「慧兄ちゃん……」
「……佐奈ちゃん?」
平日正午。僕は38度の熱に浮かされた頭を持ち上げ、開かれたドアの方向を見る。そこにはとってもハッピーな姿をした佐奈ちゃんの姿がある。
「な、なにその格好!?」
「看護婦さん、のつもりだったんだけど……、変かな、やっぱ」
顔を真っ赤に染めながらも、佐奈ちゃんはどうにか笑顔を作る。しかしこのコスチューム、言われてみれば看護師さんに見えないこともないけれど、僕にはそれ以上のモノにも思える。
まずベースにあるのはゴスロリに分類されそうな真っ黒いドレス。溢れんばかりに飾り付けられたヒラヒラのレースがとても可愛らしい。。
そして、その上からはこれまたヒラヒラのたくさんついた純白のエプロンが装備されている。キュッと細い腰に巻かれたリボンがやけにキュートだ。
で、ようやく頭にナース帽。だがそれも、薄いピンク色の地に赤十字のマークというある意味分かりやすいデザインをしている。おそらくはコスプレ用の品だろう。
衣装の個々を見てみれば、構成要素はバラバラで、おおよそまとまりがない。クローゼットにあったカワイイものをランダムにかき集めてみましたってカンジだ。
しかし、それを佐奈ちゃんが着ると不思議な物で、なんだかすごくトータルバランスがとれている。その姿はさながらゴスロリメイドナースとも言うべき、犯罪的なキャラクターだ。
「ぞ、属性つけすぎなんじゃないかな……?」
僕は鼻梁を押さえながら答える。やばい、熱ともあいまって鼻血がでそうだ……。
「そうかな……。でも、こういうの慧兄ちゃんが好きだと思って……」
そう言うと、佐奈は少しずつ僕の方によってくる。僕はそれを慌てて制する。
「だ、ダメだってば佐奈ちゃんッ! 僕いまインフルエンザなんだよ? うつっちゃう!」
「でも、近づかなくっちゃ看病できないよぉ……」
うぅ……。その気持ちはとてもありがたい。我が弟ながら、佐奈ちゃんはやっぱり可愛い。
でも、だからこそ、そんな佐奈ちゃんを病気にしてしまうワケにはいかない。
「ダメだよ、佐奈ちゃん。せっかく学級閉鎖で学校がお休みなのに、風邪なんかひいちゃうのはもったいないよ。だから、僕には近づいちゃダメ……」
「でも、慧兄ちゃん……、とっても苦しそうだし……」
「ちょっと寝て、汗をかいちゃえば直っちゃうよ。心配しなくても平気。うん、ほらもう大丈夫」
僕は少し体を起こして、微笑みながら力こぶを作る。おそらく顔は真っ赤だし、髪もボサボサだけど、それでも心配かけさせないくらいの表情を僕は佐奈ちゃんに見せる。
「だから、こっちはいいよ。それより晶兄さんの方が心配じゃない? もう5日も寝込んでるんだしさ」
僕は話題をもう一人の兄、晶の方に向ける。
「そっか、あき兄ちゃんの方が、大変……かなぁ……?」
「うん、あっちの方が重傷だよ。看護師さんも必要さ。ほら、早く助けにいってあげないと……!」
「……分かった。じゃあ、あき兄ちゃんの方にも行ってくる。何か困ったことあったらすぐに呼んでよ。あたし、すぐに飛んでくるから」
「看護婦じゃなくて看護師ね。うん、ありがとう佐奈ちゃん」
「はい、行ってきます」
佐奈ちゃんは改めて扉を開けて、隣の晶兄さんの部屋に向かう。パタンと、勝手にドアが閉まる。
僕は再び脱力し、ベッドの中に沈み込む。
「ふぅ……」
少し、疲れた。体はダルく、とても力なんか入らない。クラクラと眩暈までしてくる。僕は大きめの枕にボフンと頭を落とす。
でも、これでよかったと思う。こんな辛い思い、佐奈ちゃんまですることなんてないんだから。
晶兄さんはもう熱も下がっている。側にいたって病気が感染ることなんてないだろう。とりあえずは、安心していいはずだ。
……あの姿を独り占めさせられるのは、ちょっぴり悔しいけど。
隣から聞こえてくる楽しげな声に、僕はこっそり聞き耳を立てている。
『はは、佐奈すげーいい感じゃん。やっぱお前、そういうの似合うのなー』
『うぅ……、やっぱりあたし、すごく恥ずかしいよぉ……』
『ありゃ、佐奈は今、女の子モードか。……あー、すっげー可愛いよ。……可愛い、……可愛い、メチャクチャ可愛い』
『やん……ッ。あき兄ちゃん、そこくすぐったいってばぁ……』
『ふーん。じゃあ、ココは?』
『あんッ! ちょっと、そこダメ……ッ! ダメだってッ!』
何をやっているんだろう。壁一枚挟んだ向こうの部屋からは、佐奈のオクターブ一つ高い嬌声が聞こえてくる。
『ほーら、じゃあこれなんかどうだ?』
『やッ! そこまでしたら……は、恥ずかしいってばぁ!』
『ここまでしといて、それはないよ。ほら……、こんなになっちゃった……』
『あっ……、あう……、あうぅ…………』
ちょっと、ちょっと、ちょっとおぉッ!!
