5.

 羞恥に息を殺す喉.外聞を気遣う態度に腹が立って,内側につぷっと中指を入れ,無理矢理謳わせてやる.

「うあっ,そこやだアッ」

「どこだって良くなるよ.透ちゃんは全部敏感だから.何されても綺麗に鳴く楽器になれる」

 反対側の胸の石榴を甘噛みし,指を二本に増やす.痙攣,吐息.音楽の時間とそっくりの澄んだ声.スーツ越しのお腹に硬くなった彼自身が当る.指を捻り抜いて,ズボンの前を探り,ジッパーを見つけて降ろす.仕上げに釦を弾けば,すとんと彼の下穿きは太腿まで下がる.胸を弄っていた舌を臍まで舐め降ろし,まだ雛菊のような其を熱い口に含む.

 教師は両腕で少年の腰を高く抱え上げ,不安定にくねる上半身を宙に浮かせたまま,両脚の付根に顔を埋めていた.誰よりも憧れ,姉のように大切に思ってきた人に嬲られ,悦ぶべきか嘆くべきか,少年はただ荒く喘ぎながら,何度か裏返ったままやきを零す.

「まだ,出ない体なんだ…ごめん…気付かなかった…」

 あんまり辛そうなので一端降ろしてやる.もう腰が立たない少年を脇に抱えるようにして,夜道を脇に反れる.そう遠くない所に,恋人達がよく利用する神社がある.田舎独特の空間.時折職員会議で問題に取上げられたので,真美は良く知っていた.もっとも過疎化が進んだ今では殆ど客がいない.石段を足早に駆け上がると,狐を祀ったという祠に頭を下げ,幼い生贄を藪に投げ出す.

「すっごい可愛い…」

 一番最初の恋人に言われた言葉を思い出し,そのまま生徒に囁いてやる.少年はもうどうにでもなれという不貞腐れた顔で,じっと草の露を睨んでいる.女の流線形の脚が伸びて,ヒールを放ると,タイツを被った親指と人差し指で脱げかけのズボンを摘み,足首まで降ろす.

「脱いじゃって?」

 言われるがまま,細い踝がズボンとブリーフから抜ける.彼女は素直な仕草が嬉しくて,しゃがみ込んで顔を近づけ,紅い唇からはぁっと勃った包茎に息をかける.

 びくっと反応する柳腰.真美はマニキュアを塗った爪で自分の髪を纏めるリボンを解き,透自身の根元に縛り付けてにっこり笑った.

「ね?可愛いよ」

「…真美ネェ…」

 少年の顔が恥かしさに俯く.教師は胸ポケットから携帯電話を取り出して,素早くニ,三枚写真を撮った.

「何してんのサ!」

「んー.記念写真」

「そんナ…」

「益々逆らえなくなった?でも私も撮られたことあるんだ.顔は無しだったけど…こんなの東京じゃ結構当たり前かもよ?」

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