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「結婚だと?」
 次の日、俺が薫を迎えに行くと『ぼくね、けっこんって言うのするんだって』
なんて言い出しやがった。とうの薫本人は良く理解していないようだ。
「あのね、だからもう遊びにいっちゃいけないってお母さまが」
 どう言う事だ?薫が結婚だと?
「薫、ちょっと来い」
「あ、いたいよお兄ちゃん」
 薫を門の前まで引っ張って行く。気持ちを落ち付かせて呼び鈴を押す。
『はい、どちら様でしょう』
 インターホンから声が聞こえてくる。丁度良い、美津子さんだ。
「おばさん、俺です。智也です」
『・・・・・・智也君』
「話しがあります。入れてください」
『・・・・・・・・・・・・』
「美津子さん!!」
 薫が俺の事を不安そうに見つめている。落ち付け。
『・・・・・・わかりました』
 インターホンの切れる音。しばらくして美津子さんが出てくる。
「こちらへ。薫さん、あなたは自分の部屋にいなさい」
 頼り無さげに俺と美津子さんに視線を泳がせる薫。俺が一度頷くと諦めたよう
に自分の部屋に入って行った。
 広めの和室に通される。おかしい。これだけ広い屋敷なのに人が少な過ぎる。
「智也君。貴方が薫の一番のお友達なのはよくわかっています。ですがもう、
薫と、私達と関わり合いにならないでいただきたいのです」
「・・・どう言うことですか。それに結婚って」
「言葉の通り、薫は近々さる家元の殿方と婚約いたします」
 殿方って事は男か。・・・そういう事かよ。
「それで・・・それでアイツを女にしたってのか!?」
 語気が荒くなる。落ち付け。
「薫の幸せの為です」
「幸せ・・・だと?」
「比良坂流は弱っています。それに薫に家元となる器はありません。それならば
せめてこの比良坂流と心中するよりも他の家元の殿方と暮らした方が薫の幸せと
いうもの・・・」
「何?」
 何かが引っ掛かる。
「相手の方も大層薫を気に入っておいででした。ここに残るよりは幸せです」
「・・・・・・政略結婚って事か」
 人の居ない屋敷。薫の事。結婚・・・。パズルのピースがはまるように唐突に
俺は理解した。
「・・・・・・」
「美津子さん・・・あんたこの家の為に薫を売ったな?」
 内臓が落ち込む感覚。手は強く握り過ぎて感覚が無い。どうせ男の頃から中性
的な容姿だった薫を変態野郎が気に入ったって所だろう。比良坂流は美津子さん
が言うように弱っているとしても大きな流派だ。薫を女にして戸籍をいじって
結婚が出来るようにする事くらい可能だろう。
「他の家元に嫁がせて時間を稼いで、それで新しい家元でも立てるつもりだった
んだろ!?ふざけんな!!」
 力のある流派なら潰れかけた流派を延命させる事くらいできるだろう。名誉か
見栄か世間体の為か嫁の流派が潰れそうならばそれくらいの事はするだろう。だ
からって、薫をそんな変態野郎に渡せるか。
「お兄ちゃん」
 俺の怒鳴り声が聞こえたのだろう。怯えたように薫が襖から顔を覗かせている。
「美津子さん、あんたの都合で薫を好き勝手になんてさせないからな」
 立ち上がると襖を開け怯えている薫の腕を掴む。
「無駄です。もう貴方ではどうしようもありません」
 落ち着き払った声。感情なんて篭もってやしねえ。
「行くぞ薫。こんな家に居る事なんてない」
 薫を連れて部屋を出る。俺が怒っている事に対して不安がっているようだが
状況までは理解できていないようだ。
「薫の幸せのためなのです」
 部屋を出た俺の背中に声が投げつけられる。胃がムカつく。
「そんな幸せ・・・クソくらえだ」
 吐き出すようにそう言うと薫を連れて屋敷を後にした。

「ボク一人でおとまりなんてはじめて」
 結局、あの後俺の家以外薫を連れて行ける場所はなかった。しばらく状況の
変化に不安を感じていたのかぐずっていたが俺の家についた途端に機嫌が良くなった。
「まあゆっくりしろ」
「うん」
 キャッキャッとベットの上で跳ねる。ずっと比良坂の家に閉じ込められるように
暮していたから珍しいんだろう。
「薫、ちょっと静にしてろよ」
「うん」
 嬉しそうな顔でベットの上をゴロゴロと転がる。何が楽しいんだろう。
バイト先に電話をかける。今日のバイトは風邪を引いたと言う事で休ませてもらった。
「薫、腹減ってないか?」
「ん〜、ちょっとだけ」
 時計を見る。4時か・・・。
「買い物行くか。一緒に来るか?」
「うん。いくー」
 薫がベットの上から飛び付いてくる。一人ならインスタントで済ませる所だが
流石にそういう訳にもいかないか。
