ロイvsアル×エド子2
>359氏



前回のあらすじ

アルフォンスが鎧から人に戻って数ヶ月。未だ機械鎧のエド子の右足と左足を元の身体に戻すべく、旅を続けていた
南西の町に、賢者の石に変わる物質があるかもしれないという情報を聞き向かっていたのだが、行く手を阻むような深い森は昼夜歩き詰めでも抜け出せないほどであった
それと同時刻、ロイ・マスタング大佐もこの深い森の中を一人逸れ彷徨っていたが、偶然、森の中の湖でエルリック姉弟と再会する
が、再会を喜ぶ(嫌がる)機会もなく、巨大な合成獣に襲われる
その合成獣もエド子一人の活躍によって退けたが、新手の合成獣がエド子を襲う
毒によって倒れるエド子
森を埋め尽くすような小型の合成獣軍が眼前まで迫ってきている中、水に濡れて何もできない大佐と姉を逃がすため、一人立ち向かうアルフォンスであったが・・・



闇で埋め尽くされた深い森の中に、二つの影が完全に消えていくのを見送ってからアルフォンスは背後を振り返える
五感をフルに使って辺りを見渡す
かすかな木々のざわめきと大地の震動で、それが来るのがわかる
「うーん?あと30秒ってところかなぁ?」
しかし、アルフォンス本人の口調はいったってのんびりしたものである
これから迫り来る多勢の敵に動じる様子は全くない
あと、20秒…
草木をこするような音がだんだんと甲高く大きくなってきている
「さあてと、カウントでもしようかなぁ〜?っと」
10、9、8、・・・・・・・
「3、2、1っ!」
パンッ!!
両手が強く打ち鳴らされると同時に、数万にも及ぶような合成獣が現れる
手を大地に当てると稲光のような光が、アルフォンスを中心にして円を書くように閃いた
地面から無数の刺が練成される
鋭い刺の一本一本は、合成獣たちを退け、突き刺し食い破りながら木々のように伸びていく
断末魔の叫びを上げる虫の声がいくつもに重なりあって森の奥へ奥へと響いていった
パンともう一つ音が鳴ると針の山は一掃され、そこには大剣が現れる
それを「よっと」と言いながら軽々両手で持つ、アルフォンス
「さぁ。いくとしますかっ」
目を細め、唇をチロリとなめてから未だ訪れる続ける敵のど真ん中に向かって駆け出していった
「十字星・・十字星」
ロイは、鋼の弟、アルフォンスに言われたように夜空にあるであろう目目印を探しながら先を急いでいた
こんな、木が生い茂った森の中でどうやって探せっていうんだ?
という不満は胸の中にしまって
自分の背には、毒によって犯されたエド子が苦しそうな吐息を吐いている
上を気にしながら、下を気にしながら、背中を気にしながら走るのは軍人といえどつらい
いや自分は、常にエリートの道をたどってきたのでサバイバルの経験があまりにも少ない
だから迷うのかも・・・。だが今は確実に街につかなければっ
落ち込みそうになる気持ちを叱咤して、ロイは走り続ける
後方で、不気味な鳴声がいくつも響いてくる
少し様子がきになったが、にっこり笑顔のアルフォンスを思い起こすと薄ら寒いものが身体を駆け抜けるので、振り向かずに前の闇に目を凝らす
今は…今は、鋼のだ。鋼のを助けるんだ

