■■■ブラックダリアの息子■■■
(T・U 改訂版)


A5/P196/¥1600





 関東大会準々決勝前。
都立不動峰中学テニス部部員、伊武深司が一週間学校を休んだ。
理由を聞かされていなかった他部員は、一週間後無事に学校に出て来た深司の姿を見て胸をなで下ろす。
――が、彼から聞かされた休みの理由に皆が驚愕した。

 世間を騒がしている猟奇的な事件があった。
 その殺害方法は頚部圧迫による絞殺死だが、死後、死体は腰のあたりから切断され、道端に放置されるというものだ。
 
 その犯罪が、1947年ロサンゼルスで起きた『ブラック・ダリア殺人事件』と呼ばれるものと酷似していることから、模倣犯でないかとネットを発端とし噂が流れ、そのように世間で呼ばれるようになっていた。

 被害者は黒髪の美しい既婚者女性、三名。
 その三人目の被害者の、第一発見者が深司だったのだ。
 その事実を本庁は隠していた。何故なら、深司にはその死体発見時の記憶が失われていたからである。

 何故、自分はそこにいたのか。
 何故、自分は死体を発見したのか。
 何故――記憶が無いのか。


 犯人は捕まらず。捜査の進展は見られない。
 警察の保護下のもと、山吹との準々決勝が始まった。


 一方、同じく準々決勝を前に意気込む山吹。
 そんな中、一週間前から壇太一の情緒が不安定だった。
 周りの者は心配するも、太一はただ「心配ない」と笑う。

 準々決勝。不動峰勝利で沸く会場内。
 深司は太一と出会うことにより、事件当夜の記憶を取り戻す。


 その記憶とは
 事件のあった夜。
 死体の側に血にまみれた太一が立っていたというものだった。

 両校の間に衝撃が走る中。
 太一は警察により事情を聞かれることになる。
 だが、「一週間前の出来事」を訊かれた途端、突然倒れてしまった。
 そのまま病院に運ばれることになったが、到着後に失踪してしまう。


 千石の機転のお陰で、無事に保護された太一。

――だが、 彼もまた、事件当夜の記憶を失っていたのだった。


 










 
一年間お待たせしてしまいました。
ようやくT・Uを合わせての改訂版発行となりました。
最初はただ再販を、と思っていたのですが。
当時の私の文章のあまりの拙さと(今も対して変わりませんが)テニスが全国大会に進んだり、20・5巻が出たりと状況が大分変わってしまったので、少なからず中身を弄りました。

文章で言うなら、手の入っていないページはありません。
ただし、内容自体は変わっていないと思います。
同じ内容の本を、1から今の文章で書き直したというのが一番近いかもしれません。
 増えたエピソードもありますが、減ったエピソードもあります。

 そして当社比でカップリング色が消えました。
一応橘×伊武 亜久津×太一 に変わりは無いんですが、この話の中では、恋愛感情は生まれていないので・・・。

 そして当社比でイタさが増えました・・・。 

 不動峰と山吹がメイン。
 主人公は太一と深司。

 過去を思い切り捏造してあり、猟奇的な描写が多々ありますので、苦手な方はご注意くださいませ。

 途中でルドルフも登場していまして、ルドルフ視点でこの話の一部を書いたのが『あなたは知らない』となります。

 そしてこの話の最後から、氷帝『音のない森』に続いています。

 他にも色々リンクしている世界設定となっておりますが、この話はこれでのみで完結していますのでご安心下さい。

今回、表紙イラストは直様にお描き頂きました!
いつもありがとうございます!!























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