『ひでぼんの書』

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第2部第6話

「くぅん……」
「……“しょごす”さん遅いねぇ」
 例によって締め切りに追われて――これは、先日眠り続けたからだ――パソコンの前に張り付いている僕の膝に頭を乗せてる“てぃんだろす”が、切なそうに鳴いた。
 今は夜の七時、普段ならそろそろ夕食の時間だ。
 しかし、夕食の買い物に出かけた“しょごす”さんが、まだ帰って来ないんだ。家を出てからもう3時間になるから、流石にそろそろ心配になってきた。あと1時間たっても帰らなかったら、本格的に探す事にしよう。まぁ、彼女は魚屋でカツオが売り切れた時、わざわざ四国に行って自ら採取してくるような人なので、今回もそのクチだと思うけど。
「あん、わぉん」
「お腹が空いた? じゃあ、何か軽いものを作ってあげるよ」
 “つぁとぅぐあ”さんと出会うまで、気楽で悲しい独身生活を謳歌していた僕は、簡単な料理くらいはなんとか作れる。扶養家族が増えたら家政婦派遣会社に泣き付く程度の生活力だけどね。
「……おら〜……とっとと飯食わせ〜……」
 ……で、もはや説明するまでもなく勝手に僕のお茶を飲んでる“いたくぁ”さんには、後でアナル地獄ツアーに案内してあげよう。うん、しばらくオムツが手放せないくらい念入りに。

 ぴんぽーん

 チャイムが脳天気に鳴ったのは、まさにその時だった。ちょうどそんな話をしていたので、“しょごす”さんが帰ってきたのだろうと、確認もせずに玄関のドアを開けたのは、正直、迂闊だと言われても仕方ない。
「あ、お帰りなさ――」
「「「わーい! お邪魔しますー!」」」
「「「お邪魔しますー!」」」
「「「ますー!」」」
 ずどどどどどどどどどどどどどどどどど――!!!
 ドアを開けると同時に雪崩れ込んできた、スクール水着幼女の大群に、僕は成すすべなく飲み込まれた。
 ああ、体重の軽い幼児でよかったなぁ……などと踏み越えられながら考えていた僕は、もうこんな類の珍現象に不感症になっているのかもしれない。
「……惨めな姿ね、赤松 英」
 十数分後、玄関先で足跡だらけになって地に伏していた僕は、頭上の軽蔑しきった声に導かれて、よろよろと顔を上げた。
 深い藍色のビジネススーツに、シャギーのかかった前髪から覗く切れ長の瞳が、冷たく僕を見下ろしている。
 僕と同じ『接触者』、龍田川 祥子さんだ。
「ええと、何の御用ですか?」
「……あなた、まだ状況を理解していないようね」
「いえ、ただの現実逃避です」
 彼女の全身から吹き出る『闘気』とでも言うべき雰囲気に、僕は完全に飲まれていた。どうやら、彼女も完全に本気らしい。
「でも、今更――」
 その時、腹の底に響くような地響きが、僕達をよろめかせた。
 地震!?――じゃない。
 それが地震ならどんなに良かったか。
 僕の視界に飛び込んできた光景――それは、僕の家から数百メートルくらい離れた場所で、家々の屋根を踏み潰さんばかりの巨体を向け合って対峙する、全長数十メートルの銀光りする悪魔的な巨大ロボットと、数十本の触手をくねらせる同じくらい巨大な黒いスライムの小山だった……
 黒い原形質なスライムは、我等の“しょごす”さんだろう。あまり信じたくないけど。
 それに、あの銀色の巨大ロボの方にも見覚えがある。あれは――