確かに風邪がうつるといけないから、佐奈ちゃんを兄さんの部屋に送り込んだのは僕だ。でも、たった一人だけ仲間はずれにされるのも、ものすごくイヤだ!
僕はベッドからずり落ち、這うようにして隣の部屋に向かう。
廊下にでると、半開きのドアからはさっきよりも大きく佐奈たちの声が聞こえる。
「はは、可愛い、可愛い。慧も喜ぶんじゃないか? こんな佐奈のコト見ちまったら」
「や、やぁぁ……。こんな姿を見られたら、恥ずかしすぎるよぉ……」
「ふーん、お前って慧のこと本気で好きなのな……。なーんだ、じゃあ俺のことなんてどうでもいいんだ」
「違うってばぁ! あたしは、慧兄ちゃんのことも、あき兄ちゃんのこともぉ……ッ!」
「……何してんだよぉッ!」
僕は這いつくばりながら晶兄さんの部屋のドアを開け、怒鳴り込む。そこにはベッドに腰掛ける兄さんと、頭を押さえながら半泣きになっている佐奈ちゃんの姿が見える。
佐奈ちゃんの頭には、ちょこんとネコの耳がついている。
……かわいい。
おそらくは、今、兄さんにムリヤリつけられたんだろう。ナースキャップの奥に三角形の黒い耳が二つ顔を出している。まるで萌え萌えなイラストが、そのまま三次元に抜け出して来たかの様な光景だ。
「あ……、け……慧兄ちゃん…………」
「なんだよ、慧。こんなとこにまで這いつくばって来て。お前の部屋は隣だろう? とっとと寝てろよ」
晶兄さんは僕に向かって手を払い、シッシッと追い出そうとする。
「な、なんだよぉ……ッ! そんなこと言ったって、隣でこんなことされたら寝れるわけないじゃないかぁッ!」
「ふーん、そっか。でもなぁ、慧……」
そう言うと、晶兄さんは佐奈ちゃんの手を掴み、グイと自分の方に引き寄せる。佐奈ちゃんはそのまま体勢を崩し、兄さんの方へ倒れ込む。
「キャッ……、あんッ!」
兄さんはその小さな肩を抱きしめる。
「いいか、慧。お前は病気なんだぜ。それをうつしたくないから、佐奈を俺の所によこしたんだろう?」
僕はズバリ言い当てられる。確かにその通りだ。
「それなら、それ以上はここに近づくなよ。咳をするときは、ちゃんと手を押さえてな。うん、それを守れるなら、見てるまではオッケーにしよっか」
「見てるまでって……」
「つまり、こういうことさ」
そう言うと、兄さんは佐奈ちゃんのとがったアゴを持ち上げ、自分の口を寄せる。柔らかい唇が歪み、ソフトタッチのキスが始まる。
「ん……、あ、あき兄ちゃん……」
「ほら、もうちょっと口開けろよ。気持ち良くしてやるから」
兄さんの舌がそっと差し込まれると、佐奈ちゃんの口が少しずつ開いていく。やがてお互いの舌が絡み始め、佐奈ちゃんの唾液をすする音まで聞こえてくる。
「に、兄さんッ……。さ、佐奈ちゃん……」
僕はそんな光景をあっけにとられながら見ている。血の繋がった兄弟の濃厚なキスを、仲間はずれにされながら眺める。
僕達兄弟は仲が良くって、よく『こういうこと』をする。小さい頃からの習慣だし、特に嫌悪感はない。
