「ぱぱー! 早く行こうよー!!」
玄関からの息子――いや、娘?――“てぃん”の声に、僕はあくび交じりの生返事で答えた。
「眠そうですねぇ……お疲れ様ですよねぇ」
ネクタイを締めてくれながら、妻の透子(とうこ)が『にへら〜』と微笑んでくれた……僕を見下ろしながら。遺憾ながら、僕より彼女の方が頭1つ分背が高いんだ。とほほ、僕も背が低いわけじゃないんだけどなぁ……
「ふわぁああああ……」
もう1度、僕は大きくあくびをした。どうも、今日は寝起きが悪い。頭の中が白い霧に包まれたみたいにボーっとする。それは、妻の美貌を眺めても治らなかった。
ウェーブがかった焦げ茶色の長髪、優しさと妖艶さを兼ね備えたタレ目、どんな不感症の男も股間を押さえるだろうプロポーション、そして、黒いセーターと『Ia Ia』と鳴いてるヒヨコのイラストが描かれたエプロンを、内側から吹き飛ばしそうな、驚天動地な爆乳――僕にはどう考えてももったいない、美し過ぎる妻だ。いや、夫の欲目抜きで。
本来なら、こんな綺麗な女性の顔を見たら一発で目を覚ましそうなんだけど、妻はどうものんびりおっとりと、いつも眠そうな雰囲気の持ち主なので、見てるほうもつられて眠くなってくるんだ……
「はい、お弁当ですよぉ」
……はっ!?
いけない、一瞬本気で眠りかけたみたいだ。気合を入れるために、頬を軽く叩く!!……うん、少しは良くなったみたいだ。
愛妻弁当と鞄を受け取った僕は、
「じゃ、パパはお仕事に行って来るからね」
妻の背後から顔を出して、じっと僕を見ている園児服の女の子――紀子(としこ)の頭に手を伸ばした。一瞬、ぴくっと身を強張らせた紀子だけど、頭を撫でてあげると、顔を真っ赤にしながら、少し嬉しそうにはにかんでいるように見える。
紀子は僕と妻の実子だ。年齢は5歳。来年には小学校に上がる。まるで妻を5歳前後に若返らせたみたいによく似た子で、実際にお母さんっ子だ。幼稚園に行っている時以外は、いつも妻の背中に貼りついている。ちょっと――いや、かなり気が弱く、人見知りが激しいのが将来心配だけど、僕と妻の愛の結晶である事は変わりない。
「もう、遅いよぉ」
「ごめんごめん」
玄関先で唇を尖らせている息子にして娘のてぃんに、祈る形で片手を掲げた。
「それじゃ、行ってきます」
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃいませぇ……」
わざわざ玄関先まで見送ってくれた妻と娘に片手を振って、僕とてぃんは駅前に向かった。駅前までは僕とてぃんの通学路が同じなので、朝は一緒に家を出る事にしているんだ。
冬の透明な朝日は、吐く息の白さまではっきりと照らし出す。
「ぱぱ、来週の誕生日には『ならず者戦闘部隊ブラッディーウルフ』の基盤を買ってくれるんだよねー!?」
「それは約束だから保証するけど……パパはもう少しまともなゲームを遊んで欲しいなぁ」
「ええー、デコゲー面白いよー!トリオ・ザ・パンチをタフガイでクリアできるのは、クラスでも僕だけなんだからね!!」
「……そりゃ、そんな小学四年生は銀河系でお前だけだろうさ」
ふて腐れるてぃんの頭をくしゃくしゃにしてやると、てぃんは尻尾を振らんばかりに顔を綻ばせた。
てぃんは、僕の実子ではない。とある事情で養子にしたんだ。名前からして東洋系の子だ……と思う。
明るくて元気で甘えん坊ないい子だけど、この子にはちょっと身体的に他者と違う部分がある。
