ロイvsアル×エド子
>458氏

アルフォンスが人型を取り戻してから数ヶ月。
エルリック姉弟は、エド子の右腕と左足を取り戻すべく旅を続けていた

「うがぁ〜。この森いったいいつになった抜けられるんだよっ!!」
「姉さんが絶対こっちの方が近いっていうからきたんでしょ」
そして・・・迷っていた
セントラルシティより西南の街に姉弟の求める情報があると知り、旅立ってはや五日。
なかなか思うようにならないものが人生というものなのか、到着地とされる街は秘境中の秘境にあるようで、鉄道や車・馬も使えずずっと歩きづめであった
「姉さん。暗くなったしここいらで休もう」
「そうだな。さっすがに疲れたしな」
そういうとエド子はどかっとその場で仰向けになる
森は思った以上に深かったが今日は月が昇っているため、あたりをぼんやり照らしている
南部に近い地域だけあって風も冷たくなく心地いい
その横で、アルは火を熾していた
「はい。姉さん。熱いから気をつけてね」
「ん。サンキュ」
起き上がり、アルからカップを受け取り口につける
「アチっ」
「姉さんは猫舌なんだから気をつけてって言ってるでしょ」
「あーちー」
「ほらかして」
「ほい」
持っていたコップを返すと、アルフォンスは中身のココアを冷ますべくコップに息を吹きかける
二度・三度と
鎧の時やちびの時も世話焼きだったアルなので、どうってことないことだったが、青年アルフォンスがこれをやってるのを見てるとなぜだか落ち着かなくなってくる
炎は、幼いころの面影を残した優しい顔だちの少年と背が高く逞しい身体つきの青年を同時に浮かびあらがせる
「いい。いいよ。アル。俺がするってばっ」
「そう?はい」
アルが渡すより先に奪うようにしてコップをもって行き、弟に背を向けたまま縮こまってふーふーしているエド子。
小柄な身体がよりいっそう小さくなったようでアルは微笑む。
「なに笑ってんだよ」
「なんでもないよ」
アルはそういうが顔は笑っている。
ちょっとムっとするが、笑ってるアルフォンスの顔を見ているとやっぱり落ち着かなくなってくるのでアルの手の中あるコップに視線を移す
「お前、何飲んでるんだ?」
「ん?これ?姉さんには無理だと思うよ」
無理って言われるとほしくなる
「一口くれよぉ」
「んー。でもこれ飲めないんじゃぁ?」
「おねいちゃんに飲めないものなんてない」
「しょうがないなぁ。姉さんは・・・どうぞ」
ココアよりかなり薄い色した飲み物からは甘い匂いがたちこめる。
エド子はホクホクした顔でそうっと大事に口に運ぶ
「ぶふぉっっ」
「汚いなぁ〜。姉さん」
「なんじゃこりゃぁぁぁ」
「何って?牛乳だよ。蜂蜜とブランデーが入ってるけどね。暖まるんだよ」
手に持っているコップの中身を見つめたまま固まるエド子
「こんなもん飲ませんじゃねえ〜〜〜」
「あはは」
持っているコップをぱっと放り投げ、アルフォンスをジロリとにらむが、世界には万有引力といものがあってエド子の頭の上に落ちてくるのであった。
エド子にとって謎の液体を湛えたまま
「アル〜〜〜〜」
「え?え?僕のせい・・?」
姉の剣幕にすこし後ずさり、いつものように姉弟の追いかけっこが始まる
「まて〜い。アル〜っ」
「ぼ・僕のせいじゃないよ〜。姉さん」
「待て待て〜い」
「待ちませ〜ん」
「止まれ〜」
「止まりませ〜ん」
ぐるぐると火の回りを回り続ける姉弟を、月はいつまでも見ていた

その一方で・・
「迷った・・・」
青い軍服に身を包む男が森の中で一人。
胸に着けた階級章からかなりの上級将校だとわかる
「中尉の言いつけ守ればよかった・・・」
齢30弱にして、子供のようにうなだれるこの男。ロイ・マスタング大佐 二つ名 焔の錬金術師
司令部では大多数の部下を持ち責任者でもある彼であるが、ここは北も南もわからない深い深い森の中焔と女性を扱うことは一級品でも、東方いや国中一の方向音痴である彼にもう三つ目の呼び名がある・・
それを無能と呼ぶ
うげ〜・・・。錬金術で服乾かしても匂いが取れない〜」
「うん。牛乳くさいよ。姉さん」
「誰のせいだよ。誰の・・・」
森の中を逃げ追っかけあっていた姉弟は、一時休戦でエド子に染み付いた匂いを何とかしようということになった
「髪にも匂いがついちまってるし〜・・・」
「困ったね〜」
「ちょっと水場を探してみっか。アル、お前はあっちを、小川か水場あったら教えてくれ。
 俺は向こうを探して見るから」
「わかったよ。姉さん」
アルフォンスを見送ってから火を消し、別の方向に歩き出す
大嫌いな牛乳を被ってしまったせいで自然と足の運び速くなる。
しばらくすると、木々のない開けた場所に出た。
「うわぁ〜・・・」
自然と感嘆の声が漏れる
月に照らされて金色に輝く水面が広がっていた
「湖?」
小さく波を立てながらそよそよ白い砂場に打ち寄せる
吸い寄せられるように波打ち際まで降りていく
両手でそうっと掬ってみる。機械鎧の右手と左手の間に月がうつるが、水が零れ落ちると溶けてなくなった
「そんなに冷たくないや・・・。よぉし」
月を見上げてにんまり笑うと勢いよく衣服を脱ぎだすエド子であった
焔の錬金術師 ロイ・マスタング大佐は未だに森の中を迷い彷徨っていた
周りに有能な部下と愉快な仲間(部下)たちがいないので今にも泣きそうである
「・・こうなったら、森を焼き払って助けを呼ぶしかないのか・・・・」
物騒なことまで考え始めているロイであった
「あぁ。でもそうしたらここいら一帯が大火災になって始末書だけですむかどうか・・・
 訓告?減給?懲戒処分ってことは・・・・うーむ・・」
ごんと大きな音がして、顔面から木にめり込む。考え事しながら歩いてぶつかる軍人てばどうよ?
鼻から血をたらし大佐をしたう女性には見せられないような顔をしてのた打ち回る
{〜〜〜〜〜〜〜っ」
ようやっと痛みから解放されると、魚が跳ねるような水音が聞こえてくるのに気づいた
「ん?川でもあるのか・・・?それをたどって行きば町か村にでるかもしれないな・・」
ロイもう泣かないっとお月様に誓って水音のする方へ踊るように駆け出していった