でも、この行為はいつだって三人一緒だった。抜け駆けは無し。それが、僕達の暗黙のルールだった。
なのに、なのに……。
「ほら、慧がじっと見てるぜ、佐奈。ネコ耳ナースのエロっちー顔に、みとれちゃってる……」
「やあぁ……、い、言わないで……。恥ずかしい……、恥ずかしいよぉ……」
佐奈ちゃんは兄さんの大きい腕に抱かれながら、体をピクピクさせている。目もウットリと伏せられて、ヨダレが一筋アゴに伝っている。
ゴスロリメイドネコ耳ナースが、口内愛撫の余韻に震えている。
「あぁ……、佐奈ちゃん…………、佐奈ちゃん……」
僕はその蠱惑的な光景に、視線を外すことができない。頭はもうクラクラして、世界がまっすぐ見られない。熱と興奮でガンガンと頭痛がする。
なのに、おちんちんだけは激しく勃起している。これだけの発熱にもかかわらず、下半身の充血はなお、僕の体で一番熱い場所になってしまっている。
兄さんの指が佐奈ちゃんの頬を撫で、やがて口元に滑ってくる。
佐奈ちゃんは口の中に入れられた中指に舌を伸ばす。そして口に含み、チュパチュパと美味しそうに吸い立てる。
「はは、佐奈はなんだか赤ちゃんみたいだな。ほら、気持ちいいだろ?」
兄さんは佐奈ちゃんの口の中を、指でムリヤリ掻き回す。
「ふぅ……、ふぶぅ…………、う……、うぐぅ…………」
佐奈ちゃんのくぐもった呻きにが僕の耳に届いてくる。佐奈ちゃんの快感が僕にも伝導してくる。
僕はもう耐えきれずにパジャマのズボンを下ろす。汗でベッチョリと濡れたブリーフも引き剥がすように下へずらす。中からはガチガチに勃起してしまった半剥けのペニスが顔を出す。
「うぅ、さ、佐奈ちゃ……、佐奈ちゃん…………ッ!」
僕は自分の幼い肉茎を必死にしごく。
「け、慧にいちゃ…………、はっ……はうぅ……」
佐奈ちゃんは晶兄さんの膝の上で、大きな手のまさぐるような愛撫に悶えている。兄さんの指は佐奈ちゃんの顔から下に移動し、露出された首筋や、エプロンの下の胸を揉んでいる。
兄さんが佐奈ちゃんの耳元に口をつけ、そっと囁く。
「佐奈……、見てごらん。慧がとってもやらしいことしてる……。佐奈の悶えてる姿に興奮して、自分でおちんちんいじっちゃってる。恥ずかししげもなくフリチンで……。どう……、そんなお兄ちゃんは?」
「慧……にいちゃ…………ん、や、やらし…………ぃ……」
佐奈ちゃんが、僕を見ている……。こんな、浅ましい僕を……。
「や……、やだよ佐奈ちゃん……、み、見ないで……」
「なーに言ってんだよ、慧。佐奈を見てるのはお前じゃないか。カクカク腰振りながら、チンポこすってさ」
そう言うと、晶兄さんは佐奈ちゃんのスカートをめくり、その裾を佐奈ちゃんの口元へ近づける。
「佐奈、どうするかは分かるな?」
「は、はい……」
佐奈ちゃんはスカートを口にくわえる。晒された股間には、薄いピンク色のショーツが見える。その中央は、ふっくらと柔らかい隆起がある。
晶兄さんの指がショーツの端にかかり、クルクルと巻き取るように薄い布を下へずらしていく。
