6
「辰実ちゃ〜ん。上がったわよ〜」
「おう」
桜子が風呂から出てくる。
「って服を着ろ服を!!」
慌てて顔をそむける。桜子のやつ。なんでショーツ一枚で出てくるんだよ。
胸は首からかけたタオルで辛うじて先端だけが隠れている状態だ。むぅ、でかい。
「いいじゃない。女の子同士なんだし」
「俺は中身男なんだって!」
「あん、照れちゃって。可愛いんだから」
「あのなぁ・・・」
ぼりぼりと頭をかく。しょうがない、とりあえず俺も風呂に入ろう。酒臭く
てたまらん。
「もういいや。俺も風呂に入るから覗くなよ」
「えー、ケチ〜」
「覗く気だったのかよ・・・」
あ、頭が痛い。
「いいから服着ろ。バカ」
脱衣所の扉を閉める。・・・念の為鍵をかけておくか。そう言えば男の時は
風呂の鍵なんて閉めた事なかったなぁ。
「さて、和久達が帰ってくるまでに洗っちゃうか」
和久とノリは飯の買出しに出かけていた。あれから2時間ほど全員腐ってい
たが、空腹には勝てず2人は買い物にでかけた。その間に俺と桜子は風呂に入
る。と言う事になっていた。
「ふぅ・・・あれ?」
服を脱いでふと身体を見てみると所々赤くなっている。
「あれぇ〜?酒が悪かったかな?」
赤くなった場所をさする。アレルギーなんて無いはずなんだけどな。
「ま、いっか」
少しごわつくショーツを脱ぐ。おもらしじゃないよな・・・。最後にみつあ
みを解き風呂場に入る。
「あ〜、気持ちいい」
シャワーが全身を打つ感覚が心地良い。これも男の時とはちょっと違う。男
の時でも確かに爽快感はあった。だけど今の身体が感じる感覚は少し違う。
「う〜、頭がまだ痛い」
結局、和久と桜子は昨日の夜何があったのか教えてくれなかった。和久は疲
れたように笑うと『覚えてないならもうええねん』と言って桜子は意味ありげ
に含み笑いをするだけだった。
「それにしても酔ってたとは言え和久に抱き付いてしまうとは」
・・・何か他にもあったような気がする。必死に思い出してみる。
和久に抱き付いたのは・・・うん、まぁおぼろげに覚えてる気がする。その後・・・。
「う、うそ・・・」
顔が真っ赤になる。断片的にだけど思い出した。いや、思い出してしまった。
「わー!嘘だ!」
その場にへたり込む。シャワーが音を立て続けている。
「お、俺。和久にキスしちゃった・・・」
声に出してさらに顔が真っ赤に燃え上がった。
「酔ってたとはいえ・・・不覚」
うぅ、自己嫌悪だ。それにしても桜子のやつ。ここぞとばかりに人に色々し
てくれたな。
「この赤いの・・・桜子のキスマークかよ」
胸にある赤い痕に指を伸ばす。そのまま無意識にさすっていた。
「ん・・・」
それだけの事でぞくっと背筋が震えた。
「ふ・・・あん」
ゆっくりと手に力が入る。我慢できない・・・。
「あっ!あぅ・・・んん」
止めなきゃ。と思っても手が止まらない。
「ダメ・・・気持ち・・・・・・いい」
胸の先端が固く尖っている。そこを少し強めに摘んでみる。
「んあっ!はぁん・・・も、もっとぉ」
理性が崩れて行くのがわかる。それでも桜子に気付かれないように必
死に声
を殺す。
(もっと・・・気持ち良くなりたい)
右手が股間に伸びる。ゆっくりと優しく触る。
(濡れてる)
意識して初めて触るそこは男のものとはまったく違っていた。
「あくっ!・・・はぁん」
肉の割れ目に指が潜り込んで行く。男の時の自慰行為とは全く違った快感が
下半身から駆け上ってくる。
「あああっ!くぅ・・・ん」
ゆっくりと掻き混ぜる。全身から力が抜けていく・・・。
「ダメ・・・ダメぇ」
胸を揉みしだく左腕でブレスレットがチャラチャラと音を立てる。
「はぁはぁ・・・あぅっ!」
割れ目の上の方に付いている突起をゆるゆるといじる。今まで以上の快感が
背骨に走る。
(これが・・・クリトリス・・・)
自分の身体に慣れてきたのか指の動きがエスカレートしていく。頭が霞みが
かったようにぼやけて一つの事しか考えられない。
(もっと・・・もっとぉ・・・!)
