作品名 作者名 カップリング
マサヒコの女難週間(アヤナ編) 郭泰源氏 アヤナ×マサヒコ

「若田部〜お茶だ〜」
なるだけ緊張感のない声で、と心がけながらマサヒコはアヤナに呼びかけた。
「あ…ありがと、小久保」
が、相手は既にガチガチに緊張しまくっている。
(…さっきははぐらかされたけど…今度こそ…)
そう思い詰めているのだから当然と言えば当然ではあるが。
「若田部、モンブラン、嫌いじゃないよな?」
「う、うん。好き」
「良かった。モンブラン嫌いな人って結構いるじゃん?野球部の真喜志なんてさー、
あんなゴツイくせにモンブランが大の苦手なんだぜ?見ただけですっげえ変な顔すんの」
一方、マサヒコはなるべく話がシリアスな方向にいかぬよう、
努めて軽い口調でアヤナに話しかけている。そんなマサヒコの様子を見て、アヤナは、
(これは…正面突破は難しいわね…)
と、話題を方向転換させることを考えていた。このあたり、さすがの頭脳プレーである。
「あ…あのさ、小久保」
「ん?なに?若田部」
「おっぱいのおっきい女の子ってバカだっていうじゃん?」
「ふぶぼっ」
飲みかけのお茶を思いっきり吹き出すマサヒコ。
「わ、若田部お前はいきなり、な、ナニを…」
「いいから聞いてよ。あたしさ、この胸が、すっごいコンプレックスだったんだ。小4ぐらいから、
おっきくなりはじめて…。クラスではじめてブラつけたの、あたしだったんだもん。恥ずかしかった…」
「そ…そうなの?」
マサヒコとしては、こう言うぐらいしかないところである。

「でさ、中学生になって…すぐにもう、Cカップぐらいになってさ。体育の時間なんて…。
最悪だったんだよ。男子だけじゃなくてさ、男の先生までイヤらしい目であたしのこと
見るんだもん。なんでこんな気持ちにならなきゃいけないの、って何度も思ったよ」
「はあ…」
つーか、中1で既にCカップだったんすか、でCカップってどれぐらいっすか、とマサヒコは思っていた。
「で…小久保、おっぱいのおっきい娘は好き?嫌い?」
「…いきなりそうくるかね」
「答えてよ」
かなりの変化球ではあるが、これもアヤナにとっては告白の一種である。
ここまで言ってしまった恥ずかしさをこらえながら、彼女はマサヒコの言葉を待っていた。
「…若田部、死ぬほどヤな奴だけど、顔だけはかっこいいって男と、付き合う気に、なる?」
「?…えーっと、ならないと思う」
「女の子のさ、胸がおっきいとかもそんなもんだと思うよ。その子のことが好きになったらさ、
どっちでもいいっつーか。少なくとも俺はそう。それと…お前のことジロジロ見てたって男もさ、
悪気は無かったんだと思うよ。動いてるもんにはとりあえず目が行くもんだし…。それにさ、
それこそ若田部自体に魅力がなかったら、いくら胸おっきくても、見ないんじゃない?」
「小久保…」
いつになく多弁で、説得力のあるマサヒコである。アヤナは、だがそれ以上に─
マサヒコが彼女のことを、気遣ってくれている、ということが、心にじんわりと染みていた。
(そうだ…なんで、あたし…小久保のこと、いいなって思ったのかって…。
あたしのこと、イヤらしい目で見ないし…普通の、友達としていてくれるからだったんだ…)
「ありがと、小久保。…なんか、気が楽になった」
「ん…まあ、生意気言ったかもしれないけど」
マサヒコも、自分が珍しく熱弁をふるったことに少し照れていた。
「ところで、若田部。お茶…冷めるぞ」