半陰半陽――男性生殖器と女性生殖器が同時に存在するという、俗に言う“ふたなり”って体質なんだ。普通、この体質の人間は基本的に女性体で、男性器は機能を失っているものなんだけど、この子はどちらもちゃんと機能しているという、世にも珍しい症例なんだそうだ。事実、ボーイッシュな美少女とも中性的な美少年とも云い難い外見をしている。性格も幼い頃は男の子っぽかったんだけど、最近徐々に女性的な姿を見せるようになってきた。そろそろ男として生きるか女として生きるか、自分の人生を決めなければならないだろう。親としては正直頭の痛くなる話だ。でも、僕にとっては掛け替えのない最愛の子であるのは間違いない。
「あ、お姉ちゃんだ」
その時、前方に長い黒髪の後姿が、2人並んで歩いている姿を見止めた。
「お姉ちゃーん!!」
てぃんが大声で呼びかけると、2人は肩越しにちらりと振り返りながら、僕達が追い付くまで足を止めてくれた。
「おはよう」
「お姉ちゃん、おはよー!!」
「あら、おはようございます」
「……んちゃ……」
片方は物静かに、もう片方は無感情に挨拶した。同じ長い黒髪にセーラー服の2人は、我が家の向かいに住んでいる安倍さん家の長女と次女だ。
とても高校生とは思えない、妖しく艶やかな雰囲気を持った長女は“初音”さんという。何かこの名前は非常にヤバイ気もするけど、あえて無視する事にしよう。
さっきから顔色1つ変えない無表情な次女は“いたか”ちゃんだ。今年中学三年生となるちょっと変わった子だけど、てぃんと仲が良くて、よく遊び相手になってくれる。
ちなみに、もう1人“鵬子(ほうこ)”という可愛らしい三女もいる。彼女は紀子と同じ幼稚園の同級生だ。
家が向かいという事もあり、安倍さん家とは家族ぐるみでお付き合いさせてもらっている。彼女達の通学路も僕達のものと途中まで一緒なのと、朝、家を出る時間がほぼ同じなので、こうして同行する事も多い。
「先日の田舎煮、御馳走様でした。今度妻が何か差し入れを持って挨拶に行かせてもらうそうです。お母さんに伝えておいてください」
「あら、あの田舎煮は私が作りましたのよ」
「おお、それは凄い。若いのに大したものだ」
「ふふふ……お世辞と受け取っておきますわ」
「いたかお姉ちゃん、今度新しい基盤買ってもらうんだ!!」
「……私は……歌舞伎Zの……基盤を……買ったよ……」
「わー、今度やらせてねー!!」
ホントに平穏な雑談をしている内に、そろそろ人込みが目立ち始めた駅前に辿り着いた。ここから僕は1人で会社まで通勤地獄をたっぷり味わう事になる。
「それじゃね」
「ぱぱ、ばいばーい!!」
「では、ごきげんよう」
「……ばいちゃ……」
3人と別れた僕は、気合を入れる為に自動販売機で買ったMAXコーヒーを一気飲みした後、そのうち線路へ突き落とされかねない混み合ったホームで電車を待って、到着した電車に押しこまれるように乗り込んだ。
真冬でも汗だくになる、人、人、人な圧迫感。嫌で嫌で仕方がない通勤列車だけど、最近ちょっとだけ役得――
――と言うと、妻に怒られそうだけど――があったりする。
それは――
「おはようございまス、係長」
「あ、おはよう」
正面から僕の胸にしがみ付いている、潤んだ瞳の金髪美女は、“生国 りり子(しょうごく りりこ)”さんだ。僕の勤める会社の同僚で、一応は僕の班の一員でもある。僕と同じ時間の電車を利用している彼女とは、こうして電車の中で会う事も多いんだけど……
ぐらり
「きゃん!」
ぎゅむっ
うわわっ! 彼女の柔らかく豊満な巨乳が僕の胸に思いっきり押し付けられた。喘ぎ声に似た苦悶の声を漏らして、彼女が脚をからめて身体を押し付ける度に、甘い香水の香りが鼻腔をくすぐって、僕の理性をシェイクするんだ。いやいや、朝から何とも役得だね。