突起を少し強めに押してみる。
「うあっ!?はあぁぁん!んんん・・・くぅ」
男の時の刹那的な快楽とはまったく違う全身をゆっくりと蹂躙されるような
快楽。胸の奥が切なくなる。
クチュッ、クチュ、チュク・・・。
粘着質の高い水音が聞こえる。それだけで自分が高まって行く。
足に力が入り、身体の奥から液体が噴出する。頭が真っ白に・・・なる・・・。
「んあっ!ダメっ!い、イクッ・・・!!」
頭の中で火花が跳ね回る。全身がつっぱる。最後の理性で大声を上げそうに
なるのを何とか我慢した。
「は・・・・・・あぁ・・・ん」
ついに身体を支える力も抜けてグッタリと倒れ込む。
「はぁ・・・はぁ・・・」
力がまったく入らない。身体が熱い。
「はぁ・・・はぁ・・・。俺、いっちゃったんだ・・・」
倒れた身体にシャワーが当たり続ける。それさえも火照った身体にぴりぴり
と刺激が走る。
(ついに・・・この身体でオナニーしちゃった)
ちょっと涙がでた。何となく越えちゃ行けない一線を超えたきがした。
(気持ち良かったな)
頭がボーっとする。こんなに余韻が残るなんて思わなかった。
『辰実ちゃ〜ん、そろそろ和久達帰ってくるわよ〜』
「うわわっ!す、すぐ出るから!」
桜子の声に飛び起きる。危ない、バレてない。
「あ・・・・・・」
股が大量のぬるぬるで濡れていた。
「・・・身体洗おう」
「たっだいま〜」
「買ってきたで」
和久とノリがコンビニの袋を抱えて帰ってきた。
「お帰り〜。ちゃんと買ってきた?」
「・・・・・・」
昨日の事を思い出してから何となく和久の顔を見るのが気まずい。
「辰実、どないしたんや?」
「ん?あ、え〜っと・・・」
イキナリ話しかけないでくれぇ。うあぁ、顔が真っ赤になる。
「和久、ちょっと」
「何や何や?」
座りかけていた和久を捕まえて台所まで連れて行く。
「あ、あのな和久。昨日は何て言うかその・・・すまん」
「何や。思い出してもうたんか」
和久がぽりぽりと頭をかく。
「酒に酔ってたとは言え・・・お前にその。き、キスなんて」
うぅ、顔から火が出る。
「まぁ、気にすんな。無理やり酒飲ませた俺等も悪かったんや。それにしても
まさか辰実が酔っ払うとあんなんなるとは思わんかったで」
そう言うと和久は俺の頭を撫でた。何となく気持ち良くて目を細めてしまう。
「和久・・・お前最近やたら頭撫でてくるな」
「ん?あぁ。なんか丁度ええ位置に頭があるもんやさかいついな」
和久が俺の頭から手を離して手の平をじっと見る。
「いややったか?」
「そ、そんな事無い・・・けどさ」
絶対顔が燃えてるよ、これ。なんで俺こんなに照れてるんだ?
「そらえかった」
和久はニッコリ笑うと再びぐりぐりと頭を撫でる。
「ん・・・」
何か落ち付くんだよな。
「かぁ〜ずぅ〜ひぃ〜さぁ〜」
「熱いなお前等」
「の、ノリ!?桜子!?」
「なんで覗いとんねんお前等?」
ノリと桜子が扉の隙間からじーっと覗いていた。慌てて和久から離れる。
「ちょっと和久!抜け駆けは許さないわよ!」
「見てるこっちが恥ずかしくなるぞ。お前等」
「ばっ、違う!そんなんじゃない〜!」
「・・・何の話や?」
幸い和久はまったく解かってないようだけど・・・。まいったなぁ。
「さてと、お腹減った〜」
桜子がサンドイッチに噛り付く。
「これからどないする?」
和久もホットドックをぱくついている。
「もう今日はどっか行くのダルイな」
「じゃ、このまま俺の家でダラダラしとくのか?」
なんかそれは凄いダメな気がする。
「そんなのもったいないわよ。ねぇ、海に行く計画立てない?」
「海か、ええな」
海か、いいな。最近暑かったもんな。・・・あ。
「海は、ちょっとやばい」
「何で?」
ノリの頭の上に『?』マークが浮かぶ。
「だって俺、水着持ってない」
そう。俺は女物の水着なんて持ってない。さすがに古条先生と買い物に行った
時もいるとは思わなくて買わなかったし。
「そうねぇ・・・。それじゃ今日は計画立てるだけにして明日私と水着見に行きましょ」
「えぇ〜」
海には行きたい。でもなぁ・・・。
「女物の水着を着るのは流石に抵抗があると言うかなんと言うか・・・」
「別に気にしなくて良いじゃん。俺辰実の水着姿見たいし」
「ノリ・・・」
殴ろうかこいつ?