 二人で家を出る。薫が俺の腕にぶら下がるように組み付いてくる。
「重てえな」
「えへへへ」
 すりすりと頬をよせてくる。自分が女になってるって自覚がないのか。まいっ
ちまうよな。
 ポケットから鍵を取り出してドアに鍵をかける。鈴がチリンと鳴る。
「あ、お兄ちゃんすずつけててくれたんだ」
「ん?ああ、まあな」
 そう言えばこの鈴は薫に貰ったんだっけ。
「うれしいな」
 全開の笑顔。その顔をみた途端心臓がドクンッと跳ねる。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「な、なんでもない」
 まだバクバクと音を出している。どうしちまったんだ俺。

「なんだ、もう食わないのか?」
「うん、もうおなかいっぱい」
 俺はあまり料理が得意じゃない。唯一まともに作れるカレーを作った。もちろ
ん甘口だ。
「半分も食ってないじゃないか。まずかったか?」
「ううん、おいしかったよ」
 すでにテーブルから離れてベットに腰掛けて足をぶらぶらとしている。まあ、
こいつはお世辞や嘘を言うやつじゃないから味の方は大丈夫だったんだろう。
それにしても食が細いな。
「なあ、薫。お前4年間何してたんだ?」
 食器を流しに漬けて部屋に戻るとこれまで聞けなかった事を思い切って尋ねてみる。
「んー、よくおぼえてない
 首を傾げて必死に思い出しているようだ。おかしいな。薫は記憶力は俺なんか
より全然良かったはずだ。
「何も覚えてないのか?」
「う〜んと、なんどもおちゅうしゃされてねむくなっていつのまにかオッパイが
あってオチンチンがなくなってた」
「・・・・・・・・・」
 おそらく数回にわたって麻酔をされて手術をされたのだろう。・・・なんて事を。
「おくすりもおいしゃさんがいいって言うまでたくさんのんだよ」
 薬・・・。ホルモンを調節する薬だろうか。ホルモン注射なら聞いた事はあるけど。
「おかぜひいたみたいに体がダルくってぜんぜん遊べなかった。お兄ちゃんも居な
いからつまんかった」
 ぷぅっと膨れっ面になる。
「でもおかあさまががまんすれば元気になるって。お兄ちゃんともっと遊べると
おもってがまんしたんだ」
 胸が苦しくなる。薫は4年間勝手に身体をいじられて薬付けにされて人生を親の
都合で捻じ曲げられたんだ。涙が溢れた。
「わっ」
「・・・薫」
 気がついたら俺は薫を抱きしめていた。
「お兄ちゃん、くるしいよ」
「薫・・・薫」
「お兄ちゃん泣いてるの?どっかいたいの?」
 薫が懸命に俺の背中をさする。たまらない愛おしさが込み上げてくる。
「ねえお兄ちゃん、だいじょうぶ?」
「薫・・・俺はお前が好きだ」
 今わかった。俺は薫の事が好きだ。男とか女とか関係無い。俺はこいつを守って
やりたい。薫が愛しくてしょうがない。
「ボクもお兄ちゃんの事大好きだよ」
 無邪気にそう言ってさする動きを止めてしっかりと抱き付いてくる。薫は俺の
・・・・・・・・・天使だ。
「薫・・・」
「ん」
 そっと口付ける。最初は戸惑っていたようだがしばらくして目を閉じて身体を
預けてくる。
「薫・・・・・・好きだ」
 ダメだ。止まらない。
「んん・・・お兄ちゃん?」
 唇を離して首筋にそってキスの雨を降らせる。
「くすぐったいよ」
 鎖骨に舌を這わせ、少しきつめに吸い付く。
「ん・・・なんかきもちいい」
 帯を解いて着物の前をはだけさせる。・・・やられた。さわるだけで傷付いて
しまいそうな白い肌。小ぶりだがハッキリと自己主張している胸。目に映る薫の
身体全てが俺の理性を打ちのめす。
 薫がきょとんとした顔で俺を見つめている。薫を抱きたい。だが、同時に今の
薫を抱く事に罪悪感を感じている。
「薫・・・・・・俺・・・」
「やめちゃうの?」
 少し潤んだ瞳で甘えるような声でそうつぶやく。俺はこれで完全にノックアウト
された。
「薫っ!!」
「あっ」
 薫をベットに押し倒して胸に手をはわす。まだ少し芯が残るような硬さの乳房
を優しく揉み解すように刺激していく。
「薫・・・綺麗だ」
「んん・・・お兄ちゃんなんか・・・へんなかんじ」
 自分の身体に生まれる慣れない感覚に戸惑っているようだ。不安そうに俺を
見上げている。
「大丈夫。ちゃんと気持ち良くしてやるから」
「んむぅ」
 落ち付かせるようにキスをする。胸の先で自己主張するように固くなっている
乳首を指先で転がすと薫の身体がピクっと跳ねる。そのまま顎、首、胸へと舌で
刺激していく。唾液の跡が薫の白い肌の上でテラテラと光り妙に艶かしい。
「ふあぁっ!」
 乳首を口に含み歯で甘噛みすると薫の背が海老反りになり胸を俺に押し付ける