「ひゃっほう〜」
エド子はザブンと勢いよくもぐり湖面のそ底に向かって泳ぎだす
湖は地下水の湧き水からできたものなのか透明度が高く、湖面底まで月の光が届いていた
息が苦しくなるまで、一頻り泳いでから湖面に顔だす
「ぷっはぁ〜」
三つ編みに結った髪をほどき、湖面に身体を仰向けに横たえる
人もあまり踏み込むことがなさそうな深い森の中の湖。しかも夜だし誰に見られるわけでもなく水浴びができる
機械鎧を着けている身で、普段は男のような格好をしているので身体を洗うにも気を使っていたがここは誰もいない場所すっぽんぽんでもかまいはしない
ふいに月の中の影が鎧のアルフォンスのように見えた
「やべー。アルのことすっかり忘れてた。匂いに取れたしもどるかぁ」
背泳ぎのままゆっくり岸に向かって泳いでいった
ほう、月夜の湖か。美しいものだな」
渋くつぶやいてみるロイ・マスタング
だけど当然のごとくここは森の中で一人迷った身なので、だれも頷くものはいない
すこしいつもの司令部の賑やかさを思い出して寂しくなり、歩を進める
湖全体を見渡せる所にきて、沖の方から何かがゆっくり岸に向かってくるのが目にとまった
魚か何かだろうか?
気になったので、岸のほうに注意深く音を消して歩く
人?こんな森の中に?
大木の陰に隠れて、様子を伺ってみる
湖から上がって来た影は、まわりをきょろきょろ見渡し立ち上がる
浮かび上がるのは濡れた金色の髪、どこまでも白い肌、そして銀色に光る右腕だった
自分は、狐にも抓まれているのだかろうか?
こんな深い森で人に会うとは・・・。しかも妖精のような美女に
月湖の精は、こちらに気づくことなく水からあがる
美女・・・?
白い肌は柔らかそうであるが胸はなく・・・
背はちっさく尻から足にかけても凹凸なく・・・
機械鎧のようせい・・・?
「鋼の・・・?」
「おや?こんな所で奇遇ですね。大佐」
気配なく後ろから声がかかり、内心焦りながら素早く間合い取りながら振り替える
「鋼のおと・・」
「しっ。姉さんに気づかれますよ?」
口元に人差し指を当てて落ち着いた小声で話す鋼の弟、アルフォンスであった
ちらっと、子犬のように雫のしたたる頭を振る彼女に目線をやるがこちらには気がついた様子ではない
「き・君らは何故こんなところに?」
「新しい情報がこの先の町であるっていうんで、向かってる途中です。大佐のほうこそ何故こんなところに?」
「私は・・」
「あ。分かりました。ホークアイ中尉とはぐれたんですね。
 大佐は、東方一の方向音痴で一人にするととんでもない所にいってしまって探すのが大変だって中尉が言ってましっけ??」
アルフォンスは、小首をかしげ思いを巡らしながら何気に痛いことをいう
そして人好きがするにっこりとした笑みを浮かべてから、フッと目を細め言い放つ
「ほんと、雨の日以外も無能ですね」
アルフォンスによってもたらされたブリザードに凍結させられるロイであった
が、固まっているわけにもいかない
自分の後ろには、ぽちゃぽちゃの(そんなに肉付きよくないが)
ぷりんぷりんの(揺れるものなんてないない)
ぼーんぼーんが(だからない。ないんだよ(;Д;))いるのだ
「き君らがここいる理由は解ったが・・鋼のは何故こんなところで水浴びをしてるんだ?
 君は君で・・、姉の水浴を覗き見とは関心せんな」
「覗き見じゃありませんよ。姉さん、僕の前では(鎧のころ)平気でハダカになるし」
「じゃ・・じゃあなぜ鋼のに見つかるとまずいのだ?」
「まずいのは大佐、あなたでしょう?
 はぁ〜・・・。もう少しで僕の構想計画通りことが進んだのに・・・」
こんなところに無能大佐が現れるなんて・・本当についてない。僕って呪われてるのかも?
ずいぶん失敬なアルフォンスの言葉に怒りを感じながらも・・ある言葉に引っかかりを覚える
「計画ってなんだね?君」
「大佐には関係ありませんよ。ぼくら姉弟が末永くシアワセに暮らすための計画なんですから」
なんとなくだが、鋼のに対して一方ならぬ思いを抱いている身なので、この腹黒い弟の魂胆は見えてきた
姉の前では温厚で純情の弟でいるが・・私はだまされないぞ
鋼のを守るのは、この焔の錬金術師 ロイ・マスタングだ
「君たちは姉弟だろう?白いウエディングドレスを来た鋼のとヴァ−ジンロードを歩くのは、この私だ!」
「ふっ。ヴァージンロードを歩くのは父親の役目ですからね。思う存分にどうぞ。おとうさん。
 金色の髪の花嫁に婚姻の指輪を渡し、誓いのキスかわすのはこの僕だっ!」
「どうやら鋼の弟。君は、再び禁忌を起こそうとしているようだな・・?ならば鋼のの上司でもある私が全力を持ってとめるしかなさそうだ・・」
言ってロイは、焔の練成陣が書かれた白い手袋をはめた右手を顔の前までゆっくり持ってくる
「あぁ〜?禁忌なんか1回でもすれば2度も3度も、同じですね。
 知ってました?人に戻った僕も姉さん同様練成陣なしで、練成できるんですよ?」
アルフォンスは、胸の前に両の手のひらを合わせ迎え撃つ準備を整える
こうして、嫉妬深くて腹黒い男二人の戦いは切っておとされる・・ことはなかった


ふいに湖の方から大きな水音と同時に大きな水柱がたつ
エド子は脱ぎ散らかした自分の衣服をすべて拾って着ようとしているところだったので、
一瞬何が起こったのか分からなかった
「え?」
紅い巨大なハサミが自分に向かって振り下ろされてくるのが見えたので、間合いぎりぎりで飛びよける
よけたところに突き刺さり、水飛沫と砂埃を巻き上げエド子が見えなくなった
「姉さん!!」
「なんだ?何が起こった?」
睨み合っていた二人だが突如起こった轟音に、後方の湖に向かって走り出す
「合成獣っ」
「こんなところに?しかもでかいっ」」
頭と両腕がカニ。胴体がカメ。下肢がサソリ尾っぽの巨大な化け物が夜闇に眠る動植物たちを震え上がらすような咆哮をさけぶ
「ギギギギギギィィィィィィーーーーー」
眠っていた鳥たちが闇の中に大慌てで飛び立っていく

「いって〜。尻打った〜」
何とかよけたが着地に失敗して、地面に尻もちをついたエド子に容赦なく二撃目が繰り出される
「くっ。あ〜。俺の服ーーっ」
次の攻撃もよけたが持っていた服がばら撒かれて広範囲にちらばってしまう
こうなったら素っ裸で、目の前にいる敵とやりあうしかない
「こんにゃろぉぉぉ〜〜〜」
パンっ!
勢いよく手のひらを合わせて、両手を大地に叩き付ける
エド子の足元から、巨大な三つ牙が合成獣に向かって伸びていく
ふいの反撃に合成獣はよけることなく胴体中央部にあたり後ろにひっく返り、湖面に倒れていく
エド子は素早く回りを見渡し、一番近く似合った紅いコートを拾いあげ一枚布に練成し身体に巻きつける
「姉さん!」
「鋼のっ!」
「アルっ!来たか?大佐っ!何でこんなところにっ?」
「姉さんは下がってて!」
「鋼の!後は私にまかせろ!」
ひっくり返っていたカニカメサソリ怪獣はゆっくりと尻尾をつかってゆっくり起き上がってくる
「い〜や。俺がやる!」
後ろに庇おうとする二人をよそに左腕を腰に当てて宣言する
「人がせっかくっ気持ちよく水浴びをしてる時にっ。まったっく台無しじゃねーか。
 その代償は・・・大きいぜっ!!!」
首をコキコキならし、ニヤリと笑ってから走り出す
「あ。姉さん!」
「鋼の!・・・やっぱり鋼のはどんな時も鋼のだな」
「えぇ・・。これが姉さんですから」
自分がエド子をかっこよくたすけようとおもったのに・・・
『はぁ・・・』
二人そろってため息つくのだった

エド子はうなだれている男二人をおいて、大きな岩場まで走っていた
その岩場の頂に跳びのぼり、三度練成を行う
現れたのは黒光りする巨大な大砲。それに跨り狙いを定める
「エドすぺしゃるだぜっ。くらいなっ」
砲弾が一発まっすぐ飛んでいき、大きな音たてて合成獣にぶち当たる
少しよろめいたところに二発・三発と続けて打つ
「ギギギギギギィィィーーーー」
再び、湖の中に倒れていった。いや自らもぐって身を潜めるつもりかそうはさせじと、大砲を放つが水柱を上げるだった
「ちっ」
残りの砲弾も使ってしまってもうない、どうする?
「姉さん」
「鋼の」
黒い大きな影はゆらゆらと湖をまわっている
やっと追いついてエド子の横に並ぶ、アルフォンスとロイ
今度こそエド子を助けられる
「そうか」
『え?』
「アル!大佐!あの化けもんの姿が現れたら、あいつに向かって俺を放りなげてくれっ!!」
「お・・おい。鋼の」
「姉さん!・・わかったやろう」
ややうろたえるロイと、少し思案しながらも頷くアルフォンスに両脇を抱えられて、時を待つ
「来た!!」
エド子の声とともに、二人は高く高く小さな身体をほうり投げる
月に照らされた湖の上を飛ぶ金の髪と白い肌は、きらきらと光る水飛沫をうけ美しい身体を半分ひねり体制を整えカニ頭に向かって突っ込んでいく
機械鎧の右手が刃に変わり、閃いた
エド子は合成獣にぶち当たるようにしてまっすぐ下に落ちた
「姉さんっ!」
「鋼のっ」
「ギィアアアアアアアアーーー」
合成獣が咆哮をあげる。
真っ二つ切り裂かれて崩れるように左右同時に倒れていった
「倒したのか?鋼のは・・」
「大佐。姉さんは」
「わからない・・湖に落ちていったようだが・・・」
エド子と合成獣が死闘を繰り広げた場所は白波一つたたず、静まり返っている
アルフォンスが湖に飛び込もうとした時、下から声が上がる
「おーい。アル、大佐引き上げて〜」
湖面にぷかぷか浮いたエド子が、ニカっと白い歯を見せて手を振る
「姉さん・・よかったぁ」
「しかし、ほんとに無茶をするな・・鋼のは」
「大丈夫だって。前にあの合成獣と似た化けもんとやりあったことあるけど、
 甲羅の下。腹はだいたい弱点なんだよなぁ〜」
「でも、姉さん今のカメだったし、お腹のほうも硬かったらどうするつもりだったの?」
「・・・・・」
「まぁ。倒したからな。鋼のはたいしたものだな」
はは〜。大佐〜。やっぱりやっぱり〜」
姉さんを甘やかすのは止めてくださいと睨むアルフォンスとそれを白々無視するロイはエド子に手を伸ばし湖から引き上げる
暗い湖面から上がり、雪のように白い全身が月明かりに照らされる
もうしわけ程度に秘所を隠す産毛も金髪なんだなとぼんやり思う
「あ゛っ」
『あ゛?』
「きゃぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
エド子は、自分がしているはずの布がないのに気づき、二人をつきとばす
どぼーーーん。
水柱が二つ上がり、岩場の上には悲鳴を上げ続けるエド子一人だけで、アルフォンスとロイの姿はないのであった

