7.
「ビビッた?よっえー.お前さ?まじOogie?まぁメルマガにはそう書いてあったけどガキな?」
「な,何言ってるんですか?」
何とか空とぼけようとしたが,出てきたのは情けなくなるほど裏返った声だった.相手は目付きを鋭くすると,ボウガンを軽く横に動かして,仲間を呼び寄せる.合計十人前後のチンピラが集まり,ゆっくりと輪を狭めてきた.
「誤魔化してもムダだぜ.Electronのサーバ・クラックされて,登録情報が.swのU.G.サイトから出回ってんだよ」
「3年前からやってから最初信じらんなかったけどよ.会社とつるんでんだって?可愛い顔して凄いでチュね」
「まぁ今日は日本の有志の皆さんで,クソOogie君をリアルにお仕置きする訳」
「始めますか?他の人揃ってないけど」
「カメラ回ってる?OK,じゃ行きます」
いきなり,首筋に激痛が走った.脚から力が抜け,半ズボンから剥き出しの膝が砂利道の上に落ちる.スタンガンを手にした男がげらげら笑っている.
腕をつかまれ,乱暴に引き摺り上げられる.目の前に,デジタル・カメラが数台,冷たいレンズを向けていた.
「はい,いい表情でチュね.どうする,これから」
「くそOogieにはgoodもevilもムカつき捲っていると思うので,容赦なくやっちゃいましょう」
再びスタンガンが押し当てられる.今度は首だけではなく,脚や肩,脇腹などに3個,4個同時だった.小さな肢体が痙攣し,絹を裂くような悲鳴が高架線に跳ね返る.折りしも線路を電車が走り抜け,叫びと鉄橋の軋みが折り重なって歪な交響曲を奏でた.
神経に多量の電流を流された扇は,だらしなく失禁しながら,洟や涙を溢れさせ,壊れた機巧人形のように幾度も背を反り返らせる.その間にもナイフは周囲を踊り,ランドセルの肩ベルトを切り刻み,シャツを縦に裂いて,薄く脂肪の乗った肌に細い切り傷をつけた.
「汚ぇな,もう4年生だろ?漏らすなよ」
「ヒャヒャ,マジで?無敵のOogie様がおしっこ出しちゃったんだ」
「ズボン脱げ.臭え」
チンピラ達には憐れみというものは無いようだった.ランドセルを奪い取ると,そのままどんと前に突き出す.つんのめる少年の足元へ,またボウガンの矢が刺さった.
「脱げ」
「脱ーげ,脱ーげ,脱ーげ」
卑猥な大合唱が起こる.ぶるぶると震えながら,華奢な手がゆっくりとズボンにかかり,ボタンを外して,降ろしていく.足元に一枚目の覆いが落ちると,横から差し込まれたナイフが素早くトランクスのゴムを切り落した.扇は慌てて滑り落ちそうになる二枚目の薄布を抑えようとするが,横合いから節くれだった指が伸びて押さえ込む.未成熟の下半身が裸にされると,熱い視線が秘所に絡みついた.