形になる。身体を支えてやりながら乳首の片方を手で、もう片方を舌先でコロコロ
と転がす。
「あぁんっ!ふぁ・・・お兄ちゃんボクへんになっちゃうよぉ・・・・・・」
 薫が切なげに喘ぐ。そんな表情をされると俺の方が変になっちまいそうだ。
「薫。大丈夫だから。恐がらなくていい」
「んん・・・・・・なんかビリビリって・・・うぅん」
 お腹からヘソまで舌先でチロチロとなぶる。あまり強過ぎる刺激を与えるのも
可哀想かな・・・。そんな事を考えていた。
「お兄ちゃん・・・なんかへんだよぉ・・・・・・頭がぼーっとするよぉ」
 はあはあと荒い息をついている。薫を滅茶苦茶にしたい・・・そんな衝動が湧
き上がってくるの必死に押さえる。薫はホントに俺を狂わせてくれる。
「薫・・・腰上げて」
「・・・うん」
 ショーツを脱がせやすいように腰を上げさせる。薫のそこは薄いヘアに覆われて
ピッタリと固く閉じていた。そのスジを舌で舐め上げる。
「あっ!・・・お兄ちゃん・・・そこはきたないよぉ」
「薫に汚い所なんてないよ」
 舌全体で刺激する。しばらくそうしていると唾液とは違うヌルっとした蜜が染み
出てくる。かまわず舐め続け薫の愛液を嚥下する。
「はぁ・・・あ・・・きもちいいよぉ」
 ぴちゃぴちゃと執拗に攻め続ける。ぴったりと閉じていた秘唇がぴくぴくとわな
なき口を開いている。・・・・・・そろそろ俺も限界だ。
「薫、少し痛いかもしれないけど我慢できるか?」
「うん・・・いいよ。お兄ちゃんとひとつになりたい」
 セックスの知識がないはずの薫がこれからする事を理解っているかのようにそう
言うと微笑んで頷く。今ので最後の”たが“が外れた。
 薫の奥から溢れ出ている蜜を指ですくうと既にギンギンに反り返っている自分
のものに塗り付け薫の秘唇にあてがう。
「あっ・・・お兄ちゃんのオチンチン熱い・・・」
「いくぞ。力抜いて、痛かったらちゃんと言えよ」
 ゆっくりと。本当はすぐにでも奥まで突き入れたい気持ちを押さえ付けゆっくり
と腰を進めていく。
「うあっ・・・・・・んんん・・・」
「くっ・・・すっげー締め付け」
 半分まで埋め込んだ状態で一度止まる。出血は無いみたいだ。やっぱ途中で女に
なった場合処女膜は無いのかな・・・。俺は意外と冷静にそんな事を考えていた。
「はぁ・・・んん・・・・・・くぅん」
「薫、ごめんな。痛いよな」
 薫の目じりで揺れている涙を舌で舐め取り頭を撫でてやる。処女膜なんて無くって
もこれだけの狭さだ。それに初めて異物を受け入れようとしているんだから痛い
んだろうな。半分まで咥え込んだ俺のものをきゅうきゅうと締め付けて押し出そう
としてくる。深く息を吐くとぐっと一気に腰を進めた。
「あああああっ!うあぁんっ!ふぁ・・・」
「うくっ・・・・・・は、入ったぞ」
 根元まで完全に埋まっている。しばらくそのままで薫の頭を撫で続けるがその間
にもキツく締め付けられて今にも射精してしまいそうになるのを息を止めて堪える。
「はっ・・・はっ・・・お、お兄ちゃんのがなかでびくんびくんはねてるよぉ・・・」
「動くぞ」
 ゆっくりと引き抜いて再びゆっくりと挿入する。自慰の時にはしないじれったい
動き。だがだんだんと自分が高まっていくのがわかる。
「ん・・・あん・・・ああ・・・はぁん」
 腰を動かす度にイヤらしい音が響く。少しつづ動きを早くしていく。
「ふぁ!?あっあっああっ!き、きもちいいよぉ・・・」
「くぅ・・・」
 腰の後が痺れる。ぐぅっと熱い固まりがせり上がってくる。最後とばかりに獣の
ように薫に腰を叩き付ける。
「薫っ!薫ぅ!」
「あっああっああっうあっ!あああーーーーーーー!」
 どくっ、どくっ、と大量の精液が薫の子宮を叩く。全てを吐き出すと脱力して
薫の横に倒れた。

 ベットの中。薫を抱きしめて横になっている。俺はある決心をしていた。
「なあ薫。俺と一緒に暮らさないか」
「お兄ちゃんと?」
 どこか美津子さんの目の届かない所へ行こう。美奈にも全部話そう。怒られる
だろうな。いや、それだけじゃ済まないだろう・・・自分勝手な男でごめんな、美奈。
「ダメか?」
「んー。いいよ」
 少しだけ考えてからニコっと笑って頷く。その顔にキスをして強く抱きしめる。
これからは薫と生きていこう。俺もしっかりしなきゃな・・・。
 その日俺達は同じ布団で眠った。睡眠薬もいらなかった。これからの事を考える
と確かに大変だが俺の心は満たされていた。

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