「はい決定〜。明日行くわよ」
「はぁ〜。ま、しょうがないか。海行きたいし」
「せやせや。海に行って泳がんのは勿体無いで」
う〜ん、水着か・・・。何か下着より恥ずかしい気がする。
次の日、俺は水着を買いに着たわけだが。
「なんでお前等までついてくんの?」
「いや、ヒマやし」
「辰実の水着見たいし・・・ぐふぅ!」
ノリはとりあえず殴っておく。
「いいじゃない別に。買い物は大勢の方が楽しいわよ」
桜子が迎えに来たので出てみれば和久とノリもおまけで付いて来ていた。
と、言う訳だ。
「まぁ本当は・・・辰実ちゃんと二人っきりで買い物したかったんだけどね」
うふふっと桜子が笑う。うあぁ、寒気が。
「や、やっぱり正解。和久、ノリ、良くやった」
「さて、このお店でいいわね」
「俺らはとなりの店で男物の服みてくるわ」
「だな。流石に男がこういう店に入るのは厳しい」
そう言うと二人はさっさと行ってしまった。
「に、逃げられた」
「ほら、行くわよ辰実ちゃん」
「あうぅ」
ずるずると引きずられるように店に入っていった。
駅ビルの一角の専門店。矢張り夏のため展示してある服も水着の比重が多い
みたいだ。
「いらっしゃいませ」
「さて、どれが辰実ちゃんに似合うかしらね〜」
「なんだよ、桜子が選ぶのか?」
「そうよ。だって辰実ちゃんに選ばせたらど〜せ色気のない水着にしちゃうんでしょ」
「普通のでいいんだけど」
「いいからいいから」
あんまりよくない。
「え〜っと、そうね〜」
桜子がどんどん展示してある水着を品定めしていく。正直俺はどんな水着を
買えばいいのか見当がつかないから桜子に任せたほうが良いのかもしれない、
なんて考えていた。
「今年の流行はっと・・・あ、これなんてどう?」
「こ、これ?」
前言撤回。ものすごい面積の小さいビキニを差し出してきやがった。
「パス。もちっと露出度の低いのお願い」
「んもう、ワガママね」
何か納得いかん。
それから桜子の選ぶきわどい水着をバッサリ断り続けてスポーツタイプのビ
キニを買う事に落ち付いた。まぁ、桜子は不満だったみたいだけど・・・。
「さて、家に帰ってさっそく着てみましょう」
「え、別に当日でいいじゃん」
「ダメよ。似合わなかったらどうするの?」
桜子の顔がヤケに嬉しそうだ。
「そうそう。俺らも評価してやるから」
こいつら見たいだけだろ。
「もうこんな時間か。悪い、俺用事があるから帰るわ」
「あら?ヒマなんじゃなかったの?」
「少し時間があったからついてきたんや」
和久が申し訳なさそうな顔をする。
「用事ってなんかあんのか?」
「ちょっとオカンの手伝いせなあかんのや。じゃ、またな」
そこまで言うと和久は走って行ってしまった。
「あ、ちょっと和久って」
まいった。和久抜きと言うのはちょっと身の危険を感じるぞ。
「何にせよ暑いから辰実ん家で涼もうぜ」
確かに。さっきから汗が止まらないくらい暑い。
「しょうがない。金も無いし帰るか」
ま、用事ならしかたないか。
「さてと」
脱衣所で水着をつけてみる。
「う〜ん」
男の時はだぼだぼのトランクスタイプの水着しかつけたこと無いからこのフィット
感と言うか密着感と言うかとにかく落ち付かない。
「胸は苦しいな」
若干の圧迫感。まあ、ゆるゆるでも困るんだけどさ。
「うあ・・・これは」
鏡を見てみる。下着の時よりエッチな気がする・・・。
『辰実ちゃ〜ん。まだ〜』
『早く出てこ〜い』
うぅ、人の気も知らんと好き勝手言って。
『ピルルルルルル ピルルルルルル』
この音は俺の携帯だ。メールかな?
