4.
「ゴメンね.もう我慢ができないんだ.やっぱ透ちゃんじゃなきゃ駄目なんだ」
「まみ,真美姉,泣かないデ.落ち着けば大丈夫だヨ.元の真美ネェに,ンッ…」
キス.酔いを起こしそうな.溺れてしまいそうな.指がシャツの間に入る.滑々した脇腹を撫でて,その上に進んで,小さな胸飾りを爪で挟む.痛みに暴れる体躯が,むしろ快く情欲を高めていく.
純愛なんかじゃない.欲望だ.解っている.狂っている.でも信じて透ちゃん.別に貴方の艶のある肌や,ふっくらした唇や,細い手足が欲しかったんじゃない.その大粒の瞳や,細い髪でも,合唱の時良く音の響く喉のせいでも無い.そんな子なら他にも居るでしょう.いいえ,居ないかもしれないけれど.私が欲しいのは…
「透ちゃん…ごめんね,壊れて?私の為だけのお人形になって?」
首を振る,学級委員.真面目な山田君.日に焼けた肌の優等生.塾にも公文にも行かず,共働きの家は,去年お兄さんが就職したっきりがらんとしている.だから今日ここで彼女が彼に何をしても,誰も気付く人は居ない.
「別に誘拐しようって言うんじゃないの.いつも通り学校に来て,いつも通り皆と笑って…でも残りの時間は,私だけの為に側にいて.」
「ずっと,ずっとそうしてたヨ.僕を置いて東京行ったのは真美ネェだヨ…」
「私だって普通になりたかったんだから.透ちゃんなんか,ただのちっこい幼馴染にして置きたかった.でももうダメっぽいんだ」
ズボンに手を掛けて後ろからずり降ろす.ブリーフに包まれたお尻が嫌がって左右に揺れる.可愛いだけ.何の効力も無い.本当は喜んでいるんじゃないかと錯覚する位.啜り泣く透.これから乱暴されるのが,そんなに厭わしいのだろうか.
「真美ネェ,真美ネッ!お父さんもお母さんも悲しむムヨ…」
「あの二人はきっと良いって言うよ.透ちゃんが婿養子ならOKって言うよ.今すぐじゃなくて,後…5年?10年…今はだから…」
だから?だからなんだろう.だから抵抗しないで?傷ついた顔をしないで?喜んで,僕も真美姉が好きって,ぎゅっと抱き返して?そんな都合のよい話ある訳ない.
だから,身体で繋いでしまおう.もう自分から離れられないように.綿布を剥ぎ,白いままのお尻を指で突付く.鼻でシャツを押し上げて,さっき摘んで赤く純血した乳首に歯を立てる.甲高い悲鳴.力なくもがく手足.15m離れたサッカーゴールにーボールを蹴り込める癖に,決して女の子は蹴れない性格.今日ばかりは紳士の素養が仇に成る.
「声が大きいの,そっちだね…」