「“おとぅーむ”!!……くっ、ショゴスロードの邪魔が入ったの!?」
 龍田川さんの驚き様は、この光景が彼女にとっても予想外だったのだろう。2体の巨大『邪神』は、今まさに怪獣大戦争を始めようとしている。
「2000体の“でぃーぷわん”軍団で、あなたの旧支配者達の行動を邪魔させて、その隙に“おとぅーむ”であなたを抹殺する予定だったけど……計画変更ね」
 物騒で説明的な捨て台詞を残して、龍田川さんは“しょごす”さん達の方にダッシュで消えてしまった。
 あまりの急展開に、しばらく呆然としていた僕だけど――
「そうだ、みんなが!?」
 僕は慌てて家の中に飛び込んだ。
 龍田川さんの話が正しければ、2000体もの“でぃーぷわん”ちゃんが家に雪崩れ込んだ事になる。でも、家の中は逆に不気味なほど静かだった。不安が顔に出ないようにして、飛び込むように居間に移動する。そこには、相変わらず無感情に(僕の)お茶を飲む“いたくぁ”さんと、慌てて僕の懐に飛び込んできた“てぃんだろす”だけがいた。
「わん! わわん! わん!」
「え? 2階に“でぃーぷわん”の群れが怒涛の勢いで上がって行ったけど、あれは何だって?」
 “でぃーぷわん”軍団の目的は、2階にあるのか……
 2階……2階にある重要なものと言えば……まさか!?
「“つぁとぅぐあ”さん!?」
「わぉん!!」
「……いってら〜……」
 気の抜けた“いたくぁ”さんの応援を背中に聞きながら、僕と“てぃんだろす”はダッシュで2階に駆け上がり、押入れの靄の中に飛び込んだ――

「んんっ…はあぁ……あふぅ…いっぱいぃ……きゃふぅ!!」
「うわぁ……とっても気持ちいいねー」
「たくさん出ちゃいますー」
「次はぼくの番ですー」
 暗黒世界ン・カイの中では、思わず絶句しそうな光景が広がっていた。
 相変わらず無抵抗なまま怠惰に寝転んでいる“つぁとぅぐあ”さんに、まるでお菓子に集る蟻みたいに、大勢の“でぃーぷわん”ちゃん達が群がっているんだ。その数、2000体!!
 そして、僕が何より目を見張ったのは、どう見ても可愛らしいスク水美幼女にしか見えない“でぃーぷわん”ちゃんの股間から、大人顔負けの立派なペニスがたくましく隆起している姿だった。
 お、男の子だったの!?
 ……いや、よく見れば勃起したペニスにしては少し細めだし、ちょっと長過ぎる。触手の一種なのかもしれない。
 そんな“でぃーぷわん”ちゃんの群れの真っ只中にいる“つぁとぅぐあ”さんは、一度に20人以上の“でぃーぷわん”ちゃん達に嬲られ、輪姦されていた。
「“つぁとぅぐあ”様のお口、気持ちいいですー」
「ちゃんと飲んでくださいー」
「おっぱい大きいですねー」
「お乳は出ないのかなー」
「挟んでくださいー」
「お尻もぷりぷりー」
「噛んでもいいよねー」
「アヌスも綺麗ー」
「ひくひく動いてるよー」
「指何本入るかなー」
「“つぁとぅぐあ”様のアソコ、どろどろー」
「気持ち良さそうですねー」
「僕も入れますー」
「私も入れたいなー」
「じゃあ、一緒に入れようねー」

「……あはぁ…んちゅぅ……はあぁ……やぁん…そんなぁ……一斉にぃ……」
 一度に3本ものペニスを根元まで口の中に突っ込まれて、じゅぐじゅぐと掻き混ぜるようにイラマチオされる。左右から突き出された何本ものペニスを、手だけでは足りなくて指の間に挟み、数本一気にしごく。4本もの触手状ペニスを挿入されたアナルは、皺の1本まで伸びきっていた。ヴァギナに6本のペニスが差し入れされる度に、ザーメン混じりの愛液が肉棒の間からピュッピュと噴出する……
「んはぁ……ああぁ…んぷぅ……きゃふううぅ……やぁん」
 自分の腰の高さにも届かないだろう小さな幼児の責めに、“つぁとぅぐあ”さんは快楽の嬌声を漏らしてた。その美貌は普段の温厚でのんびりとしたものじゃない。あの妖艶で魔性なる淫神の姿だ。
「あぁあああっ!!……ふぅ、一杯出したよー」
 子宮に届かんばかりにピストンしていた“でぃーぷわん”ちゃんの一体が、ビクビクっと痙攣するように射精する。恍惚の表情でペニスを抜き取ると、粘つくザーメンのしたたりが白い橋を作った。そして開いた隙間に、すかさず新たな“でぃーぷわん”ちゃんのペニスが挿入される――
――これは無限の陵辱連鎖だ。
「次は僕が入れますー」
「ええー、私の順番だよー」
「喧嘩しちゃダメですー、“つぁとぅぐあ”様の身体ってー、どこも気持ちいいですよー」
 口も手も性器もアナルにもあぶれた“でぃーぷわん”ちゃん達は、いきり立つペニスを直接“つぁとぅぐあ”さんの白い肌に擦りつけた。腋の下や肘に膝の裏、臍の窪みに足の指、うなじや耳の穴まで……“つぁとぅぐあ”さんは、その美しい肢体のあらゆる場所を犯されている。

