Birthday Card 4
「……なんでだ?」
「深く考えるなよ悟浄。さっさととっちゃえ」
「………お前食うことしか頭にないって本当なんだな」
明らかにおかしなそのカードの内容を書いた人物は余程自分を落としいれようとしているに違いない、と悟浄は強く思った。ナゼこの懐の寂しい自分から財布を巻き上げようというのか。
こんな陥れるようなことを書く奴はきっとあいつに違いないと悟浄は勝手に決め、それだけは当たっていると確信して一縷の望みをかけて八戒を振り返った。
「ははあ、何かの料理に電気を使うんですね。金気のものは危ない。ことに尖ったものは危ない、というわけじゃないですか」
にっこり笑顔であまりにあっさりと八戒は一行の旅費が入っている財布を取り出した。三蔵がじろりと八戒を睨んで言う。
「その財布取られたら無一文だ」
「やだなあ三蔵。見てくださいよ」
八戒が指差した先には、黒塗りの立派な金庫が鎮座ましましていた。ご丁寧に鍵まで添えてある。
「お勘定は帰りにここで払うことになるんでしょうね」
「そっか!わかった。でももうほんとに何でもいいから俺は腹減ったよ」
悟空が言う。
しかし、と悟浄は考えた。八戒理論からいくと八戒のカフスや悟空の金錮だって危ないものの中に入るだろうのに二人がそれをとる気配は全くない。
……八戒だけじゃなく悟空まで陰謀に荷担しているのか?
と悟浄には思え、うんざりしながらも仕方なく指定されたものを黒塗りの金庫の中にいれた。八戒は、きちんと鍵をかけた後悟浄にカードを突きつけた。
束は随分かさが減っていたが、悟浄はとにかく何でもいいからととりあえず一枚引いた。
「壷のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください」