Birthday Card 4
木のカードに赤い文字でそう書かれていた文章を読み取って、悟浄はもしかしたら陰謀ではないかもしれない、と思い始めた。
自分の体を見れば、確かにものすごく汚れている。ここにくるまでにさんざん歩かされたのだから仕方ないのだが、これから食事をしようというのであれば確かに身だしなみを整えてから食べた方が料理もおいしいだろう。
「これはもっともだな!なんだ俺こんな山の中にあるからってちょっとこのレストランを見くびってたよ」
悟空が嬉々として靴の泥を落としながら言う。どんなおいしい料理が待っているのだろうとわくわくするその豹変振りに悟浄は更に呆れて果てた。さきほどまで悟浄の誕生日のイベントに(つきあわされて)いるのを恐ろしく疎ましがっていたとはとても思えない。
食べ物がからむと悟空はこうなのだということを悟浄は痛感した。そして、自分もばさばさになった髪をくしけずり、靴の泥を落とす。
「なかなか作法の厳しいレストランですね。きっとえらい人たちがたくさんくるんでしょう」
そう言って八戒もブラシで靴の泥をごしごしと落とした。三蔵はこの間までなら草履だったから泥を落とすのも大変なはずだったが、最近ブーツに履き替えているのでらくらくと靴の泥を落としていた。
そして、その泥を落とすのに使ったブラシや、櫛を悟浄がもとあった場所に吊るすと、それらはぼうっとかすんで無くなって、風が部屋の中へどうっと入ってきた。
なんだか気味が悪くなって悟浄はどんどん足を進めようとしたが、八戒に行く手をふさがれ、再びカードを引くことになる。
にこにこしている八戒はあんなことが起こってもナゼ動じないのだろうと悟浄は思い、それを口に出すとなんだかとてつもないことが起こりそうだったので、やはり黙ってカードを引いた。
「鉄砲と弾丸をここにおいて下さい」