「あ…ウン、ありがと」
ふたりは、やっと静かにお茶を飲み始めた。
「ねえ、小久保」
「なに?」
「好き」
「ぶふぼっ」
今度は150kmのド真ん中を投じたアヤナ。茶碗をテーブルに置いて、またもむせるマサヒコ。
「お…お前なあ、げほがほ」
「だって、好きなんだもん。ねえ、恋人に…なってくれない?」
「あのな…若田部、俺はまだ、そういうのが良くわからねーって、さっき言ったばっかだろ」
「なら…あたしが、わからせたげる」
そう言うと、アヤナはいきなりマサヒコめがけて覆い被さった。
「わわわ、若田部?」
「さっきの話の続き。女の子はね、好きな人になら…ジロジロ見られても、
触られたっていいの。好き、小久保」
そう言うと、アヤナはそのままマサヒコの唇を強引に奪った。
(レモンの味じゃ…ないんだ…)
その瞬間、ファーストキスの味を確かめながら、アヤナはやけに乙女チックなことを考えていた。
「もが…もがが…」
(若田部、あの、マジで…お、重いし…い、息が…)
マサヒコにとっても、ファーストキスだったのだが、今の彼はその状況を楽しむどころではない。
さきほどから右手で小さくフォールを繰り返してはいるが、
アヤナがその意味を解することはなさそうである。

“すッ”
が、マサヒコの予想外に苦しそうな表情にアヤナも気づいたのか、唇を離し、
上体を起こした。馬乗りの状態で、マサヒコに向かって不安げな視線を送っている。
「小久保…もしかして、あたしのこと、嫌い?」
「いや…嫌いじゃ、ないよ」
「だったら…そんな…イヤそうな顔しなくたって…」
「これは、違うんだって。息ができなくて…」
さすがに女の子に向かって重い、とは言えないマサヒコ。
「そっか。ならさ、小久保、続き、しよっか?」
「つ、続きって…」
そんなマサヒコの言葉をまだ聞き終わらないうち、アヤナはいきなりブラウスを脱ぎはじめた。
「おおおい、わ、若田部?」
「ねえ、小久保、さっき好きな子ならさ、胸の大きさ、関係無いって言ってたじゃん」
「う…ウン」
「質問。じゃあ、付き合う子のおっぱいがおっきかったら、どうですか?」
「それは…俺…付き合ったことないから…わかんねーし」
「あたしと、付き合って…下さい」
そう言うと、Tシャツを脱いでブラジャーだけの姿になるアヤナ。
「それで、試してみてよ。ね?」
そのまま、アヤナはブラジャーのホックを外した。
“ぷるん”
大きく、形の良いアヤナの乳房が、マサヒコの目の前に現れた。
「♯@!え?ええええ?」
突然の事態と、アヤナの胸の豊かさに驚くマサヒコ。

「小久保…気持ち悪い?」
「いや…その…すっげえ、キレイだ…」
それまでの及び腰な態度が嘘のように、マサヒコは思わず感嘆の声をあげていた。
そのマサヒコの賛辞を聞き、喜びで顔を赤くするアヤナ。
「良かった…。やっぱり小久保って、優しい」
そう言って、再びマサヒコに抱きついた。
“むにゅ”
アヤナの柔らかな感触が、マサヒコの上半身を刺激していた。いくら理性的な彼と言えども、
かなり危機的状況にあるのだが…それでも、残り少ない理性をフル動員させて、言った。
「あのさ、若田部…その、付き合うってのはさ、お互いのことを解りあって…。
それから、こういうことに至るっつーか…いきなりこーゆーのは、まずくないか?」
「まずくない」
アヤナからは、秒殺で答えが返ってきた。
「あの、でもさ、やっぱりまずいって。落ち着け、若田部」
「えいっ」
アヤナは、マサヒコの顔に自分の乳房を押しつけた。
「¥?+??ふがもが…わ、わからへ?」
「キレイ、って言ってくれたじゃん、小久保…あたしのおっぱい」
「そ、そへは、たひからけど」
「さっきさ、すっごく…嬉しかったんだ。今まで、邪魔でしかなかったあたしのおっぱいを…
キレイ、って小久保が言ってくれて。それに…小久保の言い方さ、全然イヤらしくなかった」
(…てゆーか、あんまりにも見事なものでしたので。その…外人のヌードみたいだったんで)
マサヒコの本音は、こうだったのだが…既に感極まったアヤナは、ぐいぐいと胸を押しつけてきている。
おっぱい星人にとっては夢のようなシチュエーションなのだが、その体勢も長く続けば毒である。
徐々に空気が薄くなってきてマサヒコは目の前がうすらぎ始めていた。

