなかった.
細い喉を抉じ開けながら,触手は下へと滑り降り,胃まで来てから,少年の体内の触手と絡まりあい,融合する.二人は接吻を強要されながら,下も上も,全てを一繋がりにされた.