「ほーら、出てきた。慧、見てるか? これが見たかったんだろ……」
「はあ……っ、は……ッ! はあ……ッ! はあ……ッ!」
僕は息を荒くしながら、佐奈ちゃんの陰部に釘付けになる。
魚肉ソーセージを思わせる幼いペニスが、真上に向かって勃っている。それは呼吸に合わせてピクピクと震えている。
僕は無意識の内に、膝立ちのまま部屋の中へ入っている。まるで蛍光灯に引きつけられる蛾のように。
「おっと、それ以上は近づくなよ、慧」
兄さんが、僕の動きを言葉で制する。
「つーか、部屋に入るな。……お前、こんな可愛い弟を、そんなに病気にしたいのか?」
「で、でも……ッ! そんなコト言われても……、 こ、こんなの……こんなのってぇ……」
「だから、そこから見てるだけならいいぜ。お前はそこでオナニーしてろよ。佐奈のエロい姿をオカズにしてな」
大きな手が、持ち上げられたスカートの脇から進入し、佐奈ちゃんのおちんちんを摘む。添えられた親指と人差し指が、丁寧に肉のシャフトを上下にこする。
そうすると、佐奈ちゃんの体がイヤらしくくねり出す。
「ふ……、ふぐうぅ…………、う……ッ、うぅん……」
スカートをくわえているため、佐奈ちゃんは口が開けられない。鼻にかかるような興奮のうめきが、厚い布の隙間から漏れる。
ヒラヒラとレースが揺れる。伏せられた目からは涙が溢れ、雫が一筋、真っ赤に染まった頬を滑っていく。綺麗な髪は少しずつ乱れ、背後の兄さんの 顔にサラサラとかかる。
「はは、佐奈はいい匂いがするな……。とってもヤラしい匂いだよ……」
兄さんの指の動きがだんだんと速くなっていく。合わせて、佐奈ちゃんの震えも大きくなる。鼻息は荒く、ときどき喉の奥から絞るような声まで聞こえる。発作的に細い腰が跳ねる。
「佐奈ちゃ……、佐奈ちゃん…………、あ、うあぁ…………、あぁ……」
僕はそんな佐奈の痴態を見て、泣きながらオナニーしている。ペニスを握る右手を止めることも出来ず、左手は上着の下に潜り込んで勃起した乳首を転がしている。
(あぁ……僕も触りたい……。匂いを嗅ぎたい……。佐奈ちゃんを気持ち良くさせたい……ッ!)
発熱によって鋭敏になった神経が、快感を倍加させる。悶える佐奈ちゃんという最高の素材を前に、僕はあっという間に登り詰めていく。
「さ、さな…………さなちゃぁ…………、あッ! ああぁ……ッ! ああぁッ!」
僕は身を乗り出すようにして、佐奈ちゃんの股間を見つめる。舐めたい、口に含みたいという衝動をこらえて、せめてその姿を脳に焼き付けようと凝視する。
そして、ペニスをただひたすら乱暴にこする。
ダメだ、もう止められない。気持ちいい、僕、すごく気持ちいい……ッ!!
漏れた先走りがボタボタとこぼれ出す。
僕はあっという間に限界だった。ラストスパートをかけると、一気に頭の中が純白に染まる。
「ひゃあぁ……ッ! あッ! あぁッ! さ、佐奈ちゃんッ! 佐奈ちゃぁんッ!!」
ビュルウウウゥゥッ! ドビュウゥッ! ビュルウウゥッ! ビュッ! ビュルンッ! ビュッ! ビュウウゥッ!