(い…イカン、このままでは…)
いくら人も羨む状態とはいえ、さすがにこのまま窒息死はしたくないマサヒコ。
アヤナの脇腹をつんつん、とつつき事態の急なるを知らせた。
それを悟ってくれたのか、マサヒコの顔面から胸を離すアヤナ。
「ぷ…ぷはぁあああー」
(い、息ができる…生きているって素晴らしい)
時と場所さえ間違えなければ、かなり感動的なセリフだが、この状況ではコントである。
一方、その原因となったアヤナは、マサヒコが真っ赤な顔で荒い息を吐いているのを見て、
こちらは逆に顔を真っ青にしていた。
「ご…ゴメン、小久保、大丈夫だった?」
「だ…大丈夫、だ、よ」
まだ完全に息を吹き返したとは言えないが、なんとかアヤナのことを気遣ってそう答えるマサヒコ。
心配そうに見ていたアヤナだが、マサヒコのその言葉を聞くと、今度はもう一回抱きついた。
「ゴメン。ゴメンね、小久保。あたしのこと…嫌いにならないで…」
ほとんど泣きそうになりながら、アヤナはマサヒコに頬ずりしつつそう何度も呟いた。
(若田部…だからなんでそう、いきなり可愛くなるかなあ…)
そう思ったマサヒコは、アヤナを軽く抱きしめると、一緒に上半身を起こし、手を握って、言った。
「ホントに、大丈夫だよ、若田部…だから、そんな顔しないで」
「うっく…ひん…ゴメンね、小久保…」
とうとうアヤナは本当に泣き出してしまっていた。
「あの。若田部…だからさ、大丈夫だよ。それに…その。き、気持ちよかったよ」
「え?」
「いや…女の子のからだって、柔らかくて…いい匂いがするんだな、って思ってさ」
「!」
言ったマサヒコも真っ赤だが、それ以上に真っ赤になるアヤナ。

「あたしのからだ…気持ちよかった?」
「う…うん」
「じゃ…じゃあ…もっと、触ってよ」
「…あのな、若田部。確かに俺、他の男子に比べたら、そっち方面に興味ないように
見えるかもしれないけど…一応、俺も、男なんだぜ?それだけでとまんなくなっちゃうかも…」
「とまんなくていい」
再び、秒殺のアヤナ。
「だ、だから、それがどういうことなのか、お前だって的山じゃないんだから、わかってるだろ?」
「いいの。小久保だったら。…お願いします。あたしの…初めてのひとに…なって下さい」
アヤナは顔を真っ赤にして、ちょこん、とマサヒコに向かって頭を下げた。
上半身裸なだけに、やけに卑猥な風景ではあるが、本人は至ってマジメである。
そんなアヤナの様子を見ながら、さすがにマサヒコも迷いはじめていた。
「あのな…俺も、初めてなんですけど。上手くできるかわかんないんですけど。
それでも、若田部、本当にいいのか?」
「うん…他の誰でもなくて…小久保が、いい」
そして、ここまで言われれば、いくらマサヒコとて、そういう気持ちになってしまうのであった。
とんとん、と下を向きっぱなしのアヤナの肩を叩くマサヒコ。
「?」
アヤナが顔を上げると、すぐ間近にマサヒコの顔があった。
「!!」
2度目のキスは、マサヒコからだった。
驚きに、大きく目を見開き─そしてすぐに、喜びから、大粒の涙を流すアヤナ。
「ふーっ」
しばらくしてから唇を離し、大きく息をつくマサヒコ。

マサヒコは、なぜか正座をしてアヤナと真正面に向かい合った。
「若田部アヤナさん」
「はいっ」
「初心者ですが…よろしくお願いします」
「はい…こちらこそ、よろしくお願いします」
こちらもなぜか三つ指をついて頭を下げるアヤナ。
マサヒコは、その姿を照れ笑いしながら見た後、ゆっくりと上着を脱いで上半身裸となった。
「これで、あいこだよね、若田部」
「う、ウン…小久保…結構ガッチリしてるんだね…」
予想外にたくましく引き締まったマサヒコの裸体にアヤナはしばし見惚れていた。
と、マサヒコはアヤナの首と腰に軽く手を回すと、一気にアヤナの体を引き寄せ、
抱きかかえて立ち上がった。
「こ、小久保?」
驚いて目を見開いているアヤナの唇を、軽くついばむようにしてキスをした後、マサヒコは言った。
「ベッドまで連れてくよ…さっきからさ、若田部、恥ずかしかったろ?これぐらいさせてよ」
そのまま、ベッドのうえにふわり、とアヤナの体を横たえると、マサヒコはまたアヤナと唇を重ねた。
“ちゅっ…ちゅ”
(ち…ちょっと、小久保…なに…すっごく気持ちいい…ってゆーか、上手い…)
予想以上に巧みなマサヒコのキスに快楽を得つつも、
アヤナの頭の中には同時に疑問符が浮かんできていた。
「う…ご、ごめん、小久保…た、タイム」
そう言って唇を離すと、少し不安げに自分を見るマサヒコがいた。
「あ…もしかして…俺のやり方、ダメ?若田部、気持ち悪い?」
「そ、そうじゃなくて…」
まさかその逆だとは言えないアヤナ。

