「侑・・士?」
土曜の朝。いつもより早く起きた俺は、隣に居るべき相手の名前を呼ぶ。・・・「べき」と言ってるからには、今現在は隣に居ない訳で。
何で居ないのかは、耳を澄ましてハッキリする。
「なんだ、風呂か・・。」
ホッとした俺は、もう1度布団の中に潜り込む。
・・・侑士が使っている香水の匂いがする。・・・
それだけで、そこに侑士が本当に居る様な気持ちになった。
そんなこんなをしている内に、
「今日は随分と早起きなんやなァ?どないしたん??」
「ぁ、侑士!」
目的の人物・忍足侑士が、ボディーソープの匂いをさせながら俺が横になっているベッドへと腰を下ろす。
いつも右分けにしている前髪が、少し左に寄っていたので、俺は手グシで直してやると、
「おおきに」なんて言いながら、そっと俺のほっぺにキスしてきた。
「侑士って、いつもこんなに早く起きてんの?」
「早い、言うてもまだ6時やんか。平日は岳人やってこん位に起きるやろ??」
「まぁ・・」
だって、普通休日だったら昼位まで・・寝てるのって俺だけ?
「まだ疲れ取れてへんやろ?ゆっくり寝とってええよ。」
「疲れ」って言っても部活の、じゃなく、・・・・・まぁ、色々あったわけだ、昨日。
「じゃあ侑士も寝ようよ〜!俺1人じゃヤダ!」
「・・・・俺が風呂入ってる間、1人で寝とったやん・・」
・・そう言われてみれば、確かに。でもここで引き下がる俺じゃあない!あーだこーだ言ってる内に、侑士もとうとうおれた。
「眠くないんやけどなぁ・・」とぶつぶつ言いながら、再び布団に入る。
侑士が「おいで」って言うから、俺は侑士の腕の中に入った。
「へへー♪侑士っ!」
そう言いながら、「これでもか!!」と言う位侑士に抱き付いた。
「・・大丈夫か?身体・・。」
「うん、平気だって!気にし過ぎだよ、侑士はっ」
「そか。せやったら・・・」
え、何??
と聞こうとした俺より早く、今度は侑士が俺をきつく抱き締める。
「なんだよ突然!!」
あまりにも唐突過ぎて、声が裏返ってしまった俺に、
「身体、大丈夫なんやろ?」
なんて、聞いてもいない返事が返って来る。
・・確かに、「大丈夫」、とは答えたけどさ。それと抱き締めるのって・・・・・どういう関係が?
と、考えていたら。
「昨日の続き、しよか・・?」
は?
何言っちゃってんの、侑士?
「嫌だよ、なんでそうなんだよ!」
と怒鳴って力任せに暴れてやろうと思ったのに、こんな体制じゃそんな事出来やしない・・!
よって。
「ええやん、身体痛くないんやったら・・」
「無理無理無理!あ〜、身体痛いなーーー!!!」
・・・我ながら下手クソな演技だな・・。
とか思っている隙に、アッサリと身体を敷布団に押し付けられる。
「・・・そんな刺激的な格好で抱き付かれてみぃ。我慢出来ひんやろ、普通・・・」
と、侑士が耳元で囁く。
・・・っ、侑士はワザとやんてるんだ。俺がそれ弱いの、知ってて・・っ!
「な、・・・・ええやろ?」
「・・・っ、」
恥ずかしくって死にそうだ!!自分から、「いいよ」なんて言えるかっ!まるで誘ってるみたいじゃんか・・
「何も言わん、ちゅー事は、俺なりの解釈でええやんな?」
と言い、侑士は自分のバスローブを脱ぎ捨てた・・。
君が居れば。(後半)へ続く・・
|