「ねぇ、“つぁとぅぐあ”様のおっぱい、すごく柔らかいよー」
「ほんとだー、ペニスがずぶずぶ沈みますー」
「おっぱいに挿入しちゃえー」
「こんなに大きければ、たくさん刺さりそうですねー」
「僕は乳首に挿入するー」
「ニプルファックだねー」
「んはぁ!…やぁん……おっぱいをぉ…んくぅ!…乱暴にしてはぁ……ああっ…ダメですよぉ……」
 “つぁとぅぐあ”さんのおっとりとした悲鳴も聞かず、“でぃーぷわん”ちゃん達の幾人は、仰向けなのに堂々と天に聳え立つ、重力を無視した爆乳山脈に、長いペニスをずぶずぶと突き刺した。いや、ホントに刺さってるわけじゃないだろうけど、あたかも実際に爆乳の中に挿入しているようだ。乳首の場所に突き入れたペニスが射精して、白濁液が乳肉の隙間からあふれ出ると、まるで母乳を噴出しているように見える。うーん、今度僕もやってみようかな。
「「「我慢できないですー」」」
「「「早くしてくださいー」」」
「「「順番守りましょうー」」」
「「「もう、自分でやっちゃいますー」」」
 “つぁとぅぐあ”さんは一度に20人以上の“でぃーぷわん”ちゃん達を相手にしてるし、射精した“でぃーぷわん”ちゃんはすぐに次の“でぃーぷわん”ちゃんと交代するけど、何せその数2000体。そう簡単に処理できる数じゃないだろう。それに、“つぁとぅぐあ”さんの極上の身体を前にして、1回や10回出しただけで満足できる筈がない。それは僕が保証できる。
 その結果、順番待ちの大半は輪姦される“つぁとぅぐあ”さんをオカズにして、可愛らしくハァハァ荒い息を吐きながら、ゴシゴシと自家発電していた。いや、僕もこんな状況じゃなかったら、躊躇う事無くオナニーしていたかもしれない。

「ふひゃあぁん……熱ぅい…いっぱいぃ……あはぁ……ベトベトですよぉ……」
 不思議な事に、たまらず射精した“でぃーぷわん”ちゃん達のザーメンは、勢いよく空中を舞って、確実に“つぁとぅぐあ”さんの身体に降り注がれた。今や“つぁとぅぐあ”さんの白い肌は、全身余す所無くネットリと濃い黄色っぽい白濁液で染められて、素肌が露出している部分はほとんど無かった。周囲から差し出された“でぃーぷわん”ちゃん達の手が、ローション代わりにザーメンを使いながら、彼女の全身を愛撫していく。その姿は凄まじいくらい淫猥だ。
「うううっ、僕、出しますー」
「私も出しますー」
「んんっ……ぷはぁ……あぁん…もぅ、お腹一杯でぇ……あはぁああん!!」
 ザーメン漬けになっているのは、柔肌だけじゃなかった。“でぃーぷわん”ちゃん達は全く遠慮なく“つぁとぅぐあ”さんの咥内、膣内、アヌスに射精する。その量があまりに多いから、彼女のお腹はまるで妊娠中期並みに膨らんでいる。おそらく胃腸や子宮の中は白濁液で一杯だろう。
 今の“つぁとぅぐあ”さんは、まるでザーメンのプールで溺れているようだ。
 それなのに――
「あははぁ……んくぅ…ぷはぁ……美味しぃ…もっと入れてぇ……もっと出して下さいぃ……」
 白濁液に塗れて全身を嬲られる“つぁとぅぐあ”さんは、この世のものとは思えないくらい妖艶で、魔性的なくらい美しかった……