でも……別に乗りこむ車両を決めてるわけじゃないのに、なぜこうしてほとんど毎日りり子さんと満員電車で出会うのだろう? 大して電車が揺れなくても、彼女の方から僕に身を寄せてくるのも気になる……まぁ、僕の考え過ぎという事にしておこう。たとえ会社で常に背後から彼女の視線を感じるとしても。
こうして、僕は会社(プログラム関係の会社だ)で仕事をこなし、残業が無ければ夕方、りり子さんの誘惑を振り切って帰宅する。まぁ、たまに同僚と飲んで帰る事もあるけど。
帰宅後は家族と夕食を取り、テレビを見たり子供の遊び相手を務めたりして一家団欒を楽しんで、子供達を眠かせる。こうして僕の『平凡』の一言で片付けられそうな平和な1日は一区切りを迎える。
そして、その後は――『大人の時間』だ。
「……あはぁ…んんぅ……気持ちいいですかぁ…あなたぁ……」
鼓膜をくすぐる甘い声にくらくらしながら、僕は必死に頷いた。僕の身体の上を這う、妻の肢体の気持ち良さに、声1つ出せないんだ。
湯船から立ちこめる白い湯気が充満した風呂場の中で、僕と妻の愛の営みが行われていた。
タイル貼りの床の上にマットを敷いて、僕が仰向けに寝転がり、その上に全身をボディソープまみれになった全裸の妻が覆い被さって、その艶然とした超ナイスバディで僕の身体を直接洗ってくれるんだ。
「んくぅ……ああぁ…熱ぅ…いぃ……あははぁ……」
白いボディソープに彩られた火照る肌がこすれあい、互いに快感を与え合う――これは麻薬以上に僕の魂を侵略する快楽だった。ニュルニュルの爆乳が僕の顔を柔らかく挟み、ツンと隆起した乳首が鎖骨や胸元をくすぐる。ビンビンに勃起したペニスを泡だらけの指が優しく撫でて、カリ口を手の平で回すように刺激し、陰嚢をマッサージする。ムチムチしたお尻とボディソープで白く隠された秘所、見事な脚線美を描く太ももが僕の脚に絡みつき、ヌルヌルと卑猥なチークダンスを踊る。ボディソープと愛液でたっぷり泡立った熱く熟した性器と濃いヘアが、スポンジかタワシのように僕の全身に擦り付けられて、隅々まで洗い清める――僕は全身がペニスと化したような凄まじい快感に、ただ陶酔しながら震えるしかなかった。
――妻と結婚して5年以上になるけど、いわゆる倦怠期とは僕等は無縁だった。彼女はとにかく優しくおっとりとしたのんびり屋で、性格的に僕と衝突する部分が無いからだろう。5歳以上年上の彼女の包容力に、僕が甘えている部分もある。そして何より、僕自身が妻に心底惚れているからだ。
それに、彼女はとにかくHが大好きで、倦怠するヒマも無く、こうしてHを楽しみまくっている事情もあった。無論、僕自身も妻とのHに溺れている事は言うまでもない。妻はどんな女神よりも美しく、どんな娼婦よりも淫らに僕を奉仕してくれる。そんな彼女の身体に夢中にならないわけがなかった。こうして僕と妻は、毎日欠かす事無く愛し合っているんだ。
「ひゃうぅ! あっ! ああっ! はあぁん!!」
対面座位の体勢で腰を突き上げる度に、嬌声を風呂場中に響かせながら妻の身体が跳ね上がり、目の前でブルンブルン揺れる爆乳が湯面を叩き、湯飛沫を散らした。
ボディソープのマットプレイで妻の身体を思う存分堪能した僕は、彼女と一緒に湯船に浸かって、正面から抱き合い、ごく当たり前のように繋がった。
「くうぅ……」
僕は苦悶に似た声を絞り出した。こうして毎日SEXしまくっているけど、相変わらず彼女の中は最高に気持ちが良い。どんな淫婦よりも淫らに蠢き、どんな処女よりも絞め付ける。マグマのように熱い膣内で、ペニスもドロドロに溶かされているようだ。1回のピストン毎に射精しても不思議じゃなかった。
「んくぅ……あはぁ!! はぁああぅん!! あなたぁ…イイっ! イイですぅ!!」
