7月の夜  
                                                           (3P)

さて、今夜はいい仕事をした
そろそろ今夜の現場での仕事は引き上げて帰るとするか

さて、ずっとついてきたお前・・・
お前も俺のヒーローぶりを理解くれただろう
おやおや、何をそんな怪訝な顔をするんだい
いいのさ、ヒーローたるもの孤独だ
誰にも理解されなくても俺は真実の変態を貫くのさ!

・・・・・おい何も言わずに帰るなよ!
まったく最近の若者は礼儀がなくていかん。ブツブツ・・・
いやしかし、こうあからさまに冷たくされるのも放置プレイの一種で
なんかゾクゾクするものが・・・おぅ・・・
・・・あ、ちょっと先っちょから出ちゃった・・・

さて、俺もこうしてはいられない。色々と仕事が山積みだ
帰ったらまた変態作業が残っている

俺が管理人のアイコラサイトの更新をせねばならん
ダッチドールのアイちゃんも俺を待っている
毎晩相手にしてあげないと彼女は拗ねちゃうからな〜。よし今日は一緒に風呂に入ろう
そうそう、女装専門店の【LOVE】にも最近顔出してないなぁ〜。そろそろ顔ださなくちゃな
                   (ちなみに俺の女装名はRUMIちゃんだ)
向かいのマンションに住む伊藤美咲さん23歳の行動も覗いて観察しなくちゃならん
彼女に悪い虫がつかないように見守るのも俺の使命だ
人はそれをストーカーというが、俺はストーカーじゃない。変態ヒーローなのだ

あぁ、変態ヒーローたるもの多忙なのだ


おっと・・・ちょっとまて・・・
あの洗濯物はなんだ・・・?
おいおい、あれは間違いなくパンテェじゃないか
しかもワンルームアパートのベランダだ
あきらかに若い女性のものだろう
いかんなぁ〜あんなに無防備にブラブラぶらさげていて〜

まるで「盗って下さい」と言ってるみたいじゃないか

じゃ、俺がその望みを叶えてやるよ
ヒーローたるもの一般人の願いを叶えてやるのも仕事のうちだ

そして、俺はアパートの柵をなんとか越えて
パンテェめがけてそ〜〜と忍び寄った
用意していた携帯式警棒を出してそれを延ばし
ハンガーに引っ掛けた

とその時

いきおいよく窓ガラスが開いた

レースたっぷりの小さいおパンツがぶらさがったハンガーが一瞬揺れて・・・

B95W95H100 出身東北 山吹幸代55歳独身 (推定)

の目と俺の目があった

「ぎゃああああああーーーーー!!!へんたいぁーーーーーーいいい!!」

幸代は己の声帯を全開にして叫んだ
俺は警棒で幸代の腹を殴ると「うっ」と小さく叫んで幸代は倒れた

幸代の声でワンルームアパートの住人達が次々に窓を開けた

俺はワタワタとしながらまた柵を飛び越え
夜の闇に姿を消した

アパートから「変態だ!変態だ!」と声がする

そうさ、俺は変態だ

だから変態ヒーローを名乗っているのだ

もっと俺を罵ってくれ。罵倒してくれ
しかし幸代のパンテェを持ち帰る気になはなれない
そのあたり・・・俺はまだ真の変態とは言えないのかもしれない
まだまだ修行が足りない証拠だ
ヒーローたるもの日々修行を積まなくてはいけない
俺はまだまだ自分を極める必要がある


そう感じた7月の夜だった


               (とりあえずEND)



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