「…小久保、今まで、付き合ったこと、ないんだよね?」
「?そうだよ?さっきからそう言ってるじゃん」
「天野さんとも、キスとか、したことないの?」
「…このタイミングでそういうこと言うかなあ、お前は」
マサヒコは少し怒ったような顔になると、ボリボリと頭を掻いた。
「あ…ゴメンなさい、あたし、そういうつもりじゃなくて…あの、小久保、すごく慣れてるってゆーか」
「?何に?」
「女の子の扱いとか。あと…キ、キスも初めてにしては上手すぎるんだけど…」
「?そうなの?でも、俺、マジで若田部が初めてなんだけど?」
心底不思議そうにアヤナを見つめているマサヒコの様子からして、その言葉に嘘はなさそうである。
ならば天性のものなのだろう。さすがは小久保マサヒコである。一方、アヤナは、
(こいうのにも…才能ってあるのかしらね…)
と、なぜか軽い敗北感を感じていたのだった。
「ふーん、俺、上手いんだ…」
「…なんかその言い方、ムカツクんですけど」
「あ、悪い…でもさ、若田部、上手いってことは、俺にこうされると…」
そう言って、少し悪戯っぽく微笑むと、マサヒコは再びアヤナと唇を重ねた。
「気持ちいいって、コトだよな?」
「ん…バカ」
「それ、2度目だよね」
「え?」
「ほら。大雪の日。俺、あんとき、焦ったんだぜ?若田部いきなり泣いちゃうし…」
「…だって、小久保、全然あたしの気持ち分かってくれなかったんだもん」
「ゴメン…でも、今は…こうしてるから、いいよな?」
「ウン…」

“ちゅ…ちゅっ”
(ん…やっぱり、小久保、上手い…)
マサヒコのキスに、微かな悔しさを覚えつつも、陶然とするアヤナ。
“ちゅりょ…”
(…?…!!え?)
マサヒコの舌が、アヤナの口内に侵入してきた。さすがに驚いたアヤナだが…。
“にゅ…りゅ…”
(…ん…んん…)
自分の口内を、マサヒコの舌が泳いでいる…。そんな感覚に、我を忘れた。
“ふにゅ…むに…”
(あ…)
マサヒコの手が、ゆっくりとアヤナの裸の胸に触れられ、
そのまま柔らかく包みこむようにして乳房に愛撫が加えられた。
(嘘…すごく…これも上手い…)
アヤナとて、こんな風に男性に体を触れられるのは、生まれて初めてであり、
その巧拙などはわからないはずなのだが…。しかし、マサヒコの行為が、
確実に彼女の性感帯を刺激しているのは確かなようである。
マサヒコは舌を引っ込め、唇を離すと、そのままアヤナの乳房へと口をつけた。
“ちゅぱ…”
「ん…んん…ああ…」
アヤナの口から湿った吐息が漏れた。その音色に力を得たマサヒコは両手と唇で、
乳房に、薄紅色の乳首に、谷間に―愛撫を加え続けた。
(…若田部のおっぱい…すごく柔らかくて…可愛い…それに…)
「若田部…」
「な、なに?」