普段の彼女とは別人のように妖艶な顔を見せて、僕の肩に噛み付く妻のお尻を両手で掴み、痣が残るくらい強く握る。指の間に広がる尻肉の柔らかさが心地良かった。そのままお尻をだん!だん!と叩きつけるように深く挿入させて、より強い刺激を彼女に与える。ペニスの先が子宮口に当たるのを確かに感じた。
「ふわぁあああぁん!! それぇ…いいっ!! もっと激しくぅ……ひゃうぅぅん!!」
全身を脈動させながら乱れる妻が、襲いかかるように僕の頭を抱き締めた。柔らかいくせに張りのある、ボリューム満点な乳房の谷間に顔を埋めた僕は、存分に白い乳肉に噛みつき、勃起した乳首をむしゃぶりながら、より激しく腰を叩きつける。
そして――
「んはぁあああああっ!!」
「うううっ!!」
妻の肢体を力の限り抱き締めながら、僕は彼女の中にありったけの精を放っていた……
喜びの声を荒い息と共に漏らしながら、妻が僕の耳元でぽつりと呟いた。
「ああぁ……このお湯はぁ、明日お洗濯する時に使いたかったですねぇ……」
「……そういう台詞は、ピロートークで言わないで下さい」
「進めぇ〜進めぇ〜ものどもぉ〜♪邪魔なぁ〜敵をぉ〜蹴散らせぇ〜♪
目指せぇ〜敵のぉ〜城へぇ〜♪オゴレスぅ〜倒すのだぁ〜♪♪」
風呂場での饗宴が終わった僕達は、身体の火照りを沈めるために、居間で少し飲む事にした。台所で妻は陽気にのんびりと怪しい唄を歌いながら、おつまみを作っている。
普段は何をやらせてものんびりゆっくりと行動して、挙動だけなら見ていて眠くなるような妻だけど、家事に関しては全く非の打ち所がない。いや、ホントに。キャベツの千切りで包丁の1往復に10秒くらいかかるのに、どうやって30分で満漢全席を作れるのか大いに疑問だけど……
そんな事を考えながら、僕は妻の後姿を眺めていた。
今の妻はトレードマークの『Ia Ia』と鳴くヒヨコのエプロンを着ている。
そして、今の妻はそのエプロンしか身に付けていなかった。
うなじから背中に広がる白い艶やかな肌。見事な曲線を描く腰のライン。ふりふりと誘うように左右に揺れる、ボリューム満点の油の乗ったお尻。股間にちらちら覗く陰毛。すらりと伸びた美味しそうな生足――
「ひゃぁん」
気が付くと、僕は彼女のお尻にむしゃぶりついていた。本気でおっとりと驚いている所を見ると、この格好は僕を誘うものではなく、単に着替えるのが面倒なだけだったようだ。
「気にしないで料理を続けて」
「んもぉ……はぁい」
妻が再び料理に取りかかる。口調は困ったと言いながらも、その瞳は期待に潤んでいるのがわかった。
僕は妻の白い背中に、背骨にそって指を這わせた。妻の肌は赤子のように柔らかいのに、十代のように張りがあって瑞々しい。そのくせ最上のオイルを塗布したような色香は、十代ニ十代の小娘には絶対に出せないだろう。あらゆる意味で、年齢不祥な妻の身体だ。
「はあぁん……はあっ」
指先がお尻の笑窪を通過して、割れ目に沈むと妻が甘い声を漏らした。すぼまったアヌスを指先でノックする度に、彼女はお尻をピクピクっと震わせて反応してくれる。
「やぁあああぁん……」
両手でふりふり揺れる尻肉を掴み、念入りに揉み解した。指の動きに合わせて自在に形を変えるのが面白い。少し強めに尻たぶを掴み、左右に思いっきり広げると、
「はふぅん……ダメですよぉ……あぁ…」
割れ目は左右にぱっくり広がって、ひくひく口を開ける薄いココア色のアヌスと、赤く熟して愛液をぬらぬらと照らす性器、黒い濃い目の茂みの奥に、僅かに顔を見せる勃起した真紅のクリトリスを丸見えにしてくれた。
「ひゃうぅん……!!」
全てを見せてくれた秘所に、ふうっと息を吹きかける。途端にアヌスがきゅっとすぼまり、性器全体がぷるぷるっと震えた。そんな彼女の反応に満足した僕は、舌を長く長く伸ばして、先端を茂みの奥のクリトリスに送る。