熱い…。身体が熱い・・・
身体の奥の奥から熱が湧き出てくるみたいだ
指一本動かすのが億劫なのに、身体の熱は何かを欲しがっているようで気味が悪い
俺は…一体どうしちまったんだ?
誰かに、担がれている・・?
薄めをあけると、青い服が見えた。アルフォンスとは違う、男の匂い
「…大佐?」
大佐だ…。いつも冷ややかで汗なんかかいた事なさそうな涼やかな顔でいるのに今は真剣な顔で、滴る汗を拭いもせずに走り続けている
俺を担いで走っているのが大佐だとすると・・
アル・・アルフォンスは?
僕が、ここはなんとかするとか・・・言ってなったか?
後ろにおぶっていたエド子が身じろぎしたのに気がつき、立ち止まる
「た・・いさ」
「…鋼の・・・?気がついたのか?」
「気・・気持ち悪い・・吐きそう」
「ちょちょっと待ってろ・・。今降ろしてやるから」
ロイはしゃがんで、エド子を気遣うようにそっと木に背を預けるようにして降ろしてやる
エド子は荒い息のまま、よろめきながらも両足で立とうとした
「鋼の・・・無理するなっ・・・ぐうっ」
エド子を支えようとしたロイの向こう脛にケリがはいる
「わり・・ぃ。大佐。す・・少しここで待っていてくれ」
涙目で、痛みをこらえながらのた打ち回るロイをよそに、額に冷や汗を滲ませながら
両腕で自分の身体を支えながら今来た道を戻ろうとする
「ま待てっ。鋼の!」
くっくそ。動け、動けよ、俺の足。
毒なんかでくたばっているわけにはいかねぇんだ。アルが・・アルが一人で戦ってるっていうのに
もつれて旨く走れない体を強引に前に進めようとして、木の根に躓く
「うわっ」
「鋼の!」
腕をつかまれ、転ぶ寸前で支えられえた
「大佐・・・。は・・はなせ。頼むから離してくれ。アルが・・・一人で戦ってるっていうのに
 自分ひとりだけ・・逃げるわけにはいかないっ」
捕まれた腕を必死に振り放そうとしてもがくが、それ以上に力強い腕がエド子を包み込んだ
「聞けっ!鋼の。君が弟を思う気持ちはわかるっ。だが、弟が君を思う気持ちも考えてみろ・・」
この姉弟の絆は強い。他者が介入できないほどに・・
それは、禁忌を犯したからなのかそうでないのか定かではないがこの自分が嫉妬すら感じるほどに・・・
できれば・・弟の気持ちなど代弁したくはないが・・鋼の・・君を思う気持ちは、誰にも負けてないつもりだ
心の中だけで、歯軋りをしてロイは言葉を続ける
「たった一人の姉が苦しんでいるのを見たんだ。それをそのままほっとける訳がなかろうっ。救える手立てがあるのなら、何をおいてもするのではないのかっ?」
「大佐・・・」
力強い腕が自分を抱きしめている
いつもの冗談で抱きついてくる大佐の腕じゃないみたいで・・大佐の匂いも体温も感じる
「痛いよ…」
こんな言葉しか出てこなかったけれど
「あ。すすまないっ」
ロイが顔を赤らめて、素早く離れた
エド子を救いたいという気持ちよりエド子が弟のアルフォンスばかりに気にやむことに腹を立ててそのままの感情のまま行動してしまったのではないかと、今自分の行動を恥じたからであった
エド子から離れてはっとなり、エド子の肘をつかむ
また、駆け出していかないように
掴んだのは鋼の腕だったが、この子が少女だとと服の上から分かるほど細い
「大佐・・・俺、もう逃げないよ・・。アルの…、大佐の気持ち分かったから」
「鋼の・・。もう少ししたら街が見えてくるはずだ。それまでの辛抱だ。・・鋼の?」
 ドクンッドクンッ
全身が心臓のように早鐘を打ち始める
「・・はぁはぁ・・」
エド子は前に倒れそうになる身体を、両手両膝をついて自分の中から来るものと対峙していた
呼吸も速くなる。全速力で走った後みたいにすごく苦しい
「鋼の?どうしたっ?」
身体の奥に潜んでいた熱が一気に膨張していくみたいだ
「う・・あ・・はぁ・・あぁぁぁぁっ」
電流がはしる。中央から頭の先から足の指先にまで拡散していく
エド子は、自分の中からドロリとしたものが落ちていくのを感じながら、地面に倒れ臥した
「はぁ・・・はぁ・・・」
深く呼吸を吐きながら、小刻みに痙攣し続けている
「くっ。鋼のっ。今は君の希望に答えている暇はなさそうだ。先を急ぐぞ」
ロイはエド子を横に抱きかかえて、再び走り出す
先ほどは、苦しみながらも『お姫様抱っこは嫌だ』と強がりを言っていたが今は力なくロイに体を預けていた
「は・・・ぁ・・・あ・・・はぁ」
ロイの走り続ける振動にあわせて、エド子から声が漏れる
「鋼の。苦しいか?もうすこしの辛抱だ・・・」
「・・・はぁ・・・あ・・・はぁ・・・ぁん・・・」
何故か、語尾の吐く息が艶っぽい気がするのは気のせいか?
木の根があったのでそれを避けるため走りながら軽く飛び上がる
「・・・はぁん・・・」
息の荒いエド子からやや高めの声が上がった
「・・・・・」
ロイは無言のまま走り続ける
大木が眼前に現れたので、右に避ける
「・・・ひぁ・・・」
折れ曲がった木々が行方を遮っているので左によけた
「・・・くぅう・・・」
手がふさがっている為小枝を掻き分けられないので、しゃがんでくぐりぬける
「・・・ひぁあん・・・」
なんだかいろいろ試したくなってくるが、それを自制してまっすぐ走り続けるロイであった