泣きながら、僕は射精した。前屈みになっていたので、精液はまっすぐ前に飛び散り、白い飛沫は兄さんの部屋のカーペットに降り掛かった。
僕は全身を硬直させながら、ヒクヒクと体を震わせ、精子の残滓が尿道を這い上がる余韻に痺れる。
「あ……、はあぁ…………、あぁ……」
そして、僕は力の全てを使い切り前方にのめり込んだ。自分で出した精子が、顔に当たる。しかし、それを拭う気力さえ、僕には残されていなかった。
「うぅ……、佐奈ぁ…………さ、佐奈ちゃぁん…………、ああぁ…………、うああぁ…………」
涙が止まらなかった。高すぎる絶頂がひいてくると、後には悲しみだけが残った。
僕は床に伏せながらすすり泣く。涙がカーペットに落ち、精子とは別の染みが出来ていく。
「ありゃ……、さすがに虐めすぎたか?」
兄さんはそう言うと、佐奈ちゃんから手を離す。
「あっ……、あき兄ちゃん…………」
「どうする、佐奈? インフルエンザうつされちゃうかもしれないけど、いいか……?」
佐奈ちゃんは迷い無くコクンとうなずく。
「本当にいい子だな、お前は……。じゃあ、これからすることも分かるな?」
「……はい」
佐奈ちゃんは兄さんの膝から降りて、僕に近づく。そして、床にぺたんとお尻をつき、股間を広げる。
両手で、恥ずかしそうにスカートを持ち上げる。
「慧兄ちゃん……」
「さ、佐奈ちゃ……ん」
「お願い……、あたしの、もう少しで出ちゃうんです……。どうか、ペロペロって……してください……」
佐奈ちゃんの手にギュッと力が入り、スカートのシワが深くなる。
「で、でもさ……。僕、佐奈ちゃんに風邪をうつしちゃうよぉ……。早く、部屋に帰らないと……」
「いいの、お兄ちゃん。あたしにうつして……。そして、早くよくなって……」
「……そ、そんなぁ」
「お願いぃッ! 舐めてくださいッ! もう切ないのぉッ! お兄ちゃんにクチュクチュしてほしくって、震えちゃってるのぉッ! だから、舐めて……、舐めてえぇッ!」
佐奈ちゃんの言葉に嘘はない。それは必死の懇願だった。
僕は肘を使って前に進み、佐奈ちゃんのスカートに頭を入れていく。そして、さっきからずっと欲していた勃起肉に唇を寄せる。
灼熱の肉棒にを口に含む。
「ひゃぐぅッ!」
舌が亀頭に触れた瞬間、佐奈ちゃんはビクッと痙攣し、肩をすくませる。
(おいしい……。佐奈ちゃんの溢れてくるトロトロ……とってもおいしい……)
僕は鈴口から湧き出す先走りを味わう。舌の上にのせ、唾液と混ぜて口の中に広げる。そうすると、頭の中まで全部甘くなるような錯覚に陥る。
僕は余り気味の包皮に舌をザラザラと絡ませながら、佐奈ちゃんのペニスをストローに見立てて吸いまくる。ドンドンあふれ出す濃厚なシロップに、僕は酔いしれていく。
「ひゃうぅッ! うッ! うぐぅッ! うあぁ……、あ……ッ! ああぁッ!」
もともと射精寸前にまで追い込まれていた佐奈ちゃんは、僕の乱暴なフェラチオであっという間に限界に追い込まれていく。足がピンと伸びきり、指先が丸まっていく。
僕も、早く佐奈ちゃんの精液が飲みたくってしかたがない。矢も盾もたまらず頭を上下に動かし、柔らかい唇で欠陥の浮き出た勃起をこすっていく。
僕の口内粘膜から染み出す唾液は大量で、ブジュブジュというイヤらしい粘着音が兄さんの部屋に響き渡る。すすり上げれば、音は一層高くなる。
「ひッ! だ、ダメぇッ! 出ちゃうぅ……ッ! ビューッって……、ビューッってしちゃうぅッ! け、慧にい……ッ! 慧兄ちゃあぁんッ!」
限界を告げる弟の嬌声。僕はトドメとばかりにおちんちんを喉に押し込める。そして、口内の全てをつかって、佐奈ちゃんの可愛い逸物を絞り上げる。
「ひゃ、ひあああぁぁっ……ッッ!!」
ドビュウウウゥゥッ! ビュルウウゥッ! ビュルンッ! ビュウゥッ! ビュッ! ビュッ! ドビュルウウゥッ!
甘露とも思える濃厚なカウパーが口内に広がった直後、大量の精液が僕の喉を撃った。
「ふぶッ! ふ……、うぐッ!」
僕は一瞬むせこんでしまう。それはとにかく熱く、そして膨大な奔流だった。
(く、苦し……ッ!)
