Birthday Card 4
「ま、鉄砲を持って物を食うという道理はないわな」
三蔵をちらりと見やってものすごく嬉しそうに悟浄は言う。
三蔵としては、そんなカードの内容などまるきり無視したい。というか、カードというものは悟浄が何かするのではなかったのだろうかと心の底から疑問に思った。
そして、それについて八戒を問い詰めようと思い、そのために口を開きかけて―――潔く諦めた。
とにかく八戒には逆らわない方がいい。この4人は絶対に誰も八戒に逆らえないのだ。
「いやー、本当に偉い人がしょっちゅうきているんですねえ」
八戒が顎を右手でつまみ、感心して言う。悟空はご馳走へ早く到達するために一生懸命だ。
悟浄は自分が何もすることがなかったので上機嫌で、次のカードを引いた。
次のカードはおよそバースデーカードに使うべきではない真っ黒のカードだった。
「どうか帽子と外套と靴をおとりください」
「……ガイトウってなんだ?」
「上着のことですよ。僕達は誰も着てませんから脱ぐ必要もないんじゃないですか。悟浄以外」
「というわけで悟浄脱げよー!」
悟空が張り切って悟浄に嬉しそうに言う。
「それはそうと何で靴ぬがなきゃなんねーんだ」
「座敷なんじゃないですか?座敷で食べる西洋料理なんて斬新ですねえ」
にこにこと笑って八戒が言う。悟浄はあまり納得はしなかったが、とりあえず上着と靴を脱ぎ、釘にかけてから、次のカードを引いた。
「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」