「――わぅん!!」
「はっ!?」
 “てぃんだろす”に服を引っ張られて、僕は我に帰った。どうやら完全に“つぁとぅぐあ”さんと“でぃーぷわん”ちゃん達の饗宴に見惚れていたらしい。
「「「あれー? こんな所に美味しそうな人間がいますー」」」
「「「可愛い“猟犬”もいますー」」」
「「「いますー」」」
 そして、僕達の存在に気付いた“でぃーぷわん”ちゃん達の何十人かが、僕と“てぃんだろす”に明らかな情欲の視線を向けながらにじり寄ってくるんだ。うわーい。
「が、がるるるるる……」
 “てぃんだろす”も四つん這いになり、尻尾をぴんと立てて唸り声を上げてるけど、この数じゃちょっと相手にならないと表情が訴えてる。
「「「それでは、いただきますー」」」
「「「いただきますー」」」
「「「ますー」」」
 狼狽する僕達に向かって、“でぃーぷわん”ちゃんの群れが飛びかかった――その時!!

 ばしばしっ!!
「「「うわー!」」」
「「「きゃあー!」」」
 黒いムチに薙ぎ倒されて、僕達に襲いかかった“でぃーぷわん”ちゃん達は吹き飛んだ。あの子達を弾き飛ばした黒いムチ――それは、僕の手首から伸びている、黒いミサンガ――“つぁとぅぐあ”さんの髪の毛のミサンガだ!!
「“おとしご”ちゃん!?」
 黒いミサンガが独りでにしゅるしゅるとほどけていく。次の瞬間、髪の毛の塊は編み上がるように形を変えて、幼女化した“つぁとぅぐあ”さんみたいな、あの“おとしご”ちゃんの姿となった。
 “おとしご”ちゃんは、横目で僕を見て微かに頷くと、恐れる事なく“でぃーぷわん”ちゃんの大群に突撃した。
「ちょ、ちょっと、“おとしご”ちゃん!?」
「わおぉん!!」
 さすがにそりゃ無理だと止めようとしたその時、僕と“てぃんだろす”の足を、何かが力強く、しかし優しく掴んだ。
 それが“つぁとぅぐあ”さんの方から伸びた焦げ茶色の髪の束だと認識した瞬間、僕と“てぃんだろす”は黒い靄の出口に投げ出されて、現実世界に帰還していた――

「むきゅぅ……」
「あ、ごめん」
 僕の背中に潰されていた“てぃんだろす”の上から、僕は慌てて離れた。
 普段と何も変わらない自室を見ると、さっきの光景が夢だったように思える。しかし、今は無いミサンガの残感と、階下から聞こえる脳天気な騒ぎ声が、僕に夢幻的な現実をつきつけていた。
 僕と“てぃんだろす”は急いで階段を下った。“つぁとぅぐあ”さんの事はもちろん心配だけど、正直な話、単なる人間に過ぎない僕があそこにいても何の役にも立たない事は明白だし、自分から僕を逃がしてくれたのだから、きっと彼女と“おとしご”ちゃんで何とかなるのだろう。
 そして、僕が1階の居間で見たものとは――
「このお菓子美味しいですー」
「お茶も美味しいですー」
「テレビ動きませんー、蹴ってみますねー」
「お皿フリスビーで遊ぼうよー」
「カーテンでターザンごっこですー」
「油性マジックでお絵描き大会するねー」
 ……十数人の“でぃーぷわん”ちゃん達が、悪戯好きな妖精みたいにはしゃぎまわり、部屋の中をシッチャカメッチャカに荒らしている光景だった。今、“しょごす”さんがいなくて良かったかもしれない。この惨状を“しょごす”さんが見たら、烈火の如く怒り狂うだろう。
 どうやら、全ての“でぃーぷわん”ちゃんが、ン・カイに移動していたわけではなかったらしい。
 そして、今、何より僕の目を引く存在は――

「……んあぁ……だめぇ……またイクっ……くぅ……」
「“いたくぁ”様のアナル、締りが良くて気持ちイイですー」
「“いたくぁ”様のクリトリス、キャンディーみたいで美味しいですー」
「“いたくぁ”様のお口の中、温かくて時々歯が当たって最高ですー」
 四つん這いの姿勢でバックからアナルを“でぃーぷわん”ちゃんに犯されて、身体の下に潜った1体に性器をクンニされ、もう1体に黒髪の頭を掴まれてイラマチオされてる“いたくぁ”さんの乱交プレイだった。
「……やああぁ……またお尻……もう一杯なの……あふぅ!……」
 相変わらずお尻が弱い“いたくぁ”さんは、例の触手ペニスでアヌスをグチュグチュに犯されて力が入らないようだ。お尻を突き出した姿勢のまま床に伏す所を、イラマチオする“でぃーぷわん”ちゃんに頭を掴まれて、無理矢理起こされている状態らしい。どれだけ大量のザーメンを注ぎ込まれているのか、ペニスがピンク色のアヌスに突き刺さる度に、逆流した白濁液がブシュブシュっと吹き出している。

「んんんー!」
 やがて、アナルに挿入している“でぃーぷわん”ちゃんが、ぶるぶるっと震えながら深く腰を差し込み、しばらく快楽の余韻に浸ってから、ずるりとペニスを抜いた。ぱっくり口を開いたアヌスから、こぽりとザーメンが垂れ落ちる。
「じゃあ、次は僕の番ですー」
 今度は今までクリトリスを集中的にねぶっていた“でぃーぷわん”ちゃんが、勃起した触手ペニスを白濁液まみれのアヌスに、一気に根元まで挿入した。
「……ふわぁああ……っ!……もぅ……ダメぇ!……」
「私のを綺麗にしてくださいー」
 そして、さっきアヌスに射精した子は、精液まみれのペニスを“いたくぁ”さんの口の中に無理矢理差し込んだ。どうやら、アナルセックスで汚れたペニスを清めるためのフェラチオらしい。けっこうえげつない事をするなぁ。
 で、ペニスが綺麗になった子は、身体の下に潜り込んで、真っ赤に熟したクリトリスを舌や指で嬲りまくる……という、無限に続く永久機関責めを“いたくぁ”さんは味わされていた。この3体が疲れても、交代要員は周囲にいくらでもいるし。
 でも……そんな“いたくぁ”さんの境遇は、決して他人事じゃなかったんだ。

「「「わー、とっても美味しそうな人間ですー」」」
 無邪気な、そして背筋を凍らせるような声が背後から聞こえた――瞬間、僕の身体は床に引き倒されていた。天使のように可愛らしく、悪魔のように無邪気な笑顔が、僕の目の前で笑っている。“でぃーぷわん”ちゃんが僕を押し倒した――のは何とか理解できるけど、それだけで指1本動かせないのは、明かな異常事態だろう。ひえー!!
「わぅん!!」
「「「動いちゃダメですー」」」
「「「抵抗してもダメですー」」」
「「「人間さんをバラバラにしちゃいますよー」」」
 慌てて僕の元に駆け寄ろうとした“てぃんだろす”を、“でぃーぷわん”ちゃん達の一言が止めた。“てぃんだろす”は泣きそうな顔で、じっと僕を見つめている。ゴメンね、心配かけて。
 そんな無抵抗な“てぃんだろす”を、“でぃーぷわん”ちゃん達が数体がかりで襲いかかった――!!
「うわー、この“猟犬”ちゃん可愛いー」
「お肌すべすべー」
「尻尾ふさふさー」
「パンツ脱がしますねー」
「あれー? 男の子でしたー!」
「違いますー、ふたなりさんですー」
「男の子も女の子も、どちらも美味しそうー」
 ――もとい、違う意味で襲いかかった。
「わ、わぉん! きゃぅん!!」
 ショートパンツを下着ごと剥き取られた“てぃんだろす”の四肢を、すかさず“でぃーぷわん”ちゃん達が押さえ付けた。ジタバタ暴れつつも、そのペニスがしっかり勃起しているのは、さっきの“つぁとぅぐあ”さんの艶姿に反応してしまったのだろう……僕と同じく。