「さっき自分の胸のことをさ、気に入らないって言ってたよな?」
「う、ウン」
「もったいないよ、それ」
「??…あ、やっぱり、小久保も…おっぱい、好きなの?」
「ま、これを嫌いな男は少数派だと思うけど」
軽く苦笑するマサヒコ。
「でもさ、今の、若田部のおっぱい、見てみろよ。ホラ」
「え?…わあ…」
アヤナが自らの乳房へと目を向けると―さきほどからのマサヒコの愛撫と、彼女自身の興奮からか、
そこには、鮮やかにピンク色に色付いたそれがあった。
「すごく…キレイだろ?若田部のおっぱい…桜みたいな、色だ…可愛いよ」
そう言ったあと、マサヒコは再びアヤナの乳房を吸った。
「あ…はん…」
それに反応して、甘い声をあげるアヤナ。そして、なぜか彼女の双眸からは…。
(どうしてだろう…嬉しい…すごく…)
煩わしいものでしかなかった。常に男子生徒の好奇の目の的にされ、電車に乗れば、
痴漢が手を伸ばしてきたこともあった。だが、今はこれを愛し、きれいだと言ってくれる人がいる―。
そんな幸福な思いに包まれたアヤナは、一粒の涙をこぼすのだった。
“す…”
「あ…」
マサヒコはアヤナのスカートを膝まで下ろすと、そのまま右手をパンティーの中へと入れた。
生まれて初めて他人の手による侵入を許したことに、思わず身を硬くするアヤナ。
(若田部…緊張してるのかな…)
軽く歯を食いしばり、眉間にしわを寄せるアヤナの表情に、恥じらい以外の
感情を感じ取ったマサヒコは、アヤナの耳元へと顔を移動させると、出来る限り優しく囁いた。

「若田部、俺さ、初めてだから…どこを、触ったらいいのか…教えて」
「…う、うん」
「じゃ…」
“しゅ…じゅり…”
マサヒコは、茂みに覆われた裂け目を上から下へとゆっくりとなぞった。まだ、
濡れきってはいないものの、そこからは確かに体温以外のなにかによる熱さが感じられた。
(ええと…こ、このあたりかな?)
中指をゆっくりと裂け目の中へと入れるマサヒコ。
「あ…ゴメン、小久保、そこじゃなくて…」
「え、違うの?」
「う、ウン…あの…もう少し下くらいだと思う…」
「わ、わかった…」
“ぴちゅ…”
「キャッ」
「あ、若田部、悪い…痛い?」
「だ、大丈夫。続けて…」
「うん…ゴメンな、もう少し…丁寧にするから…」
“ぴちゃ…ぷちゃ…”
ゆっくりと、丁寧に…そう、心に念じながら、マサヒコはアヤナの中をかき回した。
(でも、良かった…おととい、爪切っておいて…)
しかし、緊迫した場面の最中でもこんなことを考えるのだからさすがはマサヒコである。
「う…ふん…あ…」
はじめは硬かったアヤナの表情も、徐々に徐々にではあるが、興奮の度合いが強くなってきた。
(結構…若田部、硬さが取れてきたな…。もう一本…)
“ぴにゅ…”

「!?え?」
中指に続き、人差し指がアヤナの裂け目の中へと挿れられた。突然の感覚に、驚くアヤナだが…。
「若田部…じっとしてて」
囁かれた後、マサヒコに肩を左手で押さえられ、更に唇を塞がれてしまい、為す術もないのだった。
“ぴゅちゅ…ちゃぷ…”
マサヒコの2本の指が、アヤナの中を自在に泳いでいた。ときには二本そろって…。
またときには二本交互に…。折り曲げられたり、肉の壁を軽くくすぐるかのように…。
動き回る、その感覚に、アヤナは愛らしい声をあげていた。
「くぅ…あ…いや…きゃん…こ…小久保ぉ…」
「なに?」
「くぅん…あ…あたし…もう…」
「もう?」
「お願い…あん…もう一回…き、キスして…」
そのまま、ゆっくりと唇を交わすふたり。
(もう…大丈夫だよな?)
アヤナの十分すぎるほどの興奮状態を見て取ったマサヒコは、指をアヤナの中から抜き取った。
穿いていたジーパンを脱ぎ、トランクスを脱ぐと…顔を赤く染めたまま、
目を閉じているアヤナの上へ覆いかぶさった。
「こ…小久保?あたし、まだ…下着…」
「いいから。ホラ…」
そう言うと、マサヒコは既に勃起したペニスをパンティー越しにアヤナの股間へと押し付けた。
「え?…うあ…」
予想外のそこの硬く大きな感触に、驚きの声をあげるアヤナ。
「あのさ…若田部…これから…これが…お前の、中に入るんだけど…大丈夫?」
「小久保…」

