ソファーを背にして座る獄寺の脚の間に座って、獄寺に寄りかかる、 というカップル丸出しの体勢でツナが見ているTVは 「ツチノコを追え!徹底捜索スペシャル〜奥飛騨山中に幻の姿を見た!〜」である。 「今夜ついに、神秘のベールに包まれた正体に、我々はたどり着く事ができるのでしょうか!」 大げさなBGMとともに始まったTV番組に、はっきり言ってツナは全く興味が無いが、 UMAオタクの獄寺が熱心に見ているので付き合っている。 番組の内容には少しも魅かれないが、「おお!」とか「何!?」とか言いながら 画面に食い入って一喜一憂する獄寺の表情を眺めているのは結構楽しい。 こんなのに夢中になっちゃって、獄寺君て可愛いなー などと思いながらポテチを齧るツナだった。 やがて無駄に荘厳なBGMとともに番組が終った。 「ああ今回も、ツチノコは見つからなかった…」 がっくりと溜息をついて、獄寺はツナの肩に頭を乗せた。 「残念です、10代目…」 「うんうん」 しょんぼりした獄寺の頭をツナは撫でてやる。 「全くあの捜索隊はなってません!俺に捜索プランをたたせれば、 きっと見つけてみせるのに!大体、あの二日目の捜索の時、重点的に調査するのは寧ろ――」 「あーそーだねえ。(←どうでもいい)ほら、獄寺君、元気出してー、あーん」 鼻先にポテチを突き出すと、獄寺は素直に口を開けた。 「むぐ…。美味しいです、じゅーだいめ」 「うんうん。あれ、もう無いや…」 二枚目を出そうと、手を入れた袋の中はもう空だった。 「うわ、さっき袋開けたばっかりなのに。俺、全部1人で食べちゃった!?ごめん、獄寺君」 「そんなの構いませんよ、十袋でも百袋でもいくらでも食べて下さい!」 「いや、そんなに食べれないし……ていうか、俺、最近食べすぎだよな…」 そっと自分の腰に手を当ててみる。 「ふ、太ったかな…?」 「そんな事ないと思いますけど」 ツナのお腹の辺りでゆるく組まれていた獄寺の手が、ツナの腰に伸びて、体の線をなぞるように撫でた。 「あ、でもちょっと」 「えええ」 「沢田さんは元々、細いんですから、多少肉がついたくらいがいいですよ」 「またそーゆー事…。そーやって油断してると、ツチノコみたいに丸々になっちゃうよー」 「愛らしいじゃないですか!」 「やだよ!」 笑って立ち上がろうとしたツナを獄寺が抱きしめる。 「なんか飲み物とってこようと思っただけだよ?」 「そんなのいいです」 更にぎゅうぎゅうと抱きしめる。 「10代目を捕まえました!」 「俺はツチノコじゃないってば」 「ツチノコより10代目のがいいに決まってるじゃないですか!」 獄寺は、そのままツナを抱きかかえてソファの上に横にした。 「じゅーだいめ」 「ん」 獄寺の手がツナの顎をとって上向かせてキスをすると、シャツのボタンをはずし始めた。 「あ、こら」 「やっぱりですよ、10代目」 「何が?」 「太ったというより、グラマーになったんじゃないですか」 「えー?」 「ちょっと胸大きくなりましたよ」 「え、そ、そう…かな?」 別に下着がきつくなった自覚もないが、下手すればツナ自身よりツナの事を見ている獄寺の言うことである。 でも獄寺君、俺には、かなりフィルターかかってるからなあ… しかし、この件に関して獄寺以外の評価は、別にどうでもいいのも事実だ。 獄寺君がそう思うなら、それでいっか! 「…獄寺君、俺が胸大きかったら嬉しい?」 「え、いや、その、そりゃ」 獄寺は今更赤くなって横を向いた。 「でも、10代目だから、いいんです…!10代目だったら、俺は何でも…」 「うんうん」 ツナは微笑んで、獄寺の頬に口づけた。 「触っていいよ…?」 赤くなった耳に囁けば、ばっと振り返って覆いかぶさられる。 「わっ」 「そんな事言うと、全部触りますよ…?」 ニッと笑う獄寺の顔には、捕食者の色が滲んでいた。 「いいよ、触って」 獄寺の背に腕をまわして引き寄せる。 「俺、獄寺君に捕まっちゃったから、好きにしていいよ」 ああ俺も恥かしい事言うようになっちゃったなあ… と、どこか冷静に思いつつもツナは目を閉じた。 |