自分がわからない、なんて言ったら、侑士は笑うかな。俺の事、「変な奴」って言って。
いきなり涙なんか流して、俯いて、そんでもって黙りこくって。そんな自分を、俺は知らない。今の俺は女みたいな状況と言っても過言じゃない。自分自身ですら収集つかないっていうのに、侑士が笑わない訳ない。
ーーだって、俺、侑士にそこまで気にかけていてもらってるなんて知らなかった。思いもしないよ、そんな事。だって、俺ってば人に迷惑をかけなかった事がない。・・・つまりいつも迷惑かけてるって事。そんな奴で、しかも俺、男じゃん。恋愛感情を同性に抱かれるなんて・・・・・・。しかもその想ってもらってた相手が侑士ときた。こんなウマイ話があるんだもん。涙腺だってイカレちゃうさ。
俺はそんな事を心の中で考えていた。次から次へと涙が溢れてくる。・・・・もう侑士だって「こんな奴に告白した俺が馬鹿だった」って思ってるに違いない。
なのに。
侑士は。
俺にーーーーーーーーーーー。
キス、してきたんだ。
意味不明だよ。何で俺なんかとキスしちゃうワケ?・・と自問自答してる自分の中の誰かが、そのキスを喜んでいた。
「なんで岳人はそうやってマイナス思考なん??俺かて自分に自信なんてあらへんわ。せやけどな?・・・・・岳人を想う気持ちなら自信ある。絶対、誰にも負けてへんて自信は。」
「・・・っホントに、おッ俺の事・・・・スキ?」
それは言葉の魔法
「誰か」ではなく、この人でしか操れない言霊
・・・そぅ。侑士じゃなければ、こんなにも気持ちが揺れ動く事は決してなく、
また、俺の全てが蕩ける事も絶対に有り得ない。
「あぁ、岳人が好きや。こんなに好きにさせた岳人は俺に対して責任取らなアカンで?」
「・・・・ぇ、な、何っッッ!?」
「俺の恋人になってや・・?」
スキってなんだろう。
どんな事なんだろう。
簡単にはいかない事だと、侑士をスキになって思った。でも、容易ではないこの感情を、貴方が導いてくれた。
考えてくれた。
教えてくれた。
与えて、くれたーーーーー
「・・・・ぅん・・・。っでも、俺の事、」
「嫌いにならないでね、なんて有りもしない事は言わんといてよ?」
そう言って侑士は俺をきつく抱き締める。そして耳元で、
「・・・俺は岳人しか愛せへん性分やから、生まれ付き・・・・・・・・・。」
そんな事を言って、また俺に口付けるのであったーーーーーーーーーー
THE END・・
|