(しょうがない、覚悟を決めて出るか)
脱衣所から出る。ノリはぽかーんと口を開けて固まっている。桜子の顔はやけ
に嬉しそうだ。
「ど、どうだ?」
「うぉ、これはすごい」
「辰実ちゃん似合う・・・すごくいい」
顔が赤くなるのがわかる。くそ、最近こんなんばっかり。
「あんまりじろじろ見るなよ」
キャアキャアと騒ぐ二人は無視して携帯を取る。やっぱりメールだ。
「どれどれ」
携帯を操作してメールを開く。
『やあ辰実、元気にしてるか?俺達は元気だ。
最近お前がさっぱり連絡をよこさないからこっちから行く事にした。
今から行くから覚悟して待ってろよ。
父&母&姉』
ふーん、親父達が来るのか・・・・・・・・・・・・。
「どうしたの辰実ちゃん。携帯握り締めて固まっちゃって」
「誰からだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・うそん。
「辰実ちゃん?」
「おい、辰実?」
「ど、どどどどど、どうしよう!オヤジ達が来る!!」
『え”』
二人の声がかさなる。いや、そんな事はどうでもいい。やばいやばいやばい。
「やばいやばい!二人共助けてくれ〜!」
この身体になった事知らせてない!って言うか知られたら(主に姉さんに)
何て言われるか!
「まさか女の子になっちゃったの伝えてないの?」
「伝えてない!って言うか言えるわけない!頼む、何とかしてくれ〜!」
もう必死だ。あの家族にこの事がわかったらどうなるか想像もしたくない。
「ノリ。私達お邪魔みたいだから帰りましょうか」
「そ、そうだな」
そう言うと二人は早足に出て行く。
「ちょっと待って!一人にしないで〜!!」
「じゃあね辰実ちゃん。ご両親と仲良くね〜」
「許せ辰実。俺らじゃ無理」
逃げるように行ってしまった。
「わ〜〜〜!薄情者〜〜〜〜〜!!」
(どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう)
一人部屋の中をうろつく。パニックになってしまって考えがまとまらない。
「落ち付け俺・・・」
深呼吸。まだ混乱してるけど少しだけましになったかな。
「と、とりあえず着替えよう」
水着のままだったのを思い出して服に着替える。
「やばい。何がやばいって姉さんがやばい」
姉さんとの想い出が蘇る。うあぁ、イジメられた想い出しか出てこない。
「そうだ、島崎先生に相談しよう!」
思い付いたらすぐ行動。携帯のメモリーから以前女になったときに聞いてお
いた番号を呼び出す。
『プルルルル・・・』
(頼む〜。出てくれ〜)
『はいもしもし』
「島崎先生!?助けて〜〜〜」
『佐伯か?いったいどうしたんだ急に』「『親が、親が来るんです!」
『何?ご両親が?』
「はい。それで俺・・・まだこの身体の事言ってなくて。っていうか言えなくて」
『なんだ、まだ伝えてなかったのかお前は』
「うぅ、先生助けてください〜」
『しょうがないなお前は。で、ご両親はいつ頃そっちに行くんだ?』
「えっと、メールには『今から』としか書いてませんでしたけど」
『そうか。それじゃとりあえず俺が先に連絡して事情を説明しておこう』
「うぅ・・・やっぱり伝えなきゃダメですか」
『当たり前だろう。隠し通せるものでもないし。まったく、本当なら真っ先に
ご両親に伝えておかなきゃいけない事だぞ』
「はい・・・」
『それじゃ、お父さんの携帯の番号を・・・』
『・・・・・・』
『・・・』
『ピッ』
島崎先生に親父の携帯の番号を伝えて電話を切る。もうダメだ
。
「・・・・・・逃げよう」
誰も知らない遠い町に逃げよう。そして美味しい物を沢山食べよう。
着の身着のまま部屋を出る。さすがに遠い町へ本当に行く気は無かったけど
あの部屋に居るのは危険と判断した。
「とりあえず和久の家にかくまってもらおう」
「どこ行くの?辰実」
「!?」
聞き覚えのある声に身体が固まる。ギギギッと首を声の聞こえた方へ向ける。
「ね、姉さん・・・」
「ほ〜ら。やっぱり辰実だった」
顔が引きつる。何でバレたの?
