1.
混沌の平野(Field of Chaos)に悪(Evil)の大軍が現れた時,地平を黒く染める怪物(PC)の数に,天の日はしばし運行を止め,風のそよぎさえもが絶えた.
先頭を切る人喰鬼の首領(Ogre Leader)が,大木の幹のような太腕を振り降し,攻撃の部隊命令(party command:attack)を叫ぶや,八方から鬨の声が迸り,虚空に和して,雷鳴の如く大気を震わせる.
敵陣を目指し,地津波となって驀進する巨躯の群に,一斉に応戦の矢が撃ち込まれた.叢に潜んでいた妖精の射手(Elven Sniper)による,遠距離狙撃である.弓弦の音が止むのと同時に,隠れ蓑(Hiding)を解いた鎖帷子の煌きが草原に広がる.悪に相対する勢力善(Good)の戦士の登場だ.
死の雨の接近を認めた人喰鬼の首領が,最前線の味方十数匹に手を翳すと,ごつい指に嵌った魔導師の指輪(Wizardly Ring)から閃光が迸って,配下の小屋のような体躯を次々と石化(petrify)させていく.
初めから魔法への抵抗力(Magic Resist)が低い怪物達は,頭目の呪文を受けて大人しく玄武岩の塊に変ると,降り注ぐ鋭箭を弾く楯となった.折角必中(hit)効果を付加した妖精の武器も,石の像には効果が薄い.予想外の策略に,善の兵達は一寸戸惑いを見せた.
隙を突いて人喰い鬼の指輪が再び輝くと,石化は解呪され,部隊は再びじりじりと前進を開始し,ついに双方の間合いは数間を隔てるばかりとなった.慌てた妖精達が飛道具を接近戦(direct combat)用の武器に持ち替える間,少しでも時を稼ごうと,後方の方術士(Sorcerer)が攻撃呪文を詠唱する.かくてはならじと,筋骨隆々たる悪の切込隊長は猪首を蠕動させ,発動を阻止すべく咆哮(demons roar)を放った.数匹の人喰鬼がこれに声を合わせ,善の陣営の広範囲に麻痺(paralysis)と恐慌(depression)を巻き起こす.
残りの鬼共は妖精達へ襲い掛かった.魂を持たぬ(NPC)殺戮者達は,命乞いをする敵さえ纏めて叩き殺しながら,瞬く間に主力を潰走させる.
人喰鬼の首領は愛用の棍棒(Club AT+3)を振り回しながら,次々に善の戦士達の首を跳ね飛ばしていった.乱暴なようでいて,正確に急所だけを狙った攻撃は,熟練の腕前を窺わせる.圧倒的な力の差に妖精達の多くは早くも生き残りを諦めた様子で,成る丈派手な死に方をしようと足掻いたり,所構わず敵へと話し掛けたりといった按配だった.
"Hey? Oogie Boogie? I didn't know you've joined today's group game...Ohh, t'was unlucky for us...Hey, wait! beffore you kill this chara, please allow me to take SS of you and me..."