「んはぁああぁ!! そこはぁ……んんっ!!」
ジャリジャリとした陰毛と一緒にクリトリスを舌先で磨き、徐々に舌をバックに移動させる。膣口の中でクチュクチュと舌で唾液と愛液をかき混ぜて、鼻先でラビアをくすぐる。唾液の跡を残して割れ目を上昇する舌は、すぼまったアヌスに辿り着き、
「はぁうっ!!」
舌先でグリグリと、ドリルのように穿ってあげた。
「ちゃんと中まで洗ってあるね、感心感心」
「んはぁ……そんな恥ずかしいことぉ…言わないでくださぁぃ……はああぁ!!」
台詞の内容とは裏腹に、彼女の声は期待に満ちたものだった。ならば、夫としてそれに答えなければいけないよね。
「ひゃふうぅ……はぁああっ! あ、あ、ああああぁ……!!」
舌がほとんど根元まで埋まるくらい、思う存分アヌスを苛めた後、今度は舌を前方に侵攻させた。まるでフィルムを逆回転させるように、舌技が妻の性器、クリトリスへと愛撫を進める。そして、クリトリスを嬲った後は、再現映像のように後ろへ舌を進ませる――こうして何度も何度も何度も何度も妻の秘所を舐めまくった。
「んはぁああぁ……はあぁ……くふぅ…もっとぉ……」
今や彼女は料理を放棄して、僕にお尻を突き出す姿勢で股を開き、僕の責めを自分から受け入れていた。そればかりか、その偉大な爆乳を自ら揉みまくり、エプロンの上から自分の乳首を吸っている。唾液で濡れたエプロンの胸元から、うっすらと乳輪が浮かんで見えた。
「……ん?」
その時、僕は視界の隅にある物を見つけた。足でそれをたぐりよせて、ちゃんと洗ってある事を確認した僕は――
「きゃああぁん!?」
太くて瑞々しい、美味しそうなニンジンを1本、いきなり彼女の膣口に挿入したんだ。一気に奥まで!
「あはぁああぁ……あぁ……ダメですぅ……ひゃあうっ!!」
僕の愛撫で念入りに熟した彼女の性器は、かなり太いニンジンをあっさりと受け入れた。少し乱暴に出し入れすると、泡のような愛液をぷしゅぷしゅと膣口の隙間から吹き出して、性器全体で悶えてくれる。
でも、これだけじゃ寂しいよね。じゃあ、次は――
「ふわぁああああぁん!!」
彼女は背中が折れそうな勢いで身体を反らせた。無理もない。子供の手首くらい太い、イボイボキュウリをアヌスに突っ込んだのだから。
「ああぁ…あぁ……大きぃ…過ぎますよぉ……はあうっ!!」
アヌスの皺1本残らず伸びきって、極太キュウリを挿入された妻のアヌスは、しかし自らひくひく蠢いて、キュウリを中に引き込もうとしている。現に先月ハードなSMプレイをした時なんか、膣口もアヌスも、僕の拳まで受け入れたのだから、このくらいまだ大丈夫なんだろう。そのくせ、いざペニスを挿入すると千切れそうなくらい絞め付けるのだから……うーん、これも女体の神秘って奴かなぁ。
そんな事を考えながら、僕はニンジンとキュウリを同時に動かして、膣壁とアナルの間で思いっきり擦り合わせてあげた。
「きゃふうぅぅん!!」
1時間後――
「んはぁ……はうぅん…はあぁ……んちゅぅ…美味しぃ…いぃ……」
「くうぅ……」
僕と妻は台所の床に寝そべり、シックスナインの体勢になっていた。一心不乱に僕のペニスをしゃぶりまくり、爆乳の谷間に挟んで擦り合わせる妻の姿は、あまりに淫靡で――そして美しい。
そんな妻のアヌスには特大のニガウリが1本、膣口には2本挿入されていたりする。ぶじゅぶじゅと音を立ててニガウリを動かす僕の手に合わせて、目の前でお尻が大きく揺れる光景はまた格別だった。
互いの汗と愛液で、床は水溜りのようにビショビショだ。
卑猥さと愛にまみれた肉の交わりは、長く長く続いたが――やがて、
「ううううっ!!」
僕のペニスを妻の爆乳が包み、飛び出た先端を彼女の口が咥えて勢いよくすすり、
「イクぅううううううぅ!!!」
3本のニガウリがアヌスと膣口から勢いよく飛び出して、大量の聖水を僕の顔面に放った。
同時に僕も彼女の口の中に精をぶちまけて、2人は同時に達したのだった……
「ああぁ……台所お掃除したばかりだったのですがぁ」
「ですから、そういう台詞はピロートークでは……」
その深夜――
「……それで、いいの?」
僕は眠りながら目を覚ました。
いや、『夢を見ている』という表現が正しいのだろうけど、その夢には奇妙なリアリティがあったんだ。
光の粒子1つ存在しないだろう、真の闇の中に、パジャマ姿の僕と――『彼女』がいた。
蒼く透き通った羽衣を裸身の周囲に漂わせる、人形のように繊細で美しい蒼髪の少女――しかし、その背に広がる機械の翼が、彼女が人間じゃない事を示していた。
……なぜか、彼女に見覚えがあるような気がする……外見ではなく、その全身に漂わせる『悲しさ』に。
「えーと……君は、誰?」
「……やっぱり、忘れてしまったのね」
寂しそうな彼女に美貌に、僕は心臓が高鳴るのを確かに感じた。
「……貴方は夢を見ているのよ。決して覚める事のない、幸せな夢を」
「夢……?」
その言葉に、僕はなぜか果てしない不安を感じた。まるで、自分の立つ大地が、千尋の谷に架かった細い吊り橋に変わったみたいに。
蒼い透明な少女は、ゆっくりと傾いた。どこか寂しそうに。
「……今、貴方が現実だと感じている世界は、本当の貴方が覚める事のない眠りの中で見ている夢なのよ」
「はぁ……?」
僕は惚けた声を出した。それも当然だろう。今の僕の生活が全て夢だなんて……まるで中国かどこかの御伽噺じゃないか。
しかし、彼女の眼差しは本物だった。それがますます僕を不安にさせる。
「……雲井様の命により、『眠りの大帝』こと“ひぷのす”様が、貴方を攻撃してるの。貴方は幸せな夢を見ながら、永遠に眠り続ける事になるわ」
ぞくぞくっと背筋が寒くなった。
漠然とした不安――それが心の中で、徐々に形を整えていくのがわかる。
彼女の話は何の根拠も証拠も説得力もリアリティーも無い。君こそ僕の夢だろうと一蹴するのが普通だ。
それなのに、彼女の言葉が真実だと“なぜか”理解できるんだ。とにかく不気味な体験だった。
「……今、貴方を慕う者達が懸命に貴方を目覚めさせようとしているわ。だから、貴方も今の世界が夢だと朧気に感じているの。でも、相手は『外なる神々』……一筋縄ではいかないわ」
「じ、じゃあ、どうすればいいんですか!?」
蒼い少女は悲しそうに首を振った。
「……当人の許可を得ずに『邪神』の領域である夢の世界を渡るのは、とてつもなく高位な存在でなければ不可能よ。それこそ“にゃるらとてっぷ”様や“しゅぶ=にぐらす”様、それに“よぐ=そとーす”様クラスの存在でなければ……」
「そ、そんな……何とかならないのですか!?」
恥も外聞も無く、僕は喚き散らした。蒼い少女が小さな溜息を吐く。
「……せめて、カダスへの門が近くにあるか、『銀の鍵』でもあれば――」
「『銀の鍵』って、これの事ですか?」
ポケットから取り出した『銀の鍵』を見せると、蒼い少女はずるっと身体を傾けた。
この鍵は、“よぐ=そとーす”君が落としたのを拾ったものだ。まさか、この鍵がその『銀の鍵』だとは思わないけど――
「……それが正真正銘の『銀の鍵』よ」
今度は、僕が身体を傾ける番だった。
……あれ? なぜ、ポケットの中に都合よく『銀の鍵』が入っていたのだろう?
それ以前に、なぜ僕はこの鍵を手に入れた経緯を覚えているんだ?
「……それも『銀の鍵』の力よ」
僕の心を読んだように、蒼い彼女は透明に答えた。意味はさっぱりわからないけど。
「……この鍵があれば、夢の世界から脱出できるかもしれない。後は私に任せて」
手渡した『銀の鍵』を、彼女は大事そうに胸元に掲げた。次の瞬間、かしゃかしゃかしゃんと機械的な音を立てて、背中から得体の知れない金属製の機械が生えてきた。瞬く間に、闇の世界に金属製のオブジェが展開していく。まるで巨大な金属製の檻の中に、蒼い少女が閉じ込められているみたいだ。
「……何も知らないみたいだから、この『銀の鍵』の力を教えておくわ」
『銀の鍵』の周囲に、蒼い光の輝きが収束していくのがわかる。
「……資格のある者なら、この鍵を媒介に“窮極の門”への道を開く事ができる。しかし、資格の無い者でも――」
「資格の無い者でも?」
「……1度だけ、この鍵から“よぐ=そとーす”様の力を借りる事ができる。その力は、宇宙の法則を捻じ曲げて、概念レベルの事象化をも可能とするの」
「先生、意味がさっぱりわかりません」
「……つまり、1度だけどんな願いもかなえる事ができるのよ」
「ああ、それならわかりやすいです」
蒼い光の輝きは、どんどん強くなっていく。もう直視する事もできない激しさだ。
「……この使い方は一種の裏技で、人間達には知られていないの。覚えておきなさい。これは貴方の切り札になるかもしれない」
蒼光の波動は闇を完全に駆逐していた。もう、僕達の周りは蒼い輝きしか存在しない。あまりの光のまぶしさに、僕は目をぎゅっと閉じた。
「……どうやら、上手くいったみたいね……おめでとう、夢から覚める事ができるわよ」
「それは嬉しいですけど……あの、ちょっと聞きたい事があるのですが」
「……なに?」
「貴方は何者ですか? なぜ僕を助けてくれるのですか?」
蒼い光が、世界に満ちて、偽りの世界を蒸発させていく――
「……私が何者かは、夢から覚めて記憶が戻れば思い出す……私が貴方を助ける理由、それは――」
そして、僕は『夢から覚めた』――
「あアあ!」
僕は布団の中からがばっと跳ね起きた。頭が割れるように痛むし、視界がぐるぐる回っている。でも、あの頭の中の霧みたいな感触は、綺麗さっぱり無くなっていた。そう、夢から覚めたんだ。
「わん! あん、わぉん!!」
突然、懐かしい鳴き声が僕の胸に飛び込んできた。きゃんきゃん泣きながら僕の顔をぺろぺろ舐め回すのは、お馴染みのてぃん――
――じゃない、“てぃんだろす”だ。
「御主人様!! よくお目覚めになりましタ!!」
続けてひしっと僕の足元にしがみ付くのは、りり子さん――じゃない、“しょごす”さんだ。
「ああぁ……ひでぼんさんお目覚めですねぇ、おはようございますぅ」
「あれだけ苦労したのですから、目覚めてくれないと怒りますわよ」
「…………」
そして、2人の後ろには、愛しの“つぁとぅぐあ”さんに“あとらっく=なちゃ”さん、“あぶほーす”さんまで控えてくれていた。
よく周りを見てみれば、ここは押し入れの靄の奥の世界――暗黒世界『ン・カイ』だった。どうやら僕はここに敷かれた布団で眠っていたらしい。
話によると、僕が夢の世界に閉じ込められたのは、“ひぷのす”という『邪神』さんの力によるものだという。それに気付いた“つぁとぅぐあ”さん達は、僕を目覚めさせる為に色々と奮戦してくれたそうだ。体験談で長編小説が書けそうなくらいの苦労の末、倒すのは無理にしても、何とか“ひぷのす”さんを追い出す事に成功したらしい。
この『邪神』の皆さんが、ただの人間に過ぎない僕を助けるために、ここまでしてくれた理由は例によって不明だけど……まぁ、純粋な好意という事にしておこう。深く考えると怖そうだし。
とにかく、今は皆に大感謝だ。
「我々を忘れてもらっては困るな」
「そうよ、とってもとっても大変だったんだからン」
背後からのダミ声に慌てて振り向くと、そこにはシスター服を着たゲルダさんと、もう1人は――ええと、誰だこの怪しい人は?
頭にターバンを巻いた、豪快な顎鬚が似合う中年男性だ。なぜか上半身は裸で、褐色の肌を晒している。そして、何より特徴的なのは、相撲取りみたいにでっぷりと肥満した体格だった。ただ、不思議と重量感は感じない。まるで風船やシャボン玉みたいに、妙に軽そうな印象を受けた。
「イスラム退魔解放戦線『アズラエル・アイ』所属の退魔師、アルタン・ボブロフ中尉よ。よろしくねン♪」
「ど、どうも……」
ばっちん、と音がしそうなくらい濃厚なウィンクを送ってくれるボブロフさんに、僕は思わず後退りしかけた。い、いわゆるオカマさんなのかな?
ゲルダさんの話によると、この人もゲルダさんみたいな凄腕の退魔師で、怪しげな空中格闘術の達人にして、世界最高位の『砂使い』らしい。もちろん、僕には何の事かさっぱりわからないけど。
この2人は、僕が眠りから覚めない内に、僕を抹殺しようとする勢力から守ってくれていたとか。
ああ、何だか今回は大勢の人や邪神に迷惑をかけちゃったなぁ。素直に反省する事にしよう。反省してどうにかなる相手じゃないかもしれないけど。僕は一人一人丁寧にお礼を言った。
「“ひぷのす”神は追い出せましたけど、倒したわけではありませんわ。雲井とかいうボウヤに使われてる限り、また襲ってくるのは間違い無いでしょう。気をつけなさいな」
「は、はぁ……どう気をつければいいのかわかりませんけど」
「それにしてモ、よくお目覚めになりましたネ。あと数十年は眠り続けるものだと覚悟していたのですガ……」
「ああ、それは――」
その時、僕はパジャマのポケットにある違和感に気付いた。そっと、後ろ手にポケットへ手を送ると……この金属的な感触は間違い無い。『銀の鍵』だ。
僕はそっと瞳を閉じて、心の中で真摯に礼を述べた。
(ありがとうございます……“ばいあくへー”さん)
ふにょん
「うわっ!?」
その時、いきなり僕は“つぁとぅぐあ”さんに抱き寄せられた。甘く柔らかな肢体の色香に、僕の頭の中は一瞬で桃色の渦と化す。
「ななな、何ですか!?」
「んん〜何でもありませんよぉ……」
全てを見透かしたような“つぁとぅぐあ”さんの黒瞳を見て、夢の中の“つぁとぅぐあ”さんが妙に受身だったのは、こうしていつも彼女に主導権を握られっぱなしだからかなぁ……と、不遜な事を僕は考えていた。
翌日――
「――それで、反応はどうだ?」
琥珀色の液体を注いだグラスを、ゲルダはゆっくりと傾けた。
「アタシの砂蟲に反応は無かったわ。あのボウヤは『世界滅亡』なんて大それた事を考えてないし、これから考える事も無いでしょうね。間違い無いワ」
ボブロフ中尉のごつい手の平に、サラサラと砂の小山が出現した。この砂は彼の操る超微細な魔法生物――今風に言えば魔法的なナノマシンである。人間1人の深層意識を探るなど朝飯前だ。
ただ、この砂を使って人類の脅威である赤松氏を取り除こうとなどは考えてもいない。今回、自分がこの砂を使用できたのは、あの『邪神』達が見逃してくれたからだという事を、彼は十分理解していた。もし、少しでも赤松氏を攻撃しようと思ったら、その瞬間八つ裂きにされていただろう。
「すると、『世界滅亡』の主犯は……」
「“龍田川 祥子”か“雲井 明”、“日野 エツ子”の3人の内、誰かという事になるわネ」
グローブのような手の平を閉じて、再び開くと、砂の小山は跡形も無く消滅していた。
「我々にできる事は、奴等を同士討ちさせる事だけだ。これからが大変だぞ」
「わかってるわよン。私達人間のできる範囲で、せいぜい悪足掻きしましょ」
「悪足掻きか……確かにそうだな」
ゲルダは苦笑とウィスキーを一緒に飲み干した。
「今回の一件で、赤松陣営の『邪神』達は相当なダメージを受けてるはず……いくわよ!」
「「「はーい! 頑張りますー」」」
「「「頑張りますー!」」」
「「「ますー!」」」