「どうしたんだ命(めい)。辰実が居たのか?」
死角から親父とお袋も出てくる。あぁ、終った。
「お父さん、あれ辰実よ」
「何?あの女の子がか?」
「あらあら、変ねぇ。辰実ちゃんは男の子だったはずよ?」
親父達が近づいてくる。頭真っ白だ。
「ふ〜ん、へ〜ぇ」
「や、やあ姉さん久しぶり」
じろじろと観察しているようだ。どうしようどうしよう。
「姉さん、何で俺だってわかったの?」
恐る恐る聞いてみる。
「直感ね」
キッパリと言い切る。は、反則だよそれ。やっぱりこの人は恐ろしい。
「しばらく見ない間に変わったなあ。辰実」
「本当、わからなかったわぁ」
この両親はほんとに・・・。マイペースと言うか何というか。少しは疑えよ。
『チャ〜ラ〜ラ〜チャララチャッチャッチャ〜♪』
「おっと、電話だ」
親父の携帯が鳴る。
「はいもしもし・・・ああ、いつも息子がお世話に・・・はい、はい・・・ええ、
それはもうわかりました・・・え?大丈夫ですよ、そりゃ親ですから・・・ええ、
はい、それでは失礼します」
『ピッ』
島崎先生からみたいだったな。もう手遅れだけど。
「さて、立ち話もなんだ。お前の部屋でじっくりと話しを聞こうじゃないか」
メールが届いてから約10分。『今から』過ぎるだろ・・・。
しどろもどろになりながらも女になってしまった経緯を親父達に話し、病院
の診断書を見せた。
「ふむ、なるほどな・・・。お前の話しはよぉ〜〜〜っくわかった」
「よかった、信じてくれたか」
ほっと胸を撫で下ろす。
「しかぁし!俺達はまだ納得したわけではないぞぉ?」
「はぁ?」
お袋はニッコリ、姉さんはニヤニヤ笑っているだけで黙っている。いや〜な
予感がする。
「と、言う訳で第一回、身内クイズを執り行う」
「はあぁ??」
お袋はキャーと嬉しそうに手を叩いている。姉さんは相変わらずニヤニヤ・・・。
「それでは第一問」
「ちょ、ちょっと待ってって!」
「辰実の誕生日はいつだ」
「じゅ、10月9日」
「正解。では第二問。辰実の血液型は」
「O型」
「うむ、正解」
なんだ、俺の事に関するクイズか。それなら簡単だ。
「第三問。俺達の名前は」
「親父が佐伯司郎(さえきしろう)、お袋が佐伯春奈(はるな)、姉さんが佐伯命(めい)」
「正解だ。ではここからが本番だ。第四問。辰実の初恋の相手は誰」
「はああぁ?」
何でそんな事を言わなきゃいけないんだ。って言うか何で知ってんだよ。
「ほれどうした。言わないと大変な事になるぞ」
ね、姉さんのニヤニヤはそう言うことだったのか・・・。
「勘弁してくれー!」
トラウマを的確に抉る(直角に近い角度で)質問の嵐に俺は半泣きになりながら
答えた。も、もうイヤ。
「正真証明の辰実のようだな」
「お父さんお疲れ様」
お袋・・・なんでそんなに嬉しそうなの?
「それにしてもバカねえ。私達も質問の答えしらない問題もあったのに全部正直
に答えるんだもの。やっぱり辰実ね」
「・・・・・・うそ」
だ、騙された。
「わっはっはっはっは。そう睨むな」
豪快に笑う親父。悪魔め。
「さて、帰るぞ母さん」
「そうですね」
「は、はい?もう帰るの?」
「うむ、お前が女の子になったからやる事が色々と増えた」
「やる事って・・・?」
「な〜に、お前は心配いらん。俺達が全てやっておこう」
だから何をだよ。
「さて、善は急げだ。元気にしてるんだぞ辰実」
「辰実ちゃん、身体に気をつけてちゃんと食べるのよ」
親父とお袋はいそいそと荷物をまとめる。
「父さん母さん、先に行ってて。私辰実と話しがあるから」
「うむ、駅前の喫茶店に居るからな」
「辰実ちゃんまたね〜」
行ってしまった。台風一過かよ。
「さて辰実・・・」
「ね、姉さん」
気が付けば姉さんが後に立っていた。ぞくぞくと背筋に寒気が走る。
「ほら、姉さんも早く行かないと。親父達待ってるし・・・」
いやな予感がする。姉さんはある意味桜子よりタチが悪い。
「姉さん?」
目が座ってる。こ、恐い・・・。じりじりと後ずさる。