マサヒコの表情は、今ならまだ戻れる―そんな、相手のことを気遣うものだった。
(…怖い…でも…小久保だから…)
「大丈夫。大丈夫だから…好きだから…お願い」
アヤナは、マサヒコに抱きつくと、はっきりとそう言い切っていた。
「ウン…じゃあ…」
アヤナから少し体を離し、ゆっくりとパンティーを下ろすマサヒコ。彼女の両の太ももに手を乗せ、
そこを開かせると―自らのペニスに軽く右手をそえ、少しずつ体を落としていった。
(ええと…こ、このあたりだったかな?)
二度三度と、裂け目をなぞるようにペニスの先を往復させるマサヒコ。
が、確かに狙いを定めると…。ゆっくりと、思いをこめて中へと入っていった。
“にゅ…ずっ…”
「きゃッ…あッ…」
その感触に…一瞬短く下半身を走った痛みに…。やはり、アヤナは鋭い声をあげてしまっていた。
「あ…痛いん…だよな、若田部?」
「う…ううん、大丈夫…大丈夫…だから」
痛いのは確かなのだが…。
(でも…大丈夫。だって…小久保だし…それに…これぐらい、聞いてたほどじゃ…)
そう思い込み、耐えようとするアヤナ。
「若田部…じゃあ…いくよ…」
痛みを耐える、アヤナの表情を心配そうに見ながらも、マサヒコはアヤナの中への進入を再開した。
“ぬ…ずるっ…”
((入った…))
マサヒコは、アヤナの中の温かさと柔らかさを感じながら…。アヤナは、痛みとともに自分の中へと
入ってきたマサヒコの硬さを感じながら…。ふたりは、同じことを思っていた。
「若田部…少し…動くから…我慢してね」

耳元で囁き、ゆっくりと動くマサヒコ。
“ぬるぅ〜…ずる〜ッ…”
「つ…くッ…かはあ…」
アヤナの口からは、断続的に短い声が漏れていた。それは確かに、痛みの声だったのだが…。
しかししばらくすると、少しずつではあるが、違う、何かが混ざりはじめていた。
(い…痛いけど…でも…これって…もしかして…)
いまだ自分の中に目覚めたその感触を、快楽だとは気付かない…いや、認めたくないアヤナ。
(だ、だって…初めてのエッチで…もう感じてるなんて…そんな…)
良家の子女として生まれ、育てられた彼女にとって、それはそう簡単に認められない感情であった。
“ぐしゅ…じゅしゅッ…”
「ああ…んん…くん…ああん」
しかし、既にアヤナの中の理性はその快楽の渦の中に溺れようとしていた。
「若田部…我慢しなくて、いいんだぞ?」
「え?」
一瞬、自分の心の中を見透かされたかと思い、驚きの声を上げるアヤナ。
「あの…痛かったらさ…もっと…声に出しても…。俺にもっと強く…抱きついても…」
「小久保…」
(あたし…なにを恥ずかしがってたんだろ…小久保が…こんなに…優しくしてくれてるのに)
そう思ったアヤナは、自分の両足を、マサヒコの体へと絡めた。
「若田部?」
「好き」
短く、一言だけ、そう言ってアヤナはマサヒコに抱きつき、キスをした。
「あの…小久保…あのね、確かに…まだ、痛いんだけど…」
「うん…」
「さっきから…少しずつだけど…、気持ち良くなってきてるんだ…あたし」

「?そ、そうなの?」
「うん…だからね、小久保。…あたしを、もっと…」
そのまま言葉を切り、目を閉じてしまうアヤナ。
「もっと?」
「もっと…愛して、ください」
そう言うとアヤナは、普段の勝気な彼女が信じられないくらい素直に頬を赤く染めた。
「若田部…」
その様子をじっと見つめるマサヒコ。
「わかった…。じゃあ…いくよ、若田部」
「あの…小久保、今だけで…いいから…」
「なに?」
「名前で、呼んで、ください…それで…あたしも…名前で、呼んでも…いい?」
「あ…うん、いい、けど…」
なぜか、マサヒコも少し照れくさくなった。
「じゃ、じゃあ…いくよ、アヤナ」
「はい…お願いします。マサヒコ…君」
「…呼び捨てでいいよ」
「ま、マサヒコ…お願いします」
「はい」
ぎくしゃくとした会話ながらも、お互いの気持ちを確かめ合うふたり。
マサヒコは、軽くアヤナを抱きしめると、アヤナの中で動くのを再開した。
“ぐシュ…ずしゅ…”
「あ…うん…あはあ…いい…き、気持ちいいの…ま、マサヒコ…マサヒコぉ」
先ほどまでのためらいを開放し、思うままに声をあげるアヤナ。
その声と様子に、マサヒコは自分も快楽が加速してゆくのを感じていた。

