「それで、今その子とはどうなんですか?」
B4の問いかけに男はドキリとした
そして、途方もない悲しみが込み上げてきた
「その子とは・・・・」
そう言いかけて男は泣き出してしまった
涙が目から鼻から、ダラダラとこぼれ出してきた
「ご!ご主人様!どうしました!休憩しましょう!私を止めて下さい!」
男はグシュグシュ泣きながら、とりあえず道脇にあった林道への入り口に車を寄せた
たくさんの草がはえていて、幅は車1台程度の狭い幅だった
男の車はその草むらの中に隠れるような形で停車した
エンジンを止めて、男はシートに持たれかかった
後部席に放り投げるように置いてあるテッシュ箱を取った
「私、何かお気に触るような事を・・・あの女性と何かあったのですね」
B4は自分が引いた引き金に恐縮して言った
「すいません。何も知らないのでつい聞いてしまいました・・・・」
B4のションボリした空気が車内に伝わる、そして男の心にはもっと強く伝わるのだった
「いいよ。お前が悪いわけじゃない。ごめん、取り乱しちゃった・・・・
よければ・・聞いてくれるかい?」
「ええ、ご主人様がそう言うのなら」
男はティッシュで鼻をかむと語り始めた
「あの女は、俺の事“キモイ”て言ったんだよ。キモイってわかる?気色悪いって意味なんだよ
出会い系でさ、会ってもいいって言うから迎えに行ってお前に乗せたんだよ。
それなのにさ、乗り込んだけど全然しゃべらないんだよ。知ってるだろ?しゃべらなかっただろ?
で、食事する為にファミレス行っただろ?そこでさ・・“もう帰る”て言うからさ
“まだ会ったばかりなのに、なんで?”て聞いたら“キモイから”て言われたんだよ
“どこが?どこがキモイんだ?”て聞けば・・・俺の服装とか外見とか・・CDがモー娘だったとか・・
とにかく見た目がキモイって言うんだよ。それで・・・それだけ言って・・・帰っていったんだよ・・」
男はまた悲しみが込み上げてきたのか涙が止まらないくらいに溢れ出した
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