「じゃあ、私がいただきますー」
 “てぃんだろす”の股間の真上に、“でぃーぷわん”ちゃんが股を開いて跨った。スクール水着の股間のポケットを横にずらすと、ほとんどスジにしか見えない幼い性器があらわとなる。
「……あれ? “でぃーぷわん”ちゃん達って男の子じゃなかったの?」
「私達は性別を自在に変えられるのですー」
「どちらも楽しめるのですよー」
 思わず口に出た疑問を、僕を押さえる“でぃーぷわん”ちゃん達が丁寧に答えてくれた。ああ、そのまま解放してくれるのなら、もっと良い子なんだけどなぁ。
 で、その“でぃーぷわん”ちゃんは、天を向く“てぃんだろす”のペニスに狙いを定めると、
「えいー」
 ぴょん、と軽くジャンプして、そのまま一気に根元まで“てぃんだろす”と繋がったんだ。
「あぉん!!」
 その衝撃で軽く達したらしく、“てぃんだろす”が苦悶にも似た快楽の声を漏らす。騎乗位のまま、“でぃーぷわん”ちゃんは激しく腰を上下させた。
「感じてる“猟犬”ちゃんって可愛いですー」
「きゃぅん! きゃぅうん! ひゃぁん!!」
「じゃあー、僕はこっちをー」
「私はお尻ですー」
 快感に悶える“てぃんだろす”の背中の下に潜り込んだ“でぃーぷわん”ちゃんが、勃起した触手ペニスを“てぃんだろす”の小さなアヌスに突き刺した。ほぼ同時に、正面からもう1体が残されたアソコにペニスを挿入する――

「きゃぅぅぅ……んっ!!」
 ヴァギナ、アヌス、ペニスと三つの秘所を同時に犯されて、“てぃんだろす”は声も出せないようだった。大の大人でも壊されそうな激しいピストンがあの子を襲う。そして――
「あぉおおん!!」
 上に乗る“でぃーぷわん”ちゃんを浮かせる勢いで腰を跳ね上げた“てぃんだろす”は、爆発するように射精した。納まりきれなかった白濁液が、ドロドロと幼い割れ目から流れ落ちる。
「わぁ! 絞めつけますー!」
「気持ちいいよー!」
 イクと同時に膣とアナルをキュっと絞めたらしく、2体の“でぃーぷわん”ちゃんも“てぃんだろす”の性器とアヌスに大量の精を放った。
 4人の(外見は)美少女達は、はぁはぁ荒い息を吐きながら、抱き合うように動かない。それはひどく背徳的で官能的な姿だった。でも、10秒も経たない内に――
「じゃあ、次は僕アナルー」
「私はおちんちんをー」
「セックスするのは私ですー」
「今度はフェラしてもらいますー」
「きゅぅううん!! きゃん! きゃぁん!!」
 再び始まった輪姦に、“てぃんだろす”は本物の悲鳴を上げた――

 そして、次は僕の番らしかった。
「うわー! 大っきいですー!!」
「20cmは軽く超えてますー!」
「私達には入らないかもー」
「歌麿ですー」
「女泣かせですー」
「グレートシングですー」
「な、なにぃ!?」
 気が付くと、僕のズボンとパンツは剥ぎ取られていて、しっかり勃起したペニスを5人もの“でぃーぷわん”ちゃん達がしげしげと観察しているんだ。
「それじゃぁ、みんなで食べちゃいましょー」
「いただきますー」
「「「ますー」」」
「え、ちょっと、まって、やめ――!?」
 僕の静止の声は、股間に走った快感の衝撃に中断された。5体の“でぃーぷわん”ちゃんが、一斉に僕のペニスに舌を這わせたんだ。小さな舌がチロチロと亀頭の先端を舐め、カリをしゃぶり、シャフトを甘噛みする。陰嚢を口に含み、アヌスまで舌先でくすぐってくれる……この5人がかりの繊細かつ激しい愛撫は、文字通り普通のフェラの5倍以上の快楽を与えてくれた。ペニス全体が白熱化して、そのままドロドロと溶けてしまいそうだ。5人の幼女にフェラチオさせるという、背徳の快楽――

「気持ちいいですかー?」
 僕の胸の上に跨っている“でぃーぷわん”ちゃんが、明るく声をかけてくれたけど、
僕は返答する事もできなかった。
「えへへー、私も興奮してきちゃいましたー」
 藍色のスクール水着の胸元に、ぷっくりと小さな乳首の先端が盛り上がっているのが見える。それを僕の鼻先に擦り付けながら、“でぃーぷわん”ちゃんは甘い声を漏らした。スクール水着を通した少女の甘い体臭と薄めた塩素のような香りが、僕の鼻腔を淫猥にくすぐっている。
「舐めてくださいー」
 僕の目の前で股間のデルタを広げた中腰の“でぃーぷわん”ちゃんが、あの独特なスクール水着の股部分を人差し指で横にずらした。ほわっと湯気が立つくらい熱く熟した秘所は、スジのような窪みなのにしっとりと濡れて、赤い淫肉を覗かせていた。
 ほとんど反射的に、僕は彼女の性器にむしゃぶりついていた。
「きゃうぅー!!」
 “でぃーぷわん”ちゃんは幼い身体を仰け反らせた。スジ状の性器を舌でこじ開けて、指1本も入らないだろう小さな膣口に舌を差し込む。完全に皮に包まれたクリトリスをノックして、尿道口を舐めると、ちょっぴりオシッコの匂いがした。
「あああぁあ……あぁん! お上手ですー!!」
 ほんの数十秒の愛撫なのに、幼い身体は感じ易く、あっというまに絶頂に昇り詰めた。
「イっちゃいますー!!!」
 ぷしゃあああああ……
 愛液なのかオシッコなのか微妙な潮を僕の顔に浴びせながら、“でぃーぷわん”ちゃんは全身を震わせてイってしまった。

 同時に――
「うううっ!!」
 5体がかりのフェラに耐え切れず、僕は間欠泉のように射精した。
「うわー、いっぱい出ましたー」
「熱いですー」
「べとべとー」
「やっぱり美味しいねー」
 振りかかるザーメンを顔中に浴びながら、“でぃーぷわん”ちゃん達は妖艶に微笑んだ――しかし、
「うぐぅ!?」
 イったばかりで敏感な僕のペニスを、“でぃーぷわん”ちゃん達は再び舐め始めたんだ。
「まだまだ出して下さいー」
「もっと飲みたいんですー」
「一滴残さず吸い尽くそうねー」
「体液全部無くなるまでですー」
 ま、マズイ……あの目はマジだ。あの無邪気な少女達は、本気で僕が死ぬまで責め続けるだろう。でも、僕の悲鳴はスクール水着の股間で押し潰されてしまった。
 だ、誰か……助けて!! “つぁとぅぐあ”さん!!
 その時――
「「「えー?」」」
「「「あれー?」」」
 突然、僕の顔の上と腰の周りに群がっていた“でぃーぷわん”ちゃん達が、ばっと僕の身体から離れて、ふわりと浮かび上がったんだ。自分の意思ではない証拠に、みんなジタバタ空中でもがいている。

「あれは――」
 僕は目を見張った。“でぃーぷわん”ちゃん達の小さな身体に、焦げ茶色の髪の束が巻き付いてその動きを封じ、空中に持ち上げているんだ。僕だけじゃなくて、“てぃんだろす”や“いたくぁ”さんを責めていた“でぃーぷわん”ちゃん達も、同様のありさまだった。
 これってやっぱり……“つぁとぅぐあ”さんの助けだ!!
「「「うわーん! 助けてくださいー!!」」」
「「「助けてくださいー!!」」」
「「「くださいー!!」」」
 可愛らしい悲鳴を残して、“でぃーぷわん”ちゃん軍団は髪の毛に引き摺られながら、階段を通って2階へと消えてしまった……
 一瞬呆然としたけど、すぐに立ち直った僕は、慌てて“てぃんだろす”と“いたくぁ”さんの元に駆け寄った。
「大丈夫かい“てぃんだろす”!? ついでに“いたくぁ”さんも」
「わぅん……」
「……ついで?……」
 激しい乱交のせいで、2人とも少しよろよろしているけど、特に怪我はないみたいだ。よかったよかった。
「それにしても、なぜ“いたくぁ”さんともあろう旧支配者さんが、“でぃーぷわん”ちゃん達にやられちゃったんですか?」
「……実は……不意打ちで……カンチョーされて……」
「……“いたくぁ”さん、何だかどんどんマヌケになっていませんか?」
「……誰のせいだと……思っているの……」
「さぁ、あの子達を追跡しなくちゃ。行くよ、“てぃんだろす”」
「わん!」
 彼女から目に見えない殺意のオーラを感じた僕は、慌てて2階への階段を駆け上がった。

 そして、僕が暗黒世界ン・カイで見た光景とは――
「「「……もう……ダメですー……」」」
「「「……ダメですー……」」」
「「「……ですー」」」
 精気を最後の一滴まで吸い尽くされた、ピクピク痙攣するだけの半死半生な“でぃーぷわん”ちゃんの大群と、その真ん中で自分の身体に付着した白濁液を長い舌で舐め取る、“つぁとぅぐあ”さんの美しい姿だった。その傍らでは、疲れ果てたように彼女の背中に寄りかかる“おとしご”ちゃんもいる。
 まさか、2000体もの“でぃーぷわん”ちゃん達を、あの短時間で1人残さず『犯され尽くした』のですか――!?
「あぁ……ひでぼんさんと“てぃんだろす”ちゃんですねぇ」
 “つぁとぅぐあ”さんは『にへら〜』と、普段の怠惰でおっとりとした笑顔を向けてくれた。
「今日の『供物』は美味しかったですねぇ……どうもありがとうございますぅ」
「……い、いや、こちらこそ、助けて頂いて……」
「わぉん」
 深々と頭を下げる“つぁとぅぐあ”さんに、僕はマンガみたいな汗を掻きながらお辞儀した。
 さすが“つぁとぅぐあ”さん、二千人切りなんて余裕なんですね……
 再び黒いミサンガと変身した“おとしご”ちゃんを手首に巻きながら、僕は盛大に溜息を吐いた――
 ――しかし、『本番』はこれからだったんだ……

「――!?」
 自室に帰った僕を待ち受けていたのは、粉々に砕けた窓ガラスの破片と、全身に青白い放電をまとい、所々が黒い原形質に戻りながら床に倒れ伏している、“しょごす”さんの姿だった。
「しょ、“しょごす”さん!?」
「わぉん!!」
「……申し訳ありませン、御主人様……侵入を許してしまいましタ……」
 慌てて抱き起こした“しょごす”さんがぶるぶる震える指先が指し示したのは――
「あの子達を倒したようね。それは誉めてあげるわ……でも」
 ベランダから僕達を見下ろす龍田川さん。それに、黒と白のセクシーな下着姿の美女が2人、凶悪な人型機動兵器の胸元に、レリーフみたいに上半身を貼りつけた可憐な美少女が1人、そして、優雅にティーカップを傾ける、豪華絢爛なドレス姿のプリンセスが1人――!!
「“だごん”に“はいどら”……それに“おとぅーむ”と“ぞす=おむもぐ”でス!!」
 絶望に魂の底まで青ざめた僕に向かって、龍田川さんは高らかに宣言した。
「さぁ、これからが本番よ」

 続く


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