“ずるっ…ずっしゅ…っぶしゅ”
マサヒコは、動きを少しずつ激しく…強くしていった。
そして、目の前で気持ち良さそうに揺れているアヤナの乳房に再び口をつけた。
“ちゅぱっ…”
「ん…んう…いいのぉ…すごい…」
上半身と、下半身から…同時にこみ上げてくる快楽に、我を忘れて声をあげるアヤナ。
「アヤナ…俺も…気持ちいい」
“じゅにゅ…ずるう…ぐちゃ…”
飽かずに続けられる反復運動。アヤナはマサヒコに溶け、マサヒコはアヤナに溶ける―。
だが、マサヒコはそろそろ自分のそれが限界に来ていることを感じていた。
「アヤナ…ゴメン、俺、そろそろ…」
「ああ…うんっく…あん…う、うん。多分…あたしも…」
「じゃあ…いくよ?」
そう言うと、最後の強い動きをアヤナの中で行うマサヒコ。
“ずッ…ぶしゅ…ぐしゅあ…”
「んっ…ああ…もう…」
目を閉じ、マサヒコの腕をつかみ、全てを委ねるアヤナ。もう、その思いは声にならなかった。
(んっ…で…出る…)
最後の瞬間を感じたマサヒコは、素早くアヤナの中からペニスを引き抜くと―。
アヤナの茂みの上で、思いっきり射精した。
“びゅ…びゅぶ…びゅ…”
青白い精液が、アヤナの黒々としたそこに幾度も幾度も塗りたくられる。
(うわ…ぜんっぜん…終わんねーよ、俺)
マサヒコは、あまりにも長々と続く自分のそれを、半ば呆けたように見つめていた。

「はあ…はっ…」
しかし―それ以上に、アヤナは、何も考えられない状態となっていた。
両手で自分の顔を隠したまま、しばらく、ひとことも発することができなかった。
(う…嘘…こんなに…気持ちいいの?気持ちよく…なっちゃって…いいの?)
予想以上の快感を得てしまったことへの喜びと罪悪感という相反する思いに混乱するアヤナ。
「アヤナ…」
が、その混乱したアヤナを現実へと引き戻したのは、マサヒコの声だった。
「そこ…拭くよ。ほら…固まっちゃうし…」
そう言って、マサヒコはティッシュでアヤナの茂みの上にべっとりとはりついた自分の精液を
丁寧に拭き取り始めた。アヤナは、恥ずかしさでいっぱいになりながらも、足を広げ、
大人しくマサヒコのそれに従っていた。
「そんなに…たくさんじゃないけど…」
「な、なに?」
「血が…出ちゃったね、アヤナ」
シーツの上には、アヤナの鮮血が小さな染みとなっていた。
「あ…ホントだ…ゴメン、マサヒコ」
「なんで?謝んの?」
「だって…シーツ…染みになっちゃう…お家のひとに…怒られない?」
「ぷっ…ははは。そんぐらい、平気だよ。洗えばいいんだし。それよりさ、体大丈夫?起きれる?」
「う…うん。それは、大丈夫みたい」
ふたりは、ゆっくりとベッドから立ち上がり、もう一回キスをした後、名残惜しそうに服を着た。
「それじゃ…マサヒコ。あたし…もう、帰るね」
「あ…うん、送ってくよ」
「うん…ありがとう。ねえ、マサヒコ…」
「なに?」

「シーツ…洗っちゃうの…少し…もったいないな」
「なんで?」
「あの…その染みの形…去年…マサヒコに貰った…金魚に、似てるの」
「え?ああ」
その染みは、確かに良く見ると、そんな形をしていた。顔を赤くしているアヤナを、
マサヒコはもう一回優しく抱きしめた。
「洗わないで…記念にとっておくよ。どっかで新しいシーツ買ってさ」
「あ…あの…そういう意味じゃなくて…ゴメン」
「ううん。ふたりの…記念、だよな?」
そう言って、キスをした後、マサヒコとアヤナは、手をつないで部屋をあとにした。
(あたしの…あたしだけの…ものになってくれたのかな、マサヒコ)
アヤナは、初体験には満足しつつも、しかし、既に残りの6日間のことを心配していた。
そう、マサヒコの受難の一週間はまだ始まったばかりなのだ…。

                            アヤナ編END

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