「ちょ、姉さん?どうしたの?」
「いやね、辰実が本当に女の子になっちゃったのか調べてあげようと思ってね」
「し、調べるってどうやって?」
薄々感づいてはいるけど・・・『まさかね』と言う思いがまだ残ってる。
「恐がらなくても大丈夫よぉ。私に任せておけば大丈夫だか・・・らっ」
「うきゃぁ!」
姉さんに飛びかかられて押し倒されてしまった。
「やっぱりそう言う事かーーー!」
「暴れちゃダメよ〜。ちゃんと気持ち良くしてあげるから」
「イーヤーだーー!」
「諦めが悪いわね」
「んぁっ」
いつのまにか身体が入れ替わり後から姉さんに抱きすくめられる形になる。姉
さんの手が服の中に入ってくる。
「ちょ・・・姉さん・・・ダメ・・・だって」
「大きさは中々のものね。触り心地も・・・合格ね」
「あ・・・んん」
もぞもぞと服の中で手が動く。やばい。理性が飛ぶ・・・。
「肌も張りがあって吸い付いてくる感じね。あら?辰実汗かいてるわよ。気持ち
よくなっちゃったかしら?」
「そ、そんなこと・・・ひゃぅ!」
姉さんが耳たぶを噛む。脳に直接響く感覚に声が出る。
「まったく、我が弟が女の子になっちゃうなんてね」
手が下腹部を這う。くすぐったいようなじれったいような・・・。
「はぁ・・・んく」
「完璧に女の子の身体ねえ・・・。辰実、オナニーはしたんでしょ?」
「なっ、そんなこと・・・」
顔が熱くなる。思考がとろけていく。
「本当に正直なんだから」
ゆるゆると手が秘唇の周りを、でもけっして触らないように愛撫していく。
「んあ・・・はぁん。ね、姉さん」
「じれったくなっちゃった?」
「ち、違う・・・も、やめ・・・」
息が上がって言葉が続かない。
「くす、嘘ばっかり」
「ふぁっ!?んああああっ!」
不意打ち気味に指が秘唇に刺し込まれ悲鳴を上げてしまった。
「あ・・・あ・・・んんくぅ」
ふるふると身体が震えているのがわかる。
「ここもちゃんと女の子してるのね・・・」
耳元で姉さんが妖しくわらう。とたん、刺し込まれた指の動きが激しくなる。
「あっあっあっあん!ああん!」
ヌチッ、クチュクチャ、チュクッ
どんどん粘着性の高い音が響いてくる。もう全体重を姉さんに預けていた。
「はああん、あうっ・・・んはぁ」
強制的に与えられる快感の波に何も考えられなくなる。自分がどれほどの声
でよがっているのかすらもうわからない。
「もうびしょびしょね。気持ち良いのね」
「んん・・・ふぁ・・・はぁ」
吐息が耳にかかる。ぞくぞくと身体が震える。胸と秘唇を同時に攻められて
この身体の快感に慣れていない頭は真っ白になる。
「もう喋れない・・・か」
「はぁ・・・はぁ・・・」
姉さんの動きが止まる。荒く息をつく。
「中途半端だと可哀想だからイカせてあげる」
「んあっ!?はああぁぁん!ふああぁ!」
二本目の指が入ってくる。全身に電気が走り力が入る。
「んん・・・いやっ・・・ダメ・・・ダメぇ!」
「我慢しないの」
掻き混ぜる動きに抜き差しが加わる。
「ああっああっあっあっあっ!んあああああああああ!!」
意識が・・・飛ぶ・・・。
「あ・・・あ・・・はぁ・・・あん・・・・・・」
「ふふ、ご馳走様でした」
「あ、悪魔・・・」
「何よ。気持ち良かったでしょ?」
うぅ・・・。いたずらされてしまった。
「そう言う問題じゃない!」
「怒らない怒らない」
まだ身体に力が入らない。一人でしてしまった時よりも確かに気持ち良かった・・・。
(な、何考えてんだ俺は)
「さて、私も帰るわ」
「もうくんな」
「腐んないの。じゃあね」
ヒラヒラと手を振ると姉さんは出て行った。うあ、ショーツがぐしょぐしょだ。
「はぁ、疲れた」
着替えを済ませるともうくたくただった。ベットに倒れこむ。
「あぁ・・・、俺もう戻れないかも。色んな意味で」
戻りたいけどね。
「それにしても親父の言ってたやる事ってなんだろう?」
まあ、あの親父の事だからろくでも無い事だと思うけど。
「何はともあれ皆納得してくれたみたいだからいっか」