19.

「ひゃい,わたしが,いま,ぶるーすらいむをうみつけた,おんなのこたちの,すーじですっ!みんな,くるっちゃって,むこうで,ぐちゅぐちゅに,だきあってるの.おとこたちの,したいの,よこで,ばかみたいに,ゆみとか,けんのつかとか,あそこにいれてぇ」

「そうか,じゃあ,やっぱ,もう,充分だろうね?」

 夫の問い掛けに対し,妻は力一杯首を振って否定した.自分で秘裂と肛門を押し広げ,腰を屈めると,甘ったれた声で先を続ける.

「だめなのぉ,もっとうむの!うみつけるの,だってうみつけるそばから,どんどんどんどん,ぶんれつして,まえよりおなかくるしくなっちゃうんだもん」 

「でもね,いや,此処には,もう,君のお母様やお祖母様しか,なんていうか,残ってないんだ」

「だって,うみたい,うみたいもん!」

 やれやれと言った表情で,グノーフが長老達を振向く.

「どうでしょう,その,妻が,ああいって,居るのですが」 

「その子を少しでも近づけて御覧なさい.私達は舌を噛んで死にます」

「やだぁ!おかあさまひどい!」 

「そうですね.どうでしょう,その,お祖母様は」

 土の司を務める最長老は黙して答えなかった.歳月が,彼女に悲惨と向き合うだけの強さを与えていた.孫娘の哀れな姿は心を掻き乱したが,上古の破神戦争の記憶を止める数少ないエルフには,全てが"起り得ること"であった.

「グノーフ・タンタクス…お前のような者が絶えない限り,大陸は滅びの道を歩むでしょう…」

「あー,長上の,ご意見として,その,謹聴…いたします.しかし,その,何が?」

「かつてこの沙漠を作り上げたのも,魂砕きの魔薬を生み出したのも人の業.エルフが緑を甦らせる努力も,魔薬を追放した苦悩も,後から生まれたお前のような者によって容易く覆される…もし人がエルフを滅ぼしたら,世界を建て直そうとする種族は居なくなるでしょう…滅ぼすだけのお前達は,その果てに何を見出すのでしょうね」

「はは,何か,その,勘違いを,しておられる.古いものをね,保つだけのエルフと違い,人間はね,つまり,新しいものを,発明し,失われたものを再発見する,うん,そうですよ.沙漠さえ生み出す力,素晴らしいじゃないですか?エルフには,ええ,絶対に出来ない.魂砕き,これだけ精緻な薬を,長生きだけが,いってみれば,取柄の種族が,作れますか?」 

 ふっと,年老いた乙女は笑った.それは,にがく,重苦しい笑いだった.

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