しばらく気が動転していたエド子は我に返り、自分の黒い上着をみつけ着込んでいた
とりあえず、トレードマークの三つ編みは結い直してある
「ズボンないからスースーするし・・早くさがさなくちゃ」
砂浜をずるずる引きずる音がして、身構えながら振り向く
「鋼の〜〜〜」
「ねぇ〜さ〜ん」
濡れゾンビなロイとアルフォンスであった
「あ。大佐とアル・・わりぃ」
「もうっ。突き落とすことないでしょう?姉さん」
「はは。ごめんな。アル」
「私は、右腕で突き飛ばされたから死ぬかとおもったぞ・・」
「はは。すまない・・大佐。そ・・その自分がハダカだって思わなくて・・・それで・・き・気が動転して・・」
瞳を潤ませながら、耳まで真っ赤にしてしどろもどろに話すエド子は、さっきまで合成獣をやっつけた鋼の錬金術師とは思えないほど弱弱しく、白い素足をこすり合わせおろおろしているただの少女だった
萌えっ
男二人が考えることは同じらしい・・・
ただならぬ二人の雰囲気に少し引くエド子であった
カサササササササササッ
葉と葉こすれような音がしたなと思ったら、首筋に痛みが走る
「イタッ」
「どうした?鋼の?」
「姉さん?それっ!!」
エド子の襟足にサソリがいるのを見つけ、素早くアルフォンスは叩き落す
「サソリ?いや、違うな・・・」
『合成獣!!』
手のひらサイズ合成獣がひっくり返り、アルフォンスの下でバタバタしている
「さっきのより。小さいですけど・・これ合成獣ですよね?」
「頭がカに。胴体がカメ。尾がサソリ・・間違いないな」
「こ・・こんなのきいてねーぞ・・」
「鋼の!」
エド子はつぶやいて倒れこむのをロイが受け止める
呼吸は荒く、苦しそうに目を閉じている
「姉さん!合成獣の毒にっ。くそぉっ」
まだばたついている小さい化け物を踏みつけ止めを刺す
カサカサッ。カサカサッ。
あちらこちらから、葉のこすれるような音がする
「!」
ちっさいカニカメサソリ獣が、大群で姿を表す
「逃げるんだ!!」
ロイはエド子を抱き上げ森の中へはしりだす
アルフォンスも後に続く
合成獣の大群は、森を埋め尽くす勢いで増えて三人の後を追う
囲まれる前に逃げ切れるか?
「ちっ」
アルフォンスは小さく舌打ちする
「大佐。ここは僕が食い止めますから、姉さんを連れて先に行ってください」
「いや、アルフォンス君。ここは私が食い止めよう」
走りながら言い放つ
「大佐〜・・・。さっき水に落ちたでしょう?発火布は使えないと思いますよ?」
「・・・・・」
「だから、僕が食い止めます。十字星が見える方向に向かってひたすら走ってください。町に着くはずです」
「き・・君はこの場所に詳しいのか・・?」
「ああ〜。もうっ。予想外のことばかり起きる!せっかく人に戻ったのにっ。本当に僕ってのろわれてるのかなぁ〜・・」
そういってアルフォンスは歩みを止める
つられてロイもエド子を抱えたまま歩みをとめる
風のようなかすれる音はまだ聞こえてこない。だが、すぐそれは訪れるだろう
アルフォンスはロイの腕で、瞼を閉じたまま動かないエド子に目をやる。だんだんと呼吸が速くなってきている
昔のことを思い出す。白い腕と足に機械鎧がつきその熱で数日うなされ続けた、か弱い姉のことを・・・
急がなければ・・。急がさせなければ
「姉さん。ここは僕が食い止めるからね。いつも守られてきたから今度こそ守らせてよ。ね」
「あ・・アル」
エド子はうっすらと潤んだ瞳を開いてアルフォンスを見つめる
「大丈夫。僕は、姉さんの弟だからそう簡単にはやられないよ。すぐ、姉さん追いつくからまっててね」
ちゅっとエド子のオデコにキスを落とす
「だって僕は弟としての以外のキスも、姉さんとしたいからね」
「のわぁ・・鋼の弟っ」
「大佐っ!急いでっ。はやくっ!!」
ロイは、アルフォンスからエド子を守るようにして、走り出していった

                                 つづく

次回・・予告

「あ・・ん・・・なんだか身体が熱い・・」
「は・・鋼の?」
「ここで少し下ろして・・大佐。大丈夫だから」
「いいや、急いで町までいって解毒しなくては」
「からだのちゅうしんが・・あつくてあつくて・・おかしくなってくる・・?」
鋼のの吐息が耳にかかってって・・どっきどきしている場合か。私はっ

その一方で、アルフォンスはまだ戦っていた・・
バキ。どかどかどか。
「おらおらおら、この下等な蛆虫どもめっ。はあ〜。やっぱり大佐置いて僕が姉さん背負って逃げればよかったなぁ〜・・。まっしゃーない。さっさと終わらせて合流しようっと」











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