それでも、僕は佐奈ちゃんの第一撃をどうにか嚥下した。飲みきれない分は頬の裏に溜まり、佐奈ちゃんの味が僕の官能を支配した。
第二撃、三撃が次々と僕に注がれた。痛みさえ伴う勢いで打ち込まれる精液が、僕の意志を溶かしていく。
「け、けい、にい……ちゃん。あ、あぁ…………」
佐奈ちゃんは全身を硬直させながらも、腰を震わせてすすり泣いている。溜まったモノ全てを吐き出すように、延々と長い射精を続ける。
僕はついに白濁液を全ては飲み込めなくなり、佐奈ちゃんのモノから口を離す。コプンと開いた口から精液が溢れる。そして、佐奈ちゃんの射精はまだ終わっていない。
熱い飛沫を顔に受ける。
「……やっぱ、すごいな。佐奈も、慧も、すっごくヤラしいよ」
兄さんがベッドから立ち上がり、僕に近づく。
床に額を押しつけながら、コホコホとむせる僕に、晶兄さんはそっと手を伸ばす。そして、僕の脇をつかんで、体を引き起こす。
「あ……」
いつのまにか、兄さんの優しい微笑みが十センチまで近づいている。
さらに距離は縮まる。
僕は、晶兄さんに口を吸われる。
「ん……、ふは…………、に、にいさ……」
「俺にも分けてよ……。佐奈の出したお薬……」
グチュ……、ズウゥッ、ジュッ……、ジュジュウウウゥゥッ……。
兄さんは僕の舌ごと口の中を吸い、佐奈ちゃんの出した精液を飲み込んでいく。
お互いの唾液と混じり合ったそれは、まるでシロップたっぷりのジュースみたいになる。溢れた泡沫が口の端で弾ける。
ドロドロになった兄さんの口の中が、とても柔らかくて、暖かい。僕の魂まで溶けてしまいそうだ。
僕は上手く力の入らない腕を、どうにか兄さんの首に回す。お互いの密着を強め、舌を兄さんの中に差し込む。
歯茎を舐めると、口の天井を舐められる。唾液を受け渡せば、頬の裏まで強く吸われる。
「ふ……、ふぐぅ……」
僕はもう、何も考えられないほど気持ちいい。キスって、本当にもう一つのセックスだ……。
「お兄ちゃんたち……、やっぱすごい……」
床にへたりこんでいる佐奈が、羨ましそうに僕達を見ている。自然とその指は口に伸び、自分の舌をもてあそんでいる。この子も、充分にイヤらしい。
窒息寸前の長い口づけが終わる。僕はもう少しの力も入れることが出来ず、体を兄さんに預ける。
ポフンと顔を胸に埋めると、兄さんが優しく髪を撫でる。
「ゴメンな……、あんなコトしちゃって。なんか悔しくなっちゃってさ……、悪かった」
「悔しくてって……?」
「いいんだ。それよりさ、ホラ……」
そう言うと兄さんは僕の体を持ち上げて、ブンと振り回す。
「う、うわ……ッ?!」
遠心力で浮いた体は空中で半周し、僕はベッドの上に落とされる。
スプリングで肢体が弾む。
僕はそこから体を動かせない。熱のせいかキスのせいかもよく分からないけど、もう頭がボーッとして、考えが上手くまとまらない。
顔は精液や唾液で汚れ、雫はパジャマにも垂れている。下半身は丸出しで、恥ずかしく持ち上がったおちんちんが、吐き出した精液で濡れている。
僕、なにしてるんだろう……?
「こういう時って、汗かけば直るよなんて、エッチなマンガでは言うけどな。佐奈、お前はこんなお兄ちゃんをどうしたい?」
「…………えっとぉ」
佐奈ちゃんはウットリと目を細め、床から立ち上がる。
「キス、したい……」
「そっか、じゃあしちゃえよ。最高の魔法のお薬を、口移しであげちゃいな」
兄さんが佐奈ちゃんの背中をポンと押す。促された可愛い弟は僕にゆっくりと近づいてくる。
「慧兄ちゃん……、大好きだよぉ」
佐奈の柔らかい唇が、僕に触れる。
僕も、観念して目を閉じる。
流れてくる暖かい息吹に、僕は癒されていく。
(中編へ続きます)
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