俺のからだ・・・いったい・・どうしちまったんだ?
息を吐くことことすら苦しくなってきているのに、妙な声がでてくる
熱で体が敏感になってるのか、ロイに触れている部分が発火しているように熱をもち閉じることのできない口からは唾液が筋になって落ちていく
身体の著しい変化が一番現れているのは、下半身かもしれない
自分の中から止め処なくあふれ続ける粘液で、太ももが濡れているのがわかる
素足なので大佐に気がつかれやしいないか内心困惑していたが、ロイは自分を救うため必死に走り続けている
なんだか胸がギュっとなる
「ひ・・・ぁ・・」
そう思ったら、下腹部に熱が集中しだした
ロイに抱えられてなかったら、泉のようにあふれ続ける秘所に手を伸ばし熱を冷ますため掻き回してるだろう
いや・・もう・・耐えられない…
「た・・頼む。たいさ・・ここで少しおろして・・大丈夫だから」
熱っぽく潤んだ瞳が、ロイを見つめる
「いいや。急いで町までいって解毒しなくては」
「おれ・・はぁ・・あん・・ほんとににげないから・・おねがい・・おろして」
艶っぽく濡れた赤い唇が再度、懇願する
「す・・すこしでいい・・やすまして・・」
ロイは、それを言葉なく無言でかわし、木々の少し開けたところに駆けでた
エド子の力なく垂れ下がっていた腕が、ロイの襟を掴んだ
うっ・・鋼のの吐息が耳にかかってって・・どっきどきしている場合か。私はっ
「うわっ」
ふいに両腕で胸を押されたため、エド子を放り出してしまう
「う・・」
受身取れずに落ちたので少し頭を打ったが放りだされたエド子は、這ってロイから離れようとする
「鋼のっ」
「いやっ。こないで。さわらないでっ」
振り向き震えながら怯えるように叫ぶ
「や・・・やだ・・見ないでっ」
エド子からは流れる曖液が地面を這い後を残していた
「いやぁぁぁぁぁ」
エド子は悲鳴を上げもがくようにし、上着をはだけさせた
先の尖った紅色の乳房と濡れて光っいる金色の産毛が小刻みに小さく震えていた

「ひゃ・・ぁ・・ああ・・んっ」
やだ・・こんなこと・・こんなことしたくないのに。
「あっ・・は・・・ッ・・・んん」
俺の指なのにとめられない。とまらない・・大佐が・・大佐が見てるにっ。
自分の一番恥ずかしい場所が・・熱くて・・中が熱くて触れずにいられない
ぬるぬる蠢いて頭が沸騰しそうなくらい恥ずかしいのに掻き回さずにはいられないなんて・・・
泣けてくるこんな自分に・・・
情けなくて、滑稽で。毒にやられて頭の可笑しくなった俺のこと大佐は軽蔑して見放すかもしれない・・
いや・・おいていってくれる方が・・見捨ててくれるほうが楽になれる・・でもっ
「いあっあぁぁぁあ」
「ふぅ・・ちょっと疲れてきたなぁ」
幾分か数の減った合成獣軍を相手に、汗一つかかずにアルフォンスは戦い続けていた
大剣をたくみに使い振り回し、時には大地の牙を練成し足取り軽やかに
はたから見ると武踊のように蹴散らしていく
「おらおら、この下等な蛆虫どもめっ。あっ。折れちゃったよ〜剣」
手を大きく振りかぶって叩き、折れた剣を大振りの槍にかえる
目にも留まらない速さで突き刺し救い上げ空に舞い上げ、振りかぶる
合成獣の大玉は、夜闇の中に消えた
だが、まだまだ木々の間から地面の中からうじゃうじゃと湧き出してくる
「あ〜。手パンしすぎて掌が痛くなってきたよ。姉さんは、毎度これやってるんだからすごいよ。ホント
 はぁ、やっぱり大佐置いて僕が姉さん背負って逃げればよかったなぁ〜・・まっしゃーない。
 さっさと終わらせて合流しよう〜」
緊張感なくのんびり言ったアルフォンスは、地面を這う虫に突き刺す
「姉さんも大佐も近くに居ないみたいだし。やっぱりそうしよっと」
周囲の大気が一変した。もともと深い森の中で闇に包まれているが、より深い闇へと変わろうとしている
その気配を感じてか合成獣の軍勢がか細く鳴き後ずさりする
アルフォンスは薄っすらと口元に笑みを浮かべているが、金の瞳は三日月よりの冴え極度の冷気を含んでいる
月も雲に隠れ、アルフォンスの影も闇に包まれた
しかし、口元だけは闇の中なのに浮かび上がって見える
その口が言った
「あきっぽいのに結構頑張ったよね〜僕。だから、そろそろ姉さんの所に行かせてもらうよ。地獄の門開いてもね」
影の中から、重厚の扉の開く音が辺りに響く
開いた門の中からギロリ巨大な目が舌なめずりよようにと睨み、魔獣のごとく叫び見開いた    



つづく


幕間
合成獣をぶったおした後のアルフォンス氏
アル『うん。これで綺麗さっぱり片付いたよ♪』
  森の奥から響き渡る悲鳴ー
アル『え?姉さんの声?・・・毒で弱っている姉さんをいいことに何か大佐がしてるんじゃ・・』
  以下アルの妄想
大佐『げへへ。鋼の…。弟が居ない今、私の手籠めにしてやろう…』
エド子『ご勘弁くださいませ。大佐。どうかご容赦を』
すっぽんぽんになった大佐がエド子に襲い掛かる
大佐『よいでないか。よいではないか』
エド子『あれ〜。助けて〜。アルフォンス〜〜』
アル『てなことなってるんじゃ・・・。大佐〜・・。僕の姉さんに手を出したら・・
   細胞・・いや原子レベルにまでバラバラにしてやりますからね・・ふふふ』
  不気味な含み笑いしつつも、『今、行くからね。姉さん